ドネーツィク (小型揚陸艦)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
Jump to navigation Jump to search
U420 ドネーツィク
U420 Донецьк
艦歴
竣工 1993年6月26日 モーレ・フェオドーシヤ造船所
所属 Naval Ensign of Ukraine.svg ウクライナ海軍
退役 2005年
要目
艦種 エアクッション小型揚陸艦
艦型 12322号計画「ズーブル」型
工場番号 304
排水量 基準排水量 415 t
満載排水量 550 t
全長 57.3 m
全幅 25.6 m
喫水 2.0 m
機関 移動用ガスタービン3 基 36000 馬力
浮揚用ガスタービン2 基 23672 馬力
推進用4枚羽プロペラ 3 基
電源 ガスタービン発電機4 基 100 kWt
燃料 56 t
速力 最大速度 63 kn
航続距離 300 /55 kn
乗員 士官 4 名
水兵 27 名
武装 9K310-1「ホールカ1M」艦対空ミサイル発射機 4 基(9M313ミサイル32 発)
30 mm6砲身機関砲AK-630M 2 基
140 mm 22連装ロケット弾斉射システムRS-30「ヴォゴーニ」 2 基(ロケット弾132発)
各種係維機雷 20 - 80 個
電子装備 各種レーダー射撃管制装置
積載物搭載量 兵士 230 名まで
T-80戦車 3 輌(130 t)
BTR 10 輌
BMP 10 輌

U420 ドネーツィク(ウクライナ語:U420 Донецькドネーツィク)は、ウクライナエアクッション小型揚陸艦(Малий десантний корабель на повітряній подушці)である。艦名は、ウクライナ東部同名の都市に因む。ロシア語名はドネーツク(Донецкダニェーツク)である。

概要[編集]

建造[編集]

ドネーツィクは、12322号計画「ズーブル」型エアクッション小型揚陸艦の1艦として建造された。開発はソ連時代に開始され、ウクライナ・ソヴィエト社会主義共和国クリミア自治共和国の都市フェオドーシヤにあったモーレ・フェオドーシヤ造船所の第304工場で建造された。

フェオドーシヤでは12322型6 隻の建造が計画されており、その内MDK-57MDK-123MDK-93の3 隻は竣工、のちにドネーツィクと命名される艦は4 隻目であった。

1991年8月24日にウクライナが独立すると、建造中であった3 隻の揚陸艦はウクライナに接収された。第304工場で建造中であった艦は、ウクライナの地方名に因んでドネーツィ(Донецьドネーツィ)と命名された。1993年6月26日に竣工、ウクライナ海軍に編入されると、正式にU420 ドネーツィクと命名された。艦長には、ユーリイ・ステパネーンコ大尉が任官した。

性能[編集]

動力機関は10000 馬力級のガスタービンエンジンMT-70が5 基搭載され、水上最大63 knの高速力を獲得していた。その内2 基は浮揚用で、3 機が機動に用いられた。

艦は小型ながらも、ウクライナ陸軍の主となっているT-80UDクラスの戦車を3 輌輸送できた。この他、PT-76水陸両用軽戦車ならば6 輌、BTR-70/80水陸両用装甲兵員輸送車ならば8 輌輸送できた。

ドネーツィクは小型艦であったが、最低限の電子装備は搭載されていた。レーダーは「ポズィトィーヴ」と「ブラクィーチ」が搭載された。通信装置は「ブラーン」が搭載された。

また、ドネーツィクには、揚陸作戦時における敵の干渉を排除するため、攻撃的な自衛システムが装備されていた。まず、個艦防空用の艦対空ミサイルシステムとしては、携行式防空ミサイル9K310-1「ホールカ1M」が搭載された。これは、4 基の発射装置に対し、赤外線誘導式ミサイル弾体32 発が用意されていた。これに加え、艦には30 mm多砲身機関砲2 基が搭載された。これは、MR-123-02「ヴィーンペル」管制レーダーによって統御される近接防禦火器システムであった。一方、陸上・海上への火力制圧のためには、強力なロケット弾斉射システムRS-30「ヴォゴーニ」が搭載された。これは140 mm無誘導式ロケット弾の発射システムで、艦には22管からなる発射装置(ロケットランチャー)MS-227を2 基備えていた。弾体は、OF-45またはZZh-45の132 発とされる。このシステムは、射撃管制装置DVU-3によって統御された。

運用[編集]

ドネーツィクは、ウクライナ海軍の新鋭艦として1990年代を通じて比較的活発に活動した。1997年8月1日に正式にウクライナ海軍が成立した際には、ドネーツィクでは2基の搭載機関砲を使って祝砲があげられた。しかし、ドネーツィクは2001年にはフェオドーシヤで繋留された。これは、ウクライナにおける海軍計画の修正によるもので、小型・中型の哨戒艦艇が整備される一方、今後ドネーツィクのような高速揚陸艦は不要になるということであった。ドネーツィクは数年間保管状態に保たれたのち、2005年末には現役を退いて保管状態に入れられた。2008年には、ドネーツィクの退役がユーリヤ・ティモシェンコ首相とユーリー・エハヌロフ国防相によって調印された[1]。これを以って、黒海からはすべてのエア・クッション型揚陸艇が姿を消した。

脚注[編集]

[ヘルプ]

外部リンク[編集]