エミール・ブートルー

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エミール・ブートルー
1909年撮影
生誕 1845年7月28日
モンルージュ(現・オー=ド=セーヌ県
死没 1921年11月22日
パリ
時代 19世紀哲学
地域 西洋哲学
学派 フランス・スピリチュアリスム
研究分野 宗教と科学の調停
主な概念 「信仰心と宗教的感情が、科学的世界観に加えられる権利を要求する」
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エティエンヌ・エミール・マリー・ブートルーÉtienne Émile Marie Boutroux, 1845年7月28日 - 1921年11月22日)は、19世紀フランスの著名な科学哲学者宗教哲学者、歴史哲学者。科学における唯物論を痛烈に批判した。フランス・スピリチュアリスムの系譜に連なる哲学者であり、科学の力が容赦なく強まっていた時代にあって、宗教と科学は調停可能だと強く主張した。有名な哲学者アンリ・ベルクソンの影に隠れてしまったことで、英語圏ではブートルーの仕事はあまり知られていない。1898年に道徳・政治学アカデミーの、1912年にはアカデミー・フランセーズの会員に選出された。

エミール・ブートルーはパリの近く、オー=ド=セーヌ県モンルージュに生まれた。リセ・ナポレオン(現・リセ・アンリ4世)に入学し、1865年に卒業、その後高等師範学校へ進む。1869年から1870年までドイツハイデルベルク大学に留学し、生理学者・物理学者のヘルマン・フォン・ヘルムホルツに学ぶとともに、そこでドイツ哲学とも出会った。

初めて得た仕事はカーンにあるリセの哲学教師だった。1874年、博士論文をもとにした処女作『自然法則の偶然性について(De la Contingence des Lois de la Nature)』を上梓した。同書は、カント哲学が科学にとって持つ含意を分析したものである。

1874年から1876年にかけて、ブートルーはナンシー大学文学部で教鞭をとり、そこで科学者・数学者のアンリ・ポアンカレの妹であるアリーヌ・ポアンカレと恋に落ち、結婚した。1880年、息子のピエールが誕生した。ピエール・ブートルーもまた、数学者・科学史家として世にでることになった。

1888年、ブートルーはパリソルボンヌ大学で近代哲学史の教授に就任した。

1898年、道徳・政治学アカデミーの会員に選出され、1902年にはフランスの優秀な学生のための住居であるティエール財団のディレクターに就任した。1912年にはアカデミー・フランセーズの会員になった。

ブートルーの教え子には、アンリ・ベール、アンリ・ベルクソンモーリス・ブロンデルエミール・デュルケムがいる。

著作[編集]

  • De la Contingence des Lois de la Nature (1874).
    西宮藤朝訳『自然法の偶然性』平凡社、1926年
    野田又夫訳『自然法則の偶然性』創元社、1945年
    荒木優太訳『自然法則の偶然性について』Puboo、2013年
  • De Veritatibus Æternis apud Cartesium (1874; translated into French by G. Canguilhem, Des Vérités Éternelles Chez Descartes, Paris: Alcan, 1927; Paris: Vrin-Reprise, 1985).
  • La Grèce Vaincue et les Premiers Stoïciens (1875).
  • La Monadologie de Leibnitz (1881).
  • Socrate, Fondateur de la Science Morale (1883).
  • Les Nouveaux Essais, de Leibnitz (1886).
  • Questions de Morale et d'Éducation (1895).
  • De l'Idée de Loi Naturelle dans la Science et la Philosophie Contemporaines (1895).
  • Études d'Histoire de la Philosophie (1897).
  • Du Devoir Militaire à Travers les Âges (1899).
  • Pascal (1900).
    森有正訳『パスカル』創元社、1942年
  • Essais d’Histoire de la Philosophie (1901).
  • La Philosophie de Fichte. Psychologie du Mysticisme (1902).
  • Science et Religion dans la Philosophie Contemporaine (1908).
    赤松智城宇野圓空訳『現代哲學に於ける科學と宗教』博文館、1919年
    村山勇三訳『哲学に於ける科学と宗教』大日本文明協会、1923年
  • William James (1911).

翻訳

死後出版

  • La Nature et l'Esprit (1925).
  • Études d'Histoire de la Philosophie Allemande (1926).
  • La Philosophie de Kant (1926).
  • Nouvelles Études d'Histoire de la Philosophie (1927).
  • Leçons sur Aristote (1990).

英訳

  • Pascal (1902, trans. by Ellen Margaret Creak).
  • William James (1911, trans. by Archibald & Barbara Henderson).
  • Science and Religion in Contemporary Philosophy (1911, trans. by Jonathan Nield).
  • Historical Studies in Philosophy (1912, trans. by Fred Rothwell).
  • Education and Ethics (1913, trans. by Fred Rothwell).
  • Science and Culture (1914, lecture).
  • Natural Law in Science and Philosophy (1914, trans. by Fred Rothwell).
  • The Contingency of the Laws of Nature (1916, trans. by Fred Rothwell).
  • Philosophy and War (1916, trans. by Fred Rothwell).
  • The Relation Between Thought and Action (1918, lecture).

学術論文

脚注[編集]

  1. ^ "Émile Boutroux, 1845–1921, Professor of Philosophy, Sorbonne", by Michael W. DeLashmutt, University of Glasgow.
  2. ^ Sutton, Michael (1982). Nationalism, Positivism, and Catholicism. The Politics of Charles Maurras and French Catholics 1890-1914. Cambridge: Cambridge University Press. ISBN 0-521-22868-9.  p. 124.

参考文献[編集]

外部リンク[編集]