サミア・スルフ・ハッサン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ナビゲーションに移動 検索に移動
サミア・スルフ・ハッサン
Samia Suluhu Hassan in May 2017.jpg
第6代 タンザニア連合共和国大統領
就任
2021年3月19日
首相カシム・マジャリワ
副大統領フィリップ・ムパンゴ
前任者ジョン・マグフリ
第10代 タンザニア連合共和国副大統領
任期
2015年11月5日 – 2021年3月19日
大統領ジョン・マグフリ
前任者モハメド・ガーリブ・ビラル
後任者フィリップ・ムパンゴ
副大統領府 連合問題担当国務相
任期
2010年11月29日 – 2015年11月5日
大統領ジャカヤ・キクウェテ
前任者モハメド・サーイフ・ハティーブ
後任者ジャニュアリー・マカンバ
タンザニア国民議会議員
(マクンドゥチ選挙区)
任期
2010年11月 – 2015年7月
後任者アミール・ティンベ
観光・貿易・投資相
任期
2005年 – 2010年
大統領アマニ・カルメ
前任者ムーサ・シリマ
後任者サイード・アリ・ムバルーク
個人情報
生誕 (1960-01-27) 1960年1月27日(62歳)
ザンジバル王国(現在のタンザニア)、マクンドゥチ
政党タンザニア革命党
配偶者
ハーフィズ・アミール (m. 1978)
子供4人
教育ムズンベ大学(高度専門士
マンチェスター大学PGDip
タンザニア・オープン・ユニバーシティ(修士(理学)
公式サイト公式サイト

サミア・スルフ・ハッサン: Samia Suluhu Hassan1960年1月27日 - )は、タンザニアの政治家。同国第6代大統領。タンザニア革命党 (CCM) 所属。前任のジョン・マグフリの死去をうけて、2021年3月19日に副大統領から昇格する形で就任した。東アフリカ共同体 (EAC) 諸国ではブルンジシルヴィ・キニギルワンダアガート・ウィリンジイマナに次ぐ史上3人目の女性国家元首で、タンザニアでは初の女性大統領である。

ザンジバル出身[1]。大統領アマニ・カルメのもと、ザンジバル革命政府で大臣を務めた。2010年から2015年まで、タンザニア国民議会議員と連合問題担当国務相を兼務。2014年には新憲法の起草を担う制憲議会の副議長に選出された。

2015年の総選挙後、タンザニア初の女性副大統領に就任。2020年にも再選された。

経歴[編集]

左からバングラデシュのシェイク・ハシナ首相、エストニアのカヤ・カッラス首相、ハッサン、スコットランド首相のニコラ・スタージョン(2021年11月2日)

1960年1月27日、ザンジバル王国(当時)のウングジャ島にあるマクンドゥチで生まれる[2]

1977年に中等教育を修了後、仕事のかたわら多くの短期講座を受講。1986年に開発管理研究院(現在のムズンベ大学)から行政学で高度専門士の学位を取得した[3]

1992年にイギリスマンチェスター大学に進学し、1994年に経済学のポストグラデュエート・ディプロマを取得した[4]。2015年には、タンザニア・オープン・ユニバーシティと南ニューハンプシャー大学の合同プログラムで開発経済学の修士号を取得している[3]

中学校卒業後、企画開発省に用務員として勤務。行政学の学位を取得後は、世界食糧計画 (WFP) が資金援助するプロジェクトにたずさわった[3]

2000年に政界入りを決意し、ザンジバル議会議員に当選[5]、ザンジバル大統領のアマニ・カルメから大臣にも任命された。当時唯一の女性閣僚で、男性の同僚からは性別を理由に「見下された」[4]。2005年に再選後は、観光・貿易・投資相に転任した[6]

2010年にタンザニア国民議会議員に転身し、マクンドゥチ選挙区から立候補、80%以上の得票率で当選した[6]。大統領のジャカヤ・キクウェテから、連合問題担当国務相に任命された[7]。2014年には、新憲法起草のため設けられた制憲議会の副議長に選出された[8]

