サハロフ賞
| サハロフ賞 | |
|---|---|
2009年の授賞式 | |
| 会場 | 欧州議会本会議場(ストラスブール) |
| 国 | 欧州連合, フランス |
| 主催 | 欧州議会 |
| 報酬 | 5万ユーロ |
| 初回 | 1988年 |
| 最新回 | 2020年 |
サハロフ賞(サハロフしょう)とは、人権と思想の自由を守るために献身的な活動をしてきた個人や団体をたたえる賞。1988年12月に欧州議会が創設した。賞の名称はソビエト連邦の物理学者で反体制運動家のアンドレイ・サハロフに由来する。欧州議会の外交委員会と開発委員会が授賞候補者を選定し、毎年10月に受賞者を発表している[1]。2010年の時点では、副賞として5万ユーロが贈呈されている[1]。
初の受賞者となったのは、南アフリカ共和国でアパルトヘイト廃止運動のために終身刑で服役中だったネルソン・マンデラと、ソビエト連邦において労働収容所(強制収容所)での実体験を公刊した末に1986年に獄中死していたロシア人のアナトリー・マルチェンコであった。
2011年には「アラブの春の活動家達」名義で、4カ国5名の活動家が受賞した[2]。サハロフ賞は個人のほかに団体にも授賞しており、1992年にはアルゼンチンの5月広場の母たちに、2009年にロシアの市民運動団体メモリアルが受賞した。2022年にはロシアのウクライナ侵攻に対して抵抗を続けるウクライナ国民に対して授賞が行われ、一国の国民全体に対する初の授賞例となった。2024年はベネズエラの野党指導者であるマリア・マチャドと野党候補者として同年の大統領選挙(en:)に立候補したエドムンド・ムルティアが受賞した。
サハロフ賞の授賞式は毎年12月10日に行われており、この日は国際連合総会で1948年に世界人権宣言が採択された日で[3]、世界人権デーに制定されている[4]。ただし、民主化運動などの反体制活動のため居住国の政府により出国が認められない、あるいはその活動によって既に死亡している受賞者も多数存在し、その場合には代理人が同賞を受賞する。
また、欧州議会を構成する欧州連合の加盟国であるスウェーデンにあるノーベル財団が選考するノーベル平和賞との重複受賞者としてはネルソン・マンデラ、アウンサンスーチー、マララ・ユスフザイ、デニ・ムクウェゲの4人がおり、特にアウンサンスーチーは1990年に同年内で両賞を、ユフフザイは2013年のサハロフ賞受賞の翌2014年にノーベル平和賞を受賞している。
受賞者
[編集]- 1988年:ネルソン・マンデラ(南アフリカ共和国)、アナトリー・マルチェンコ(ソビエト連邦、受賞時は既に故人)
- 1989年:アレクサンデル・ドゥプチェク(チェコスロバキア)
- 1990年:アウンサンスーチー(ミャンマー)(※ 賞を受け取ったのは自宅軟禁からの解放後2013年。2020年9月10日、欧州議会はアウンサンスーチーがロヒンギャに対する犯罪行為を容認し、行動を怠っているとして受賞者としての活動資格を停止した。サハロフ賞として初めての措置だが、受賞者としては残る[5]。)
- 1991年:アデム・デマチ(ユーゴスラビア社会主義連邦共和国)
- 1992年:5月広場の母たち(アルゼンチン)
- 1993年:オスロボジェニ(ボスニア・ヘルツェゴビナ)
- 1994年:タスリマ・ナスリン(バングラデシュ)
- 1995年:レイラ・ザーナ(トルコ)
- 1996年:魏京生(中華人民共和国)
- 1997年:サリーマ・ゲザーリー(アルジェリア)
- 1998年:イブラヒム・ルゴヴァ(ユーゴスラビア連邦共和国)
- 1999年:シャナナ・グスマン(東ティモール)
- 2000年:バスタ・ヤ!(スペイン)
