セントラル山系
セントラル山系(Sistema Central)は、イベリア半島中央部を東西に走る山系。スペインの3自治州とポルトガルの3県にまたがっており、グアダラマ山脈等を内包する。最高峰は標高2,592mのアルマンソール峰。
地理
[編集]北緯40度線のすぐ北側にあり、ドゥエロ川(ドウロ川)の流域とタホ川(テージョ川)の流域を隔てている。東西485km、南北90km。
地勢
[編集]セントラル山系はイベリア半島中央部の広大な台地であるメセタにおいて際立った地形であり、この山系はメセタをカスティーリャ・イ・レオン州などの北メセタとカスティーリャ=ラ・マンチャ州などの南メセタに二分している。山系は東北東から西南西の向きに伸びており、西端はスペイン=ポルトガル国境を超えてポルトガル領に至っている。学術用語としては「セントラル山系」という単語が用いられるが、地元住民はより小さな範囲でこの山系に言及することが一般的である。
地質
[編集]はっきりと共通な岩石組成や全体的な構造を持たないイベリコ山系とは異なり、セントラル山系の岩石組成はとても均質である。約2,500万年前のアルプス造山運動期に形成されたいくつかの地形で構成されている。
山脈・山地
[編集]主要な山脈・山地にはグアダラマ山脈があり、この山脈はマドリード州とカスティーリャ・イ・レオン州の州境となっている。グアダラマ山脈の西側にはグレドス山脈があり、この山脈はカスティーリャ・イ・レオン州とカスティーリャ=ラ・マンチャ州、エストレマドゥーラ州の州境に沿っている。グレドス山脈にはセントラル山系の最高峰であるアルマンソール峰(2,592m)がある。
さらに西側のエストレーラ山脈はその大半がポルトガル領にある。ポルトガルの最高峰は大西洋に浮かぶアゾレス諸島ピコ島のピコ山(2,351m)であるが、エストレーラ山地のトーレ(1,993m)はポルトガルのイベリア半島部分における最高峰である。その他の主要な山地にはガタ山地やアイリョン山地がある。
セントラル山系の東端はペーラ山地、アルトス・デ・バラオーナ、ミニストラ山地などであり、これらの山地はイベリコ山系との遷移地帯にある[1]。
中央部のグアダラマ山脈[2]、西部のシウダ・ロドリーゴ付近のベハル山地およびフランシア山地[3]はユネスコの生物圏保護区に指定されている。
山脈・山地の一覧
[編集]西から東の順に記した。
- ロウゾン山地 トレヴィン(1,205m)
- モラダル山地
- エストレーラ山脈 トーレ (1,993m)
- ガタ山地 ハラマ(1,492m)
- カンチェラ山地 ティエンダス峰(1,590m)
- フランシア山地 アスティアーラ峰(1,735m)
- ベハル山地 カンチャル・デ・ラ・セハ(2,430m)
- グレドス山脈 アルマンソール峰 (2,592m)
- オルカハーダ山地 リスコ・デ・ラ・ウンブレーラ(1,562m)
- ビリャフランカ山地 モロス岩山(2,059m)
- ピエドラ・アグーダ山地 ピエドラ・アグーダ(1,817m)
- ラ・セロータ サント岩山(2,294m)
- オジョカセーロ山地 ナバソラーナ(1,708m)
- パラメーラ山地 サパテロ峰(2,160m)
- アビラ山地 ゴリア岩山(1,708m)
- オホス・アルボス山地 クルス・デ・イエーロ(1,657m)
- マラゴン山地 クエバ・バリエンテ(1,903m)
- サン・ビセンテ山地 クルーセス(1,373m)
- グアダラマ山脈 ペニャラーラ(2,428m)
- ソモシエーラ山地 コルガディソス(1,834m)
- アイリョン山地 ロボ峰(2,274m)
- アルト・レイ山地 アルト・レイ(1,858m)
- ペーラ山地 シマ・デ・ソモリーノス(1,548m)
脚注
[編集]- ^ Introducción al estudio del espacio geográfico soriano Soria Goig
- ^ “Cuenca Alta del Rio Manzanares Biosphere Reserve, Spain” (英語). UNESCO (2019年2月20日). 2023年3月10日閲覧。
- ^ “Las Sierras de Béjar y Francia Biosphere Reserve, Spain” (英語). UNESCO (2019年2月26日). 2023年3月10日閲覧。
文献
[編集]- Wes Gibbons & Teresa Moreno, The geology of Spain. Geological Society of London, London, UK, 2003