イングリット・ヘブラー

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イングリッド・ヘブラー (キューケンホフ, (1966)

イングリッド・ヘブラー(Ingrid Haebler、1926年6月20日 - )は、オーストリア出身の女性ピアニストである。[1]

略歴[編集]

ポーランド人の両親のもと、ウィーンに生まれる。10歳までポーランドで過ごし、その間にピアノを学ぶ。第二次世界大戦の勃発によってザルツブルクに移住、同地のモーツァルテウム音楽院に入学する。音楽院ではハインツ・ショルツに師事した。1949年にモーツァルテウム音楽院を卒業後、ウィーン音楽院に入学し、パウル・ヴァインガルテンに師事、その後ジュネーヴ音楽院ではニキタ・マガロフに、パリではマルグリット・ロンに師事して、これらの人々から多様な音楽性を吸収するなど研鑚を積む。

1952年1953年ジュネーヴ国際音楽コンクールで第2位を獲得し、1954年ミュンヘン国際音楽コンクールでは1位に入賞し、ウィーン国際シューベルト・コンクールでも第1位となった。同年ザルツブルク音楽祭に初めて出演し、モーツァルトピアノ協奏曲第12番を弾いて正式にデビューを果たす。デビュー後、国際的な演奏活動を開始し、ウィーンの古典派音楽をはじめ、シューマンショパンドビュッシーなども得意として活躍し、特に気品に満ちたモーツァルトの演奏で高い評価を獲得している。1966年以来、数多く来日して日本にもファンの多いクラシック演奏家の一人である。

録音[編集]

モーツァルトのピアノ曲(協奏曲も含む)をフィリップスに全て録音し、高い評価を得ている。この他にJ.S.バッハC.P.E.バッハハイドンベートーヴェンシューベルトシューマンショパンなどにも優れた録音を残している。なお、モーツァルトのピアノソナタ全曲を1980年代後半にDENONに再録音している。

ディスコグラフィー[編集]

エピソード[編集]

リリー・クラウスクララ・ハスキル、近年はマリア・ジョアン・ピレシュ内田光子のように、モーツァルト演奏家といわれるピアニストはかなりいるが、イングリッド・ヘブラーほど、その主要レパートリーをモーツァルトに特化して演奏をし続けているピアニストは稀であるといえよう。

ヘブラーは決してモーツァルトしか演奏しないわけではない。ハイドンJ.C.バッハをはじめ、ベートーヴェンシューベルトシューマンショパンなど、広汎なレパートリーを持っている。しかし他のピアニストに比べれば圧倒的にモーツァルトが多いことは事実である。ヘブラーは、1960年代の半ばから後半にかけての時期、すなわち40歳前後の時期に、モーツァルトのピアソナタ及びピアノ協奏曲の全集を録音した。

  1. ^ [1]