- 2001年:ヌリト・ペレド=エルハナン(イスラエル)、イッザト・ガッザーウィ(パレスチナ)、ザカリアス・カムウェンホ(アンゴラ)
- 2002年:オズワルド・パヤ(キューバ)
- 2003年:国際連合
- 2004年:ベラルーシジャーナリスト協会
- 2005年:ダマス・デ・ブランコ(キューバ)、国境なき記者団、ハウワ・イブラヒム(ナイジェリア)
- 2006年:アレクサンダル・ミリンキエヴィチ(ベラルーシ)
- 2007年:サーリフ・マフムード・オスマーン(スーダン)
- 2008年:胡佳(中華人民共和国)
- 2009年:メモリアル(ロシア)
- 2010年:ギジェルモ・ファリニャス(キューバ)
- 2011年:「アラブの春」の活動家達
- アスマー・マフフーズ(エジプト)
- アフマド・アッ=ズバイル・アッ=サヌーシー(リビア)
- ラザーン・ザイトゥーナ(シリア)
- アリー・ファルザート(シリア)
- モハメド・ブアジジ(チュニジア、ジャスミン革命の発端となった、焼身自殺を図った人物)
- 2012年
- ジャアファル・パナーヒー(イラン)
- ナスリーン・ソトゥーデ(イラン)
- 2013年:マララ・ユスフザイ(パキスタン)
- 2014年:デニ・ムクウェゲ(コンゴ民主共和国)
- 2015年:レイフ・バダウィ(サウジアラビア)
- 2016年:ナディア・ムラド、ラミヤ・アジ・バシャル(イラク)[6]
- 2017年:ベネズエラの民主主義的野党勢力
- 2018年:オレグ・センツォフ(ウクライナ)
- 2019年:イリハム・トフティ(中華人民共和国、ウイグル人民族学者)
- 2020年:マリア・コレスニコワ(ベラルーシの民主主義的野党勢力)
- 2021年:アレクセイ・ナワリヌイ(ロシア)[7]
- 2022年 - 2022年ロシアのウクライナ侵攻に対して抵抗するウクライナ国民[8]
- 2023年:マフサ・アミニ(イラン、故人)
- 2024年:マリア・コリーナ・マチャド(en:, es:)(ベネズエラ)、エドムンド・ウルティア(en:, es:)(ベネズエラ)
- 2025年:アンジェイ・ポチョブト、ムジア・アマグロベリ(それぞれベラルーシ、ジョージアで強権的な政府を批判する報道を行なうジャーナリスト)[9]
脚注
[編集]- ^ a b “Sakharov Prize for Freedom of Thought” (英語). European Parliament. 2010年10月25日閲覧。
- ^ “Sakharov Prize for Freedom of Thought 2011” (英語). European Parliament. 2012年7月21日閲覧。
- ^ “The Universal Declaration of Human Rights” (英語). United Nations. 2010年10月25日閲覧。
- ^ “Human Rights Day” (英語). United Nations. 2010年10月25日閲覧。
- ^ “スー・チー氏の活動資格停止 90年受賞の「サハロフ賞」で欧州議会”. 時事通信社. 2020年9月12日閲覧。[リンク切れ]
- ^ 「サハロフ賞にヤジディ教徒女性=ISの残虐行為告発-欧州議会[リンク切れ]」時事通信
- ^ ナワリヌイ氏にサハロフ賞 代理受賞の長女「名誉だが悪夢」朝日新聞デジタル(2021年12月16日)
- ^ ウクライナ国民 サハロフ賞:欧州議会「戦場で自由の価値守る」読売新聞オンライン(2022年10月20日)
- ^ 「政権批判2氏 サハロフ賞/ベラルーシ、ジョージアの記者/欧州議会」『朝日新聞』朝刊2025年10月23日(国際面)
外部リンク
[編集]- Sakharov Prize (英語ほか19言語)