スチュワート・バターフィールド

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スチュワート・バターフィールド
Stewart Butterfield
スチュワート・バターフィールド（2017年）
生誕 Dharma Jeremy Butterfield
(1973-03-21) 1973年3月21日（51歳）
カナダの旗 カナダ ブリティッシュコロンビア州ランド（英語版）
出身校 ビクトリア大学 (1996)
ケンブリッジ大学クレア・カレッジ (1998)
職業 実業家
著名な実績 Flickr、Slack
純資産 13億US$（2019年6月）[1]
肩書き スラック・テクノロジーズ（英語版） 設立者・CEO
配偶者
カテリーナ・フェイク（英語版）
(m. 2001; div. 2007)
子供 1人
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ダニエル・スチュワート・バターフィールド（Daniel Stewart Butterfield、1973年3月21日[2] - ）は、カナダ出身の実業家である。写真共有サイトFlickrやチームメッセージングアプリSlackを共同で立ち上げたことで最もよく知られている。

若年期と教育[編集]

1973年にブリティッシュコロンビア州ランド（英語版）でデビッド・バターフィールドとノーマの間に生まれた[3]。出生時の名前はダルマ・ジェレミー・バターフィールド(Dharma Jeremy Butterfield)だった[4]。父親はベトナム戦争の徴兵（英語版）を避けるためにアメリカから逃亡し、一家はカナダの辺境のコミューンに住んでいた[5][6]。彼は5歳まで水道も電気もない丸太小屋で育ったが、5歳の時に一家はビクトリアに移り住んだ[6]。子供の頃に独学で暗号を学び、12歳の時にスチュワートに改名した[7]。

ビクトリアのセント・マイケルズ大学付属学校で教育を受け、大学のウェブサイトのデザインをして学費を稼いでいた[6]。1996年にビクトリア大学で学士号を取得し、1998年にケンブリッジ大学クレア・カレッジで修士号を取得した[8]。

キャリア[編集]

2000年、友人と協力してGradfinder.comというスタートアップ企業を設立した[6]。Gradfinder.comが買収された後、彼はフリーランスのウェブデザイナーとして働いた。彼は、5キロバイト以下でウェブサイトをデザインする大会「5Kコンペティション」を開催した[6]。

ルディコープ社とFlickr[編集]

2002年夏、彼はバンクーバーでカテリーナ・フェイク（英語版）、ジェイソン・クラストンと共にルディコープ（英語版）(Ludicorp)を共同設立した[8]。ルディコープ社は当初、Game NeverendingというMMORPGを開発した。このゲームの発売に失敗した後、同社はFlickrという写真共有サイトを開始した。2005年3月、ルディコープ社はYahoo!社に買収され、バターフィールドは2008年7月12日にYahoo!社を退社するまでFlickrのゼネラルマネージャーを務めた[9][4]。

タイニースペック社[編集]

2009年、バターフィールドはタイニースペック(Tiny Speck)という新会社を共同設立した[10]。タイニースペックは2011年9月27日に最初のプロジェクトである多人数参加型ゲーム『Glitch（英語版）』を開始した[11]。その後Glitchは、プレイヤーを十分に集めることができずに閉鎖された。ゲームの世界は2012年12月9日に閉鎖されたが、ウェブサイトはオンラインのままだった[12][13]。2013年1月には、ゲーム内のアートをクリエイティブ・コモンズライセンスで公開することを発表した[14]。2014年12月9日、『Glitch』を『Eleven』という名前で再始動させるためのファンプロジェクトがアルファテストを開始した[15]。

Slack[編集]

詳細は「Slack (ソフトウェア)」を参照

2013年8月、バターフィールドは『Glitch』の制作中にタイニースペック社が構築したインスタントメッセージベースのチームコミュニケーションツール・Slackのリリースを発表した[16][17]。2014年2月の公開後、このツールは毎週5～10%のペースで成長し、8月第1週には毎日12万人以上のユーザーが登録された。2014年初頭には、Slackの最初の6ヶ月間の利用期間のデータでは、広告なしで1万6000人近くのユーザーが登録されていた[18][19]。

2014年、バターフィールドは、下半期中にSlackの社員の採用を開始するために、サンフランシスコにオフィスを確保した[18]。2014年8月にタイニースペック社はスラック・テクノロジーズ（英語版）に改称した[20]。

2015年12月時点で、スラック社は3億4000万ドルのベンチャーキャピタルを調達し、1日のアクティブユーザー数は200万人を超え、そのうち57万人が有料ユーザーとなっていた[21]。