2015年7月、同年の大統領選挙にCCMから立候補するジョン・マグフリから、副大統領候補に指名された[9]。女性が副大統領候補となるのはタンザニア史上初めてであった[10]。大統領選ではマグフリが当選したため、11月5日に史上初の女性副大統領に就任した[11]。2人は2020年の大統領選挙でもそれぞれ再選された。

2021年3月17日、スルフはマグフリが長い闘病生活の末に死去したと発表した。マグフリは2月末以来、公の場に姿を見せていなかった。3月19日にスルフの大統領就任式が行われ、任期5年の第2次マグフリ政権の残りの期間を務めることになった[12]。任期開始が若干遅れたのは、副大統領の大統領昇格には宣誓が必要と憲法で厳格に規定されているためである[13]。これには野党指導者から、権力の「空白」が生まれるとの懸念が表されたが[14]、宣誓によってスルフはタンザジア史上初の女性大統領となった[15]。また、ザンジバル出身者としては2人目[16]、ムスリムではアリ・ハッサン・ムウィニ(第2代)とジャカヤ・キクウェテ(第4代)に次ぐ3人目の大統領となった[17]。なお、現職のアフリカの女性国家元首は、スルフとエチオピアの大統領サーレワーク・ゼウデのみである[18]。憲法の規定により、スルフは前大統領の任期の残り3年余りを務めることになるが、その満了後は1回のみ再選可能である[13]

新型コロナウイルスに懐疑的だったマグフリとは対照的に、スルフ政権は国内のパンデミックを抑え込む政策を打ち出した。新たな変異株が確認された国からの入国者には、14日間の隔離を義務付けた。また、入国者全員にマスクの着用、消毒、ソーシャルディスタンスの実践を求めた[19]。国内の各国大使館や国際機関には、在留外国人用のワクチンの輸入を認め、保健省に支援させた[20]。国内で新型コロナウイルスのワクチン接種キャンペーンがはじまった7月28日には自ら接種を受け、タンザニアは「孤島ではない」として、すべての国民に接種を呼びかけた[21]

人物[編集]

1978年に農務官僚であるハーフィズ・アミールと結婚し、4人の子どもをもうけた[4]。第2子にあたる娘のワヌー・ハーフィズ・アミール(1982年 - )は、ザンジバル議会議員を務めている[22][23]

脚注[編集]

