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カンタリジン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
カンタリジン
物質名
識別情報
3D model (JSmol)
バイルシュタイン 85302
ChEBI
ChEMBL
ChemSpider
ECHA InfoCard 100.000.240 ウィキデータを編集
EC番号
  • 200-263-3
KEGG
UNII
性質
C10H12O4
モル質量 196.202 g·mol−1
外観 白色固体
密度 1.41 g/cm3
融点 212 °C (414 °F; 485 K)
薬理学
None
投与経路 Topical
法的状態
危険性
労働安全衛生 (OHS/OSH):
主な危険性
高い毒性
GHS表示:
急性毒性(高毒性) 急性毒性(低毒性)
Danger
H300, H315, H319, H335
P261, P264, P270, P271, P280, P301+P310, P302+P352, P304+P340, P305+P351+P338, P312, P321, P330, P332+P313, P337+P313, P362, P403+P233, P405, P501
NFPA 704(ファイア・ダイアモンド)
NFPA 704 four-colored diamondHealth 4: Very short exposure could cause death or major residual injury. E.g. VX gasFlammability 1: Must be pre-heated before ignition can occur. Flash point over 93 °C (200 °F). E.g. canola oilInstability 1: Normally stable, but can become unstable at elevated temperatures and pressures. E.g. calciumSpecial hazards (white): no code
4
1
1
致死量または濃度 (LD, LC)
0.03–0.5 mg/kg (ヒト)
特記無き場合、データは標準状態 (25 °C [77 °F], 100 kPa) におけるものである。
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カンタリジン英語: cantharidin)は、エーテルテルペノイドに分類される有機化合物の一種。カルボン酸無水物を含む構造を持つ。含有する昆虫の一つジョウカイボン科(Cantharidae)にちなみ命名された。ピエール=ジャン・ロビケ1810年に初めてカンタリジンを単離した[2]

昇華性がある結晶で、水にはほとんど溶けない。皮膚につくと痛みを感じ、水疱を生じる。

ツチハンミョウ類、ジョウカイボン類、カミキリモドキ類、アリモドキ類、ハネカクシ類などの甲虫類が分泌する体液に含まれる。日本では、夜間に灯火に飛来するアオカミキリモドキXanthochroa waterhousei)によって皮膚に水疱を生じる事故が多い。

スパニッシュフライ(Lytta vesicatoria

ヨーロッパに分布するツチハンミョウ科のスパニッシュフライLytta vesicatoria)、ジョウカイボン科のカンタリス・ウェシカトリアCantharis vesicatoria)、日本ではマメハンミョウEpicauta gorhami)などがカンタリジンを持つ昆虫として有名である。カンタリス・ウェシカトリアは 0.6% – 1% のカンタリジンを含む。

利用

[編集]

カンタリジンを含むカンタリス(カンタリデス・カンサリス)は古くから難病を治すことに使われていた。皮膚外用によって水泡ができ(発泡薬)、炎症や神経痛の治療[3]、イボ取り[4][5]などに用いられている。また、内服によって尿失禁膀胱炎の治療などに用いられている。かつて日本薬局方にカンタリジンを主成分とするカンタリスが収載されていたが、現在は削除されている(極量:1回0.03 g、1日0.1 g、致死量1.5 g)。薬事法施行規則では、カンタリジン及びその化合物が毒薬に、カンタリスとこれを含有する製剤およびカンタリジンまたはその化合物を含有する製剤(一部例外あり)が劇薬に指定されている。また、ホメオパシーのレメディとしても内服が行われている。

かつては乾燥した虫の粉を暗殺用の毒薬媚薬としても用いた由。発毛剤としても使われていた。

脚注

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  1. ^ Ycanth- cantharidin solution”. DailyMed (2023年7月25日). 2023年8月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年8月28日閲覧。
  2. ^ Wolter, Hans (1995). Kompendium der Tierärztlichen Homöopathie. Enke. ISBN 978-3432978925 
  3. ^ 長崎大学薬学部 長崎薬学史の研究~第二章 近代薬学の導入期(1.ポンペ、ハラタマなどオランダ医師薬剤師の渡来)”. www.ph.nagasaki-u.ac.jp. 2012年1月20日閲覧。
  4. ^ 伝染性軟属腫: ウイルス性皮膚疾患: メルクマニュアル18版 日本語版”. www.msdmanuals.com. 2012年1月20日閲覧。
  5. ^ 疣贅: ウイルス性皮膚疾患: メルクマニュアル18版 日本語版”. www.msdmanuals.com. 2012年1月20日閲覧。