サール4型ミサイル艇

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サールIV型ミサイル艇
US Navy 100315-N-4774B-200 The Chilean navy Sa'ar 4-class fast-attack craft Angamos and Casma perform tactical maneuvering exercises in the Strait Of Magellan.jpg
基本情報
種別 ミサイル艇
運用者  イスラエル海軍
 チリ海軍
 スリランカ海軍
就役期間 イスラエルの旗1973年 - 2014年
前級 サールIII型
準同型艦 ウォリアー型英語版
 南アフリカ海軍
次級 サール4.5型
要目
基準排水量 415トン
満載排水量 450トン
全長 58.1 m
最大幅 7.6 m
吃水 2.4 m
主機 MTU 16V956 TB91
ディーゼルエンジン×4基
推進器 スクリュープロペラ×4軸
出力 14,000馬力
速力 32ノット
航続距離 4,000海里 (17.5kt巡航時)
乗員 45名
兵装62口径76mm単装速射砲×1基
20mmCIWS×1基
70口径20mm単装機銃×2基
12.7mm単装機銃×2基
ガブリエルSSM×6~8発
ハープーンSSM連装発射筒×2基
レーダー ・ネプチューンTH-D 1040 捜索用
オリオンRTN-10X 射撃指揮用
電子戦
対抗手段
・エルタMN-53 電波探知装置
デコイ発射機
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サールIV型ミサイル艇英語: Sa'ar IV-class missile boat)は、イスラエル海軍ミサイル艇の艦級。レシェフ級Reshef-class)とも称される[1][2]。なお「レシェフ」(רשף)はヘブライ語で閃光を意味する[3]

来歴[編集]

イスラエルでは、1954年より艦対艦ミサイル(SSM)の開発を進めてきた。その進展を受けて、1962年からは西ドイツのリュールセン社と共同でミサイル艇の設計に着手、1967年から1969年にかけて、200トン級で40ノットという高速を発揮できるサールII/III型ミサイル艇10隻を整備した[4]

一方、1967年第三次中東戦争によってシナイ半島がイスラエルの占領下に入ったことで、イスラエル海軍が防衛警備にあたる海岸線は5倍に伸び、従来重視されてきた地中海に加えて紅海での作戦も求められるようになった。紅海は地中海よりも海況が厳しく、従来のミサイル艇よりも堪航性に優れた艦艇が求められていた。また1967年にエジプトがチラン海峡を封鎖したことが第三次中東戦争の切掛の一つになったことを教訓に、モーシェ・ダヤン国防相は、紅海南端でアデン湾との境界となるバブ・エル・マンデブ海峡で作戦可能な戦力の整備を要望した[3]。このことから、サールII/III型の実績を踏まえて、艦型を拡大して堪航性・独立行動能力を向上させた新型ミサイル艇として建造されたのが本型である[4]

設計[編集]

基地依存性からの脱却が求められたことから、サール型の派生型としてではなく、リュールセン社が当時設計していた大型艇をベースとした設計が採用され[3]満載排水量にして200トン、全長にして13メートルの大型化となった。これによって堪航性は大幅に向上し、1973年の第四次中東戦争の際には、就役直後であったにも関わらず、ジブラルタル海峡喜望峰を経由して、地中海から紅海アカバ湾への無寄港・大迂回航海(洋上補給を含む)が遂行された[5]。ただし、主機関は新世代のMTU 16V956 TB91に更新されたとはいえ、合計出力はサールII/III型と変わらなかったことから、最大速力は32ノットに低下した[1]

艦型の拡大にともなって、主兵装となる艦対艦ミサイルの搭載数は増加した。当初設計では国産のガブリエル7発(3連装発射筒と4連装発射筒1基ずつ)の搭載が予定されていたが、実際の搭載数は6発に留められた。また1978年よりアメリカ製のハープーンの導入が開始され、ハープーンは連装発射筒を操舵室後方両舷に1基ずつ、ガブリエルはその後方に単装発射筒を6~8基搭載した。これに伴い、ハープーンの水平線超え(OTH)射撃能力を活用するため、1979年には「タルシーシュ」に仮設式のヘリコプター甲板が設置された[1][2]

対地艦砲射撃が想定されたこともあり、当初は船首・船尾甲板に62口径76mm単装速射砲を1基ずつ備えていた。その後、1983年に「レシェフ」が船首甲板の砲をファランクス20mmCIWSに換装したのを皮切りに、1985年までに全艇で同様の換装が行われた。また「ニッツホーン」および「コメミユート」では、換装までの間、一時的にボフォース 40mm機銃を装備していた[1]

同型艦一覧[編集]

先行するサールII/III型ミサイル艇シェルブールCMN社で建造された結果、フランスの武器禁輸措置の影響で引き渡しに困難を伴ったことを教訓として、本級は全艦がイスラエル国内で建造された[3]

 イスラエル海軍 退役後
艦名 進水 退役 再就役先 # 艦名
レシェフ
INS Reshef
1973年2月19日 1997年  チリ海軍 LM-34 アンガモス
Angamos
ケシェット
INS Keshet
1973年8月2日 1981年 LM-31 チパーナ
Chipana
ロマク
INS Romach
1974年1月 1979年 LM-30 カスマ
Casma
キドン
INS Kidon
1974年9月 1994年 一部艤装はサール4.5型に再利用、
船体は海没処分
タルシーシュ
INS Tarshish
1975年1月17日 1995年 一部艤装はサール4.5型に再利用、
残余は予備部品用としてチリ海軍に売却
ヤーフォ
INS Yaffo
1975年2月3日 1998年 一部艤装はサール4.5型に再利用
ニッツホーン
INS Nitzahon
1978年7月10日 2014年
アッツモウト
INS Atsmout
1978年12月3日
モレデート
INS Moledet
1979年3月22日 2000年  スリランカ海軍 SLNS Suranimala
コメミユート
INS Komemiyut
1978年7月19日 SLNS Nandimitra

このほかにも、南アフリカ海軍英語版において、サール4型の改良型のミニスター型 (ウォリアー型) ミサイル艇英語版が9隻導入された。

参考文献[編集]

  1. ^ a b c d Bernard Prezelin (1990). The Naval Institute Guide to Combat Fleets of the World, 1990-1991. Naval Institute Press. p. 267. ISBN 978-0870212505. 
  2. ^ a b Robert Gardiner, ed (1996). Conway's All the World's Fighting Ships 1947-1995. Naval Institute Press. p. 193. ISBN 978-1557501325. 
  3. ^ a b c d ラビノビッチ, アブラハム『激突!!ミサイル艇』原書房、1992年、227-236頁。ISBN 978-4562022991
  4. ^ a b 「船体 (特集・現代の高速戦闘艇)」『世界の艦船』第502号、海人社、1995年10月、 86-89頁。
  5. ^ 藤木平八郎「高速戦闘艇の今日と明日 (特集・現代の高速戦闘艇)」『世界の艦船』第502号、海人社、1995年10月、 70-75頁。

関連項目[編集]