ツチアケビ

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ツチアケビ
Cyrtosia septentrionalis 2.JPG
ツチアケビ
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 単子葉類 Monocots
: キジカクシ目 Asparagales
: ラン科 Orchidaceae
: ツチアケビ属 Cyrtosia
: ツチアケビ C. septentrionalis
学名
Cyrtosia septentrionalis (Rchb.f.) Garay
シノニム
  • Galeola septentrionalis Rchb.f.
和名
ツチアケビ

ツチアケビ学名Cyrtosia septentrionalis[1][2])は、森林内に生育するラン科植物である。ラン科植物として、また腐生植物(菌従属栄養植物)としては非常に草たけが高く、大きな真っ赤な果実がつくので、大変人目を引く植物である。日本固有種。別名ヤマシャクジョウ(山錫杖)。

外見[編集]

地上部には葉などは無く、地面から鮮やかな黄色の花茎が伸び、高さ1mに達する。秋になると花茎の上部に果実がつき、熟すると長さが10cmにもなり、茎を含めて全体が真っ赤になる。まとまって発生することがよくある。

和名は地面から生えるアケビの意であると考えられるが、果実は熟しても裂開せず、形状以外はさほど似ていない。果実にはかなりの糖分が含まれる。人間にもかすかな甘味は感じられるが、タンニンが多量に含まれ、化学薬品のような強烈な異臭と苦味もあり、食用にはならない。民間では「土通草(どつうそう)」とよばれて強壮・強精薬とされ、あるいは薬用酒の材料にもされるが、薬用効果についての正式な報告はほとんどない。採集すると、時間の経過とともに真っ黒になる。種子ラン科としては比較的大きく、肉眼で楽に形状がわかる。

特徴[編集]

光合成を行うを持たず、養分のすべてを共生菌に依存している。ナラタケラン菌根を形成し、栄養的には寄生している。地下には太い地下茎があって、長く横に這う。地下茎には鱗片状の葉(鱗片葉)がついている。

初夏に花茎を地上に伸ばす。花茎は高さが50 - 100cmに達し、全体が黄色で、鱗片葉はほとんどみられない。あちこちに枝を出して複総状花序となり、枝の先端に花を咲かせる。花は3cm近くになりかなり大型で、全体にクリーム色で肉厚である。

果実は秋に成熟する。果実は楕円形、多肉質で、熟するにつれて重く垂れ下がり、多数のウインナーソーセージをぶら下げたような姿になる。果実は肉質の液果である。その点でバニラなどと共通しており、これらはやや近縁とも言われる。

腐生ラン類は非常に生育環境が限定されるものが多いが、ツチアケビは森林内であれば比較的どこにでも出現し、スギヒノキ人工林等でも見かけることがある。

通常、ラン科植物は埃種子と呼ばれる非常に微小な種子を大量に風に乗せる種子散布を行っているが、2015年、京都大学の研究グループによりヒヨドリなどの鳥によるツチアケビの種子散布が明らかになった。世界で初めてのラン科植物における動物による種子散布の報告となっている。[3]

分類[編集]

ツチアケビ属 Cyrtosia は熱帯から温帯アジア、ニューギニア島に5種があり、いずれも腐生植物。日本には、同属では本種1種が分布する。

シノニムとして Galeola があり、日本ではツチアケビのほかにタカツルラン(別名、ツルツチアケビ)(タカツルラン属Erythrorchis altissima (Blume) Blume、シノニム:Galeola altissima (Blume) Reichb.fil. が屋久島以南に知られる。本種はつる性で高さは5mにも達する日本最大のランであり、絶滅危惧IA類(CR)(環境省レッドリスト)である。

ギャラリー[編集]

脚注[編集]

  1. ^ ツチアケビ 日本のレッドデータ
  2. ^ Cyrtosia septentrionalis Kew Plants people possibilities
  3. ^ “光合成をやめたラン科植物ツチアケビにおける鳥による種子散布 -動物に種子散布を託す初めてのラン科植物の発見-” (日本語). 京都大学. http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research/research_results/2015/150505_1.html 2018年9月3日閲覧。 

参考文献[編集]

  • 佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎他 『日本の野生植物 草本I 単子葉植物』 1982年、平凡社
  • 小川真 『きのこの自然誌』 1983年、築地書館