イラン航空277便墜落事故
墜落の数日前に撮影された事故機 (EP-IRP) | |
事故の概要 | |
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日付 | 2011年1月9日 |
概要 | 着氷によるエンジン停止とパイロットエラー |
現場 | イラン オルーミーイェ空港 |
乗客数 | 93 |
乗員数 | 12 |
負傷者数 | 26 |
死者数 | 77[1] |
生存者数 | 28 |
機種 | ボーイング 727-286Adv |
運用者 | イラン航空 |
機体記号 | EP-IRP |
出発地 | メヘラーバード国際空港 |
目的地 | オルーミーイェ空港 |
イラン航空277便墜落事故(いらんこうくう227びんついらくじこ)は国内旅客定期便であった同便が2011年1月9日に悪天候下のイラン・西アーザルバーイジャーン州のオルーミーイェ空