ジャシー・スモレット

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ジャシー・スモレット
Jussie Smollett
Jussie Smollett
2018年撮影
本名 Justin Smollett[1]
生年月日 (1982-06-21) 1982年6月21日(41歳)
出生地 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国カリフォルニア州サンタローザ
民族 アフリカ系アメリカ人
職業 俳優・歌手・写真家
ジャンル テレビ
活動期間 1991年 -
著名な家族 ジャーニー・スモレット=ベル(妹)
ジェイク・スモレット英語版(弟)
主な作品
Empire 成功の代償
エイリアン: コヴェナント
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ジャシー・スモレット(Jussie Smollett [ˈʌsi smʌˈlɛt] JUSS-ee 1982年6月21日 - )はアメリカ合衆国俳優歌手写真家。 ドラマ『Empire 成功の代償』で演じたゲイシンガーソングライタージャマル・ライオン英語版」役で知られ、本人もゲイであることを公にしている[2]

プロフィール[編集]

1982年にカリフォルニア州サンタローザ[3] 6人きょうだいの3番目の子として生まれる。父ジョエルはロシアおよびポーランド系のユダヤ人、母ジャネット(旧姓ハリス)はネイティブ・アメリカンアイルランドクレオールの血を引くアフリカ系アメリカ人[4][5][6]市民権活動家である[7]。3人の兄弟と2人の姉妹がいる[8]。妹のジャーニー・スモレット=ベルは子役出身の女優、弟のジェイク・スモレット英語版も子役出身で、成人後は料理番組を手がけるなど、テレビや料理関連の仕事をしており、他のきょうだいも全て子役などでの役者の経験やテレビタレントの経験がある。

子役としてキャリアを始めるが、1990年代半ばで俳優活動を休止し、歌手として活動する[5]。その後、2012年から俳優としての活動を再開し、2015年からFOXで放送されたドラマ『Empire 成功の代償』で演じたゲイシンガーソングライタージャマル・ライオン英語版」役で知られるようになると、コロムビア・レコードと契約してプロ歌手としての活動を本格化する[9]

2018年には『Empire 成功の代償』シーズン4で演出家としてデビューしている[10]

2019年1月には、米調査会社Qスコア英語版による「ポジティブ度」と「親しみ易さ度」の結果をもとに、米The Wrap英語版が発表した米4大TV局であるABCFOXNBCCBSのドラマシリーズに出演する人気俳優TOP10の男優部門で9位に選ばれている[11]

私生活[編集]

2015年3月に出演したトーク番組エレンの部屋』でのインタビューでゲイであることを明らかにしている[2]

暴行事件[編集]

2019年1月29日未明、シカゴ中心部で2人組から「人種差別的で同性愛嫌悪を含んだ中傷」を浴びせられ、殴られるなどの暴行を受けたとして病院に運ばれた。シカゴ警察ヘイトクライム(憎悪犯罪)の可能性を指摘した[12]。「正体不明の化学物質」をかけられた上、首にロープを巻きつけられるなどしたが、大事には至らず、2月2日には復活ライブを開催した[13]

その後、2月20日にシカゴ警察は事件がスモレットによる自作自演の可能性があるとして、スモレットを治安びん乱行為および虚偽通報の疑いで訴追したと発表[14]、翌21日にはスモレットを逮捕・勾留したと発表した[15]。 スモレットは保釈金を払い、パスポートを提出した上で保釈された[16][17]。『エンパイア 成功の代償』シーズン5の撮影途中であったため、以降のキャストから外れた[18]

3月26日になってシカゴのクック郡検事局は保釈金の没収などを条件に全罪状での起訴を取り下げ、裁判を経ずに無罪との判断が下されたことになったが、その理由を明らかにしていないことから、シカゴ市長は「これは司法による粉飾だ」と批判するなど、疑問の声が上がっている[19]。 その後、シカゴ警察は捜査のための時間外労働にかかった費用として13万ドルをスモレットに請求したが、スモレットが支払いを拒否したことから市当局は民事訴訟に踏み切るとしている[20]