  1. ^ Mules, Ineke (2021年3月19日). “Samia Suluhu Hassan: Who Is Tanzania's New President?” (英語). Deutsche Welle. 2021年3月25日閲覧。
  2. ^ “Samia Suluhu Hassan—Tanzania's new president” (英語). BBC News. (2021年3月19日). https://www.bbc.com/news/world-africa-56444575 2021年3月21日閲覧。 
  3. ^ a b c Member of Parliament CV”. Parliament of Tanzania. 2015年7月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年2月19日閲覧。
  4. ^ a b c Mwakyusa, Alvar (2014年9月18日). “Samia Suluhu Hassan: A tough journey from activism to politics”. Daily News. オリジナルの2015年8月12日時点におけるアーカイブ。. https://www.webcitation.org/6ajmyEvqc?url=http://dailynews.co.tz/archive/index.php/features/36136-samia-suluhu-hassan-a-tough-journey-from-activism-to-politics 2015年8月12日閲覧。 
  5. ^ Minde, Nicodemus. “Tanzania's Samia Hassan has the chance to heal a polarised nation” (英語). The Conversation. 2021年3月25日閲覧。
  6. ^ a b Mwakyusa, Alvar (2014年9月18日). “Tanzania: Samia Suluhu Hassan – a Tough Journey From Activism to Politics”. AllAfrica. オリジナルの2019年8月5日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20190805152926/https://allafrica.com/stories/201409181187.html 2016年11月16日閲覧。 
  7. ^ “Tanzania: History Made as Samia Picked Running Mate”. AllAfrica. (2015年7月13日). オリジナルの2016年11月16日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20161116101756/http://allafrica.com/stories/201507130201.html 2016年11月16日閲覧。 
  8. ^ Mwakyusa, Alvar (2014年3月14日). “Tanzania: Union 'Stalwart' Samia Is CA Vice-Chairperson”. AllAfrica. オリジナルの2014年3月14日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20140314153737/http://allafrica.com/stories/201403140029.html 2016年11月16日閲覧。 
  9. ^ CCM [@ccm_tanzania] (2015年7月12日). "Mgombea mwenza Urais 2015 wa Mhe. John Pombe Magufuli ni.." (ツイート) (Swahili). Twitterより2015年7月12日閲覧
  10. ^ Tanzania's ruling party nominates John Magufuli as presidential candidate”. Quartz (2015年7月12日). 2015年8月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年8月12日閲覧。
  11. ^ Kalinaki, K. Daniel (2015年10月30日). “CCM's John Magufuli declared Tanzania fifth president”. The East African. オリジナルの2015年10月31日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20151031002340/http://www.theeastafrican.co.ke/news/John-Magufuli-declared-Tanzania-s-fifth-president/-/2558/2934778/-/11h61lfz/-/index.html 2015年10月31日閲覧。 
  12. ^ Shaban, Ebby; Feleke, Bethlehem (2021年3月19日). “Tanzania swears in Samia Suluhu Hassan as first female president”. CNN. https://www.cnn.com/2021/03/19/africa/tanzania-samia-suluhu-hassan-president-intl/ 
  13. ^ a b Constitution of Tanzania”. 2021年8月1日閲覧。 “Where the office of President becomes vacant by reason of the death of the President, his resignation, loss of the electoral qualifications or inability to perform his functions due to physical infirmity, or failure to discharge the duties and functions of the office of President, then the Vice-President shall be sworn in and become the President for the unexpired period of the term of five years”
  14. ^ “Tanzania swears in new president after sudden death of Magufuli”. Al Jazeera. (2021年3月19日). https://www.aljazeera.com/news/2021/3/19/tanzania-to-swear-in-new-president-on-friday-after-death-of-maguf 2021年3月21日閲覧。 
  15. ^ “Tanzania's Samia Suluhu takes presidential oath”. Business Daily. (2021年3月19日). https://www.businessdailyafrica.com/bd/news/east-africa/tanzania/tanzania-samia-suluhu-presidential-oath-3328214 
  16. ^ Kiruga, Morris (2021年3月18日). “Tanzania: The legacy of Magufuli and the beginning for Suluhu”. The Africa Report.com. 2021年3月19日閲覧。
  17. ^ Tongola, Mate (2021年3月19日). “Muslim-Christianity ties that bind Suluhu's choice for deputy”. The Standard. 2021年3月19日閲覧。
  18. ^ Tanzania's Samia Suluhu Hassan sworn in as first female president”. The Economic Times (2021年3月19日). 2021年3月19日閲覧。
  19. ^ Tanzania, once sceptical of COVID-19, announces measures to curb new variants”. Reuters (2021年5月3日). 2021年6月24日閲覧。
  20. ^ Tanzania says embassies, international agencies can import COVID-19 vaccines”. Reuters (2021年6月4日). 2021年6月24日閲覧。
  21. ^ “Covid in Tanzania: Vaccination campaign gets underway”. BBC. (2021年7月28日). https://www.bbc.com/news/57641824 2021年7月28日閲覧。 
  22. ^ Hon. Wanu Hafidh Ameir”. zanzibarassembly.go.tz. 2021年3月18日閲覧。
  23. ^ “Samia Suluhu Hassan – the woman set to become Tanzania's next president” (英語). BBC News. (2021年3月18日). https://www.bbc.com/news/world-africa-56444575 2021年3月18日閲覧。 
公職
先代:
ジョン・マグフリ
タンザニアの旗 タンザニア連合共和国大統領
2021年 –
現職