スラック社は『Inc.』誌の2015年のカンパニー・オブ・ザ・イヤーに選ばれた[22]。

2019年6月にはスラック社の株式を公開し、初値38.50ドルをつけ、時価総額は214億ドルとなった[23][24]。

賞と栄誉[編集]

2005年、バターフィールドは『ビジネスウィーク』誌のトップ50リーダーの1人に起業家部門で選出された[25]。また同年、MITが発行する『MIT Technology Review』で、35歳以下の世界のイノベーターのトップ35人（TR35）の1人に選ばれた[26]。2006年には、『タイム』誌が選定した世界で最も影響力のある100人のリスト「タイム100」に選出され[27]、『ニューズウィーク』誌の表紙にも登場した[28][29]。

2015年には『ウォール・ストリート・ジャーナル』のテクノロジー・イノベーターに選ばれ[30]、『TechCrunch』の「Founder of the Year Crunchie」を受賞し[31]、Vanity Fairの「New Establishment」[32]、Advertising Ageの「Creative 50」[33]、Detailsの「Digital Mavericks」[34]に掲載された。

2017年5月には、LinkedInの共同創業者であるリード・ギャレット・ホフマンによるポッドキャストシリーズ「Masters of Scale」に、マーク・ザッカーバーグ、ジョン・エルカーン、ブライアン・チェスキー（英語版）などの成功したビジネスパーソンとともに取り上げられた。その中で彼は、Slackが採用したスケーリング戦略について語っている[35]。

私生活[編集]

バターフィールドは2001年にFlickrの共同創業者であるカテリーナ・フェイクと結婚した[36]が、2007年に離婚した[37]。2人の間には、2007年に生まれた娘が1人いる[38]。

2019年5月にはAway Luggageの共同創業者であるジェニファー・ルビオ（英語版）と婚約した[39]。

脚注[編集]

  1. ^ Metcalf, Tom (2019年6月19日). “Slack's Chairman Was Raised in a Log Cabin. Now He's Worth $1.3 Billion”. Fortune. https://fortune.com/2019/06/19/slack-ipo-chairman-net-worth/ 2020年5月19日閲覧。 
  2. ^ Neil Kandalgaonkar [@NeilKNet] (2016年3月21日). "@stewart Happy birthday. Please keep being yourself as long as you like!". X（旧Twitter）より2020年8月18日閲覧。
  3. ^ Kosoff, Maya (2015年9月2日). “14 Surprising Facts About Slack CEO Stewart Butterfield”. inc.com. 2016年2月19日閲覧。
  4. ^ a b Honan, Mat (August 7, 2014). “The Most Fascinating Profile You'll Ever Read About a Guy and His Boring Startup”. Wired. https://www.wired.com/2014/08/the-most-fascinating-profile-youll-ever-read-about-a-guy-and-his-boring-startup/ 2016年9月3日閲覧。. 
  5. ^ “The $5bn tech boss who grew up without electricity”. Daniel Thomas. BBC News (2018年6月25日). 2018年6月27日閲覧。
  6. ^ a b c d e Kosoff, Maya (2015年9月1日). “The amazing life of Stewart Butterfield, the CEO of one of the fastest-growing business apps ever”. Business Insider. 2017年4月18日閲覧。
  7. ^ Schrodt, Paul (2019年2月7日). “The Man Behind Silicon Valley's Next Big IPO Grew Up on a Commune Without Running Water or Electricity”. Money.com. 2019年4月3日閲覧。
  8. ^ a b Kosoff, Maya (2015年9月2日). “14 Surprising Facts About Slack CEO Stewart Butterfield”. Inc.com. 2020年1月23日閲覧。
  9. ^ Arrington, Michael (2008年6月17日). “Flickr Co-founders Join Mass Exodus From Yahoo”. TechCrunch. 2020年8月18日閲覧。
  10. ^ Swisher, Kara (2010年8月23日). “Flickr Co-Founder Butterfield Talks About His New Game Start-Up, Glitch”. AllThingsD. 2010年9月17日閲覧。
  11. ^ “Stewart Butterfield: The big pivot” (英語). WaitWhat. https://mastersofscale.com/stewart-butterfield-the-big-pivot/ 2018年3月20日閲覧。 
  12. ^ Boyd, E.B. (2011年9月27日). “A Flickr Founder's Glitch: Can A Game That Wants You To Play Nice Be A Blockbuster?”. Fast Company. 2011年9月30日閲覧。
  13. ^ “Vancouver's Tiny Speck puts massively multiplayer game Glitch online”. Vancouver Sun. (2011年9月27日). http://blogs.vancouversun.com/2011/09/27/vancouvers-tiny-speck-puts-massively-multiplayer-game-glitch-online/ 2011年9月30日閲覧。 
  14. ^ Gera, Emily (2013年1月24日). “Glitch developer shares assets under Creative Commons license following closure of game”. Polygon. 2013年3月4日閲覧。
  15. ^ “'Two Years Past' or 'Welcome Home'”. The Eleven Project. 2015年1月11日閲覧。
  16. ^ Tam, Donna (2013年8月14日). “Flickr founder plans to kill company e-mails with Slack”. CNET. 2013年11月26日閲覧。
  17. ^ Thomas, Owen (2013年8月14日). “Die, Email, Die! A Flickr Cofounder Aims To Cut Us All Some Slack”. ReadWrite. 2013年11月26日閲覧。
  18. ^ a b “The Most Fascinating Profile You'll Ever Read About a Guy and His Boring Startup”. Wired. Condé Nast (2014年7月7日). 2014年8月10日閲覧。
  19. ^ “Slack vs. Email: The Case for RTC for Enterprise IT” (英語). IT Pro (2019年3月31日). 2020年1月30日閲覧。
  20. ^ “Tiny Speck is no more. We're now Slack Technologies, Inc. See @SlackHQ. Bye!”. Twitter (2014年8月28日). 2017年3月24日閲覧。
  21. ^ “Slack Raises $80 Million Fund to Support Platform Strategy”. Wall Street Journal. Wall Street Journal (2015年12月15日). 2016年1月27日閲覧。
  22. ^ “Slack Is Our Company of the Year. Here's Why Everybody's Talking About It”. Inc. Magazine. Inc.com (2015年11月23日). 2016年1月27日閲覧。
  23. ^ “What's Next for Slack Now That It's Public” (英語). Fortune. 2019年8月29日閲覧。
  24. ^ Griffith, Erin (2019年6月20日). “Slack Stock Soars, Putting Company's Public Value at $19.5 Billion” (英語). The New York Times. ISSN 0362-4331. https://www.nytimes.com/2019/06/20/technology/slack-stock-ipo-price-trading.html 2020年1月30日閲覧。 
  25. ^ “2005 Top Leaders: Entrepreneurs”. Businessweek (2005年). 2005年12月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年8月18日閲覧。
  26. ^ “2005 Young Innovators Under 35”. Technology Review (2005年). 2011年8月15日閲覧。
  27. ^ “2006 Time 100”. Time (2006年). 2006年5月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年8月18日閲覧。
  28. ^ “Flickr on the cover of Newsweek”. Niall Kennedy (2006年3月27日). 2020年8月18日閲覧。
  29. ^ Levy, Steven (2006年4月2日). “The New Wisdom of the Web”. Newsweek. 2020年8月18日閲覧。
  30. ^ “Stewart Butterfield, Email Killer”. Wall Street Journal. Wall Street Journal (2015年11月5日). 2016年1月27日閲覧。
  31. ^ “Slack's Co-Founders Take Home The Crunchie For Founder Of The Year”. TechCrunch. TechCrunch (2015年2月5日). 2016年1月27日閲覧。
  32. ^ “New Establishment List 2015”. Vanity Fair. Vanity Fair (2015年9月30日). 2016年1月27日閲覧。
  33. ^ “Creativity 50 2015: Stewart Butterfield”. Advertising Age. Advertising Age (2015年12月21日). 2016年1月27日閲覧。
  34. ^ “Digital Mavericks 2015”. Details Magazine. Details Magazine (2015年4月7日). 2016年1月27日閲覧。
  35. ^ “Master of Scale - Stewart Butterfield”. 2020年8月18日閲覧。
  36. ^ Chatterjee, Pia (2007年9月12日). “Love, e-company style”. Business 2.0 Magazine. CNN Money. 2020年8月18日閲覧。
  37. ^ Leonard, Devin (2010年7月28日). “What You Want: Flickr Creator Spins Addictive New Web Service”. Wired. 2010年7月31日閲覧。
  38. ^ Thomas, Owen (2007年7月12日). “Silicon Valley's baby boom”. Gawker. 2020年8月18日閲覧。
  39. ^ Perino, Marissa. “Slack CEO Stewart Butterfield is newly engaged to a woman who runs a $1.4 billion startup. Inside the relationship of Silicon Valley's newest 'it' power couple.”. Business Insider. 2020年8月18日閲覧。

参考文献[編集]

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