そのような中、スモレットが不起訴になった件を捜査するよう、元連邦検事のダン・ウェッブが特別検察官に任命され、捜査の結果、スモレットが再び起訴されたことが2020年になって明らかになった[21]。裁判において、スモレットから3500ドル(約40万円)を受け取ったという襲撃犯の兄弟2人が、襲撃はスモレットが仕組んだものだったと証言したのに対し、スモレットは兄弟の1人について、友人で性的関係があったと説明し、食事代などとして小切手を渡したと主張した上で、「でっち上げはなかった」と訴えた[22]

2021年12月9日、シカゴの裁判所の陪審団は、警察への虚偽通報の罪6件のうち5件で有罪とする評決を出したが、スモレットの弁護団は上訴によって有罪の判断が覆えることを「100%確信している」と話した[22]

出演作品[編集]

映画[編集]

公開年 邦題
原題
役名 備考
1992 飛べないアヒル
The Mighty Ducks
テリー・ホール
1994 ノース 小さな旅人
North
アダム
2014 アスク・ミー・エニシング 彼女の告白
Ask Me Anything
ニコ・デンプスター クレジットなし
日本劇場未公開
2017 エイリアン: コヴェナント
Alien: Covenant
リックス
マーシャル 法廷を変えた男
Marshall
ラングストン・ヒューズ

テレビ[編集]

放映年 邦題
原題
役名 備考
1993-1994 Cro マイク 17エピソード
1994-1995 On Our Own ジェシー・ジェリコ 20エピソード
2014 アドレナリンRUSH
Born to Race: Fast Track
タリク ビデオスルー
リベンジ
Revenge
ジェイミー シーズン4 第3話 "焼跡"
2015-2019 Empire 成功の代償
Empire
ジャマル・ライオン
2017 STAR 夢の代償
Star
ジャマル・ライオン シーズン2 第1話 "The Winner Takes it All"
『Empire 成功の代償』とのクロスオーバー

出典[編集]

  1. ^ Justin Smollett, Born 06/21/1982 in California” (英語). California Birth Index. 2019年2月27日閲覧。
  2. ^ a b 中山雄一朗 (2015年3月10日). “米人気ドラマ俳優、ゲイであることをカミングアウト”. シネマトゥデイ. https://www.cinematoday.jp/news/N0071393 2019年2月6日閲覧。 
  3. ^ Jussie Smollett: "I was NOT born in Brazil!!"” (英語). YouTube. 2019年2月6日閲覧。
  4. ^ Kam Williams (2013年3月29日). “Sentimental Jurnee!” (英語). Insight News. オリジナルの2013年4月11日時点におけるアーカイブ。. https://archive.is/20130411051035/http://www.insightnews.com/columns/kam-williams/10521-sentimental-jurnee 2019年2月6日閲覧。 
  5. ^ a b “New Artist Alert: Jussie Smollett” (英語). RandomTandem. (2010年12月31日). オリジナルの2014年5月4日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20140504002224/http://www.randomtandem.com/2010/12/31/new-artist-alert-jussie-smollett/ 2019年2月6日閲覧。 
  6. ^ “「憎悪犯罪」として捜査中…ユダヤ系黒人俳優の暴行事件をセレブたちがサポート”. エスクァイア. (2019年2月2日). https://www.esquire.com/jp/news/a26094968/jussiesmollett-attack-190131-hns/ 2019年2月6日閲覧。 
  7. ^ Charles Iyoho (2008年3月15日). “'The Spirit Of Hope'” (英語). The Marshall News Messenger. オリジナルの2008年3月22日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20080322031431/http://www.marshallnewsmessenger.com:80/news/content/news/stories/2008/031608_web_smollett.html 2019年2月6日閲覧。 
  8. ^ Jussie Smollett Biography, Celebrity Facts and Awards” (英語). TV Guide. 2019年2月6日閲覧。
  9. ^ Tim Stack (2015年2月26日). “Empire star Jussie Smollett: ‘Somebody wrote me a letter and said Jamal gave them the strength to come out’” (英語). Entertainment Weekly. オリジナルの2016年12月13日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20161213224058/http://www.ew.com/article/2015/02/26/empire-star-jussie-smollett-playing-jamal-%E2%80%98somebody-wrote-me-letter-and-said 2019年2月6日閲覧。 
  10. ^ Felice León (2018年9月27日). “Jussie Smollett: Actor, Activist, Singer, Director and Man Who Leads With His Blackness” (英語). The Root. https://thegrapevine.theroot.com/jussie-smollett-actor-activist-singer-director-and-1829333992 2019年2月7日閲覧。 
  11. ^ “【TVドラマ】アメリカ人気男優ランキングTOP10、『NCIS』『クリマイ』の現役&卒業組の対決に!”. 海外ドラマNAVI. (2019年1月11日). https://dramanavi.net/articles/110717 2032年12月22日閲覧。 
  12. ^ “同性愛公表の米黒人俳優、シカゴで襲われ首にロープ 憎悪犯罪か”. AFPBB News. (2019年1月30日). https://www.afpbb.com/articles/-/3208809 2019年2月6日閲覧。 
  13. ^ “ジャシー・スモレット、人種差別・ホモフォビア事件後、復活ライブを開催”. ELLE. (2019年2月4日). https://www.elle.com/jp/culture/celebgossip/a26128189/jussie-smollett-first-live-since-racist-homophobic-attack/ 2019年2月6日閲覧。 
  14. ^ “米人気ドラマ俳優、ヘイトクライムを自作自演か 警察が訴追”. BBC. (2019年2月21日). https://www.bbc.com/japanese/47303300 2019年2月21日閲覧。 
  15. ^ Trace William Cowen (2019年2月21日). “Jussie Smollett Arrested by Chicago Police for 'Publicity Stunt' to Further His Career” (英語). Complex. https://amp.www.complex.com/pop-culture/2019/02/jussie-smollett-arrest-chicago-police 2019年2月22日閲覧。 
  16. ^ Eliott C. McLaughlin, Amanda Watts and Brad Parks (2019年2月21日). “Jussie Smollett paid $3,500 to stage his attack, hoping to promote his career, police allege” (英語). CNN. https://www.cnn.com/2019/02/21/entertainment/jussie-smollett-thursday/ 2019年2月22日閲覧。 
  17. ^ Erin Jensen, Aamer Madhani and Jayme Deerwester (2019年2月21日). “Jussie Smollett directed brothers to pour gas on him and yell slurs, prosecutor says” (英語). USA TODAY. https://amp.usatoday.com/amp/2936589002 2019年2月22日閲覧。 
  18. ^ Savitsky, Sasha (2019年2月22日). “Jussie Smollett's 'Empire' role cut from season's final episodes, creators say” (英語). Fox News (New York City: Fox Corporation). https://www.foxnews.com/entertainment/jussie-smolletts-empire-role-cut-from-seasons-final-episode-creators-say 2019年2月22日閲覧。 
  19. ^ “ジャシー・スモレット、ヘイトクライムの自作自演を巡る起訴が取り下げられる”. ELLE. (2019年3月26日). https://www.elle.com/jp/culture/celebgossip/a26951295/jussie-smollett-190327/ 2019年3月27日閲覧。 
  20. ^ “ヘイトクライム自作自演の米俳優、当局に捜査費用を請求される”. シネマトゥデイ. (2019年4月6日). https://www.cinematoday.jp/news/N0107964 2019年4月8日閲覧。 
  21. ^ “『Empire』ジャシー・スモレットが再び起訴される!有罪なら50年懲役も...”. 海外ドラマNAVI. (2020年2月13日). https://dramanavi.net/articles/105658 2023年12月22日閲覧。 
  22. ^ a b “米人気ドラマの俳優、ヘイトクライム被害のでっち上げで有罪評決”. BBCニュース. (2021年12月10日). https://www.bbc.com/japanese/59603907 2021年12月10日閲覧。 

外部リンク[編集]