サンゴジュ

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サンゴジュ
Viburnum odoratissimum var. awabuki
Viburnum odoratissimum var. awabuki
(2007年7月29日、大阪府
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
階級なし : コア真正双子葉類 core eudicots
階級なし : キク類 asterids
階級なし : 真正キク類II euasterids II
: マツムシソウ目 Dipsacales
: レンプクソウ科 Adoxaceae
: ガマズミ属 Viburnum
: サンゴジュ(広義)
V. odoratissimum
変種 : サンゴジュ
V. o. var. awabuki
学名
Viburnum odoratissimum Ker Gawl.
var.awabuki (K.Koch) Zabel[1]
シノニム
和名
サンゴジュ(珊瑚樹)
英名
sweet viburnum

サンゴジュ(珊瑚樹[3]学名: Viburnum odoratissimum または Viburnum odoratissimum var. awabuki)は、レンプクソウ科ガマズミ属に属する常緑高木である。暖地の海岸近くに生え、珊瑚に見立てられた赤い果実がつき、庭木、生け垣、防風・防火樹に利用される。

名称[編集]

和名サンゴジュは、に真っ赤に熟す果実が柄まで赤く、この姿をサンゴに見立てたのが由来となっている[4]

標準学名の Viburnum odoratissimum var. awabuki は、中国名で「日本珊瑚樹」とされ、APG体系でガマズミ科・レンプクソウ科、クロンキスト体系エングラー体系スイカズラ科に分類される[1]。広義の学名は Viburnum odoratissimum で、中国名で「珊瑚樹」とされる[2]

分布[編集]

日本朝鮮半島台湾東南アジア温帯亜熱帯地域に野生する。日本では、本州関東地方南部以西の海岸寄り、東海地方南部の海岸寄り、四国九州沖縄まで自然分布する[5]。暖地の海岸近くの山地に生える[4][3]。庭や公園でもよく見かける[3]

形態・生態[編集]

常緑広葉樹。中高木で、長円錐形の整った樹形になる[4]樹皮は灰褐色でなめらか[3]。若い枝は褐色で盛り上がった皮目が多い[3]。太い幹の樹皮は裂け目が入って荒れ肌になる[3]

は長楕円形で、縁に小さくまばらな鋸歯がある。葉身は光沢と厚みのある革質で、枝から折り取ると白い綿毛が出る。若葉は褐緑~褐色であるが、夏は淡緑色、冬は濃緑色へと変化する[4]。葉は虫食いだらけで穴が開いているものも多い[3]

花期は初夏(6 - 7月)。小枝の先端から大型の円錐花序を出して、やや紫を帯びた小型の白いを多数開花する[5]花冠は、長さ約6ミリメートル (mm) の筒状で、先端が浅く5裂する[5]果実液果で、長さ7 - 8 mmの楕円形の実を赤い果柄の先端に多数つける[5]。はじめは鮮やかな赤色であるが、9 - 11月頃に熟すと青黒色に変わる[5]

冬芽は長楕円形で、淡緑褐色の4 - 6枚あるフェルト質の芽鱗に包まれる[3]。側芽は対生する葉の付け根につく[3]。葉痕は半円形で維管束痕は3個つく[3]

栽培[編集]

日なたから日陰まで植栽できる。土壌の質は全般で、適湿地に深く根づく[4]。植栽適期は3月 - 4月上旬か6 - 7月、9月 - 10月上旬とされ[4][5]、剪定は3 - 4月か6月下旬 - 7月、9月下旬 - 10月下旬に行うとされる[4]。施肥は1 - 2月と9月に行う[4]

人間との関わり[編集]

庭や公園などに植えられ[3]、防火・防風・防音の機能を有する樹種(防火樹・防風樹・防音樹)としても知られる[6]

種小名のawabukiに示されるように、厚く水分の多い葉や枝は、火をつけても泡をふくばかりで燃えにくい。それゆえ、火災延焼防止に役立つともいわれ、防火樹として庭木や生垣によく用いられる。刈り込みに強く、良く分枝して下枝が枯れないことから、古くから高さ2 - 4 mくらいの生け垣をつくるのに使われており、対潮性があり海岸の防風垣としても利用される[5]

また、魚毒植物としても知られており、沖縄県ではかつて毒流し漁に利用されていた[7][8]横浜市大東市防府市の市の木。

化学[編集]

ビブサニンAやBを始めとしたビブサン型ジテルペノイドが多数含まれている[8][9]

ビブサニンAの構造

脚注[編集]

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  1. ^ a b 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Viburnum odoratissimum Ker Gawl. var. awabuki (K.Koch) Zabel” (日本語). BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2015年4月24日閲覧。
  2. ^ a b 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Viburnum awabuki K.Koch” (日本語). BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2015年4月24日閲覧。
  3. ^ a b c d e f g h i j k 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文 2014, p. 25.
  4. ^ a b c d e f g h 正木覚 2012, p. 62.
  5. ^ a b c d e f g 山﨑誠子 2019, p. 54.
  6. ^ 藤山宏 『プロが教える住宅の植栽』学芸出版社、2010年、9頁。 
  7. ^ 盛口満 (2015). “琉球列島における魚毒漁についての報告”. 沖縄大学人文学部紀要: 69-75. https://hdl.handle.net/20.500.12001/19043. 
  8. ^ a b Kawazu, K. (1980). “Isolation of Vibsanines A, B, C, D, E and F from Viburnum odoratissimum”. Agric. Biol. Chem. 44: 1367-1372. doi:10.1271/bbb1961.44.1367. 
  9. ^ Fukuyama, Y.; Minami, H.; Takeuchi, K.; Kodama, M.; Kawazu, K. (1996). “Neovibsanines A and B, Unprecedented Diterpenes from Viburnum awabuki”. Tetrahedron Lett. 37: 6767-6770. doi:10.1271/bbb1961.44.1367. 

参考文献[編集]

  • 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文 『樹皮と冬芽:四季を通じて樹木を観察する 431種』誠文堂新光社〈ネイチャーウォチングガイドブック〉、2014年10月10日、25頁。ISBN 978-4-416-61438-9 
  • 正木覚 『ナチュラルガーデン樹木図鑑』講談社、2012年4月26日、62頁。ISBN 978-4-06-217528-9 
  • 山﨑誠子 『植栽大図鑑[改訂版]』エクスナレッジ、2019年6月7日、54 - 55頁。ISBN 978-4-7678-2625-7 
  • 林将之 『葉で見わける樹木 増補改訂版』小学館〈小学館のフィールド・ガイドシリーズ〉、2010年、164頁。ISBN 978-4-09-208023-2 
  • 林将之 『樹木の葉 : 実物スキャンで見分ける1100種類 : 画像検索』山と溪谷社〈山溪ハンディ図鑑〉、2014年、682頁。ISBN 978-4-635-07032-4 
  • 林将之 『葉っぱで見わけ五感で楽しむ樹木図鑑』ナツメ社、2016年、319頁。ISBN 9784816355905 

関連項目[編集]

外部リンク[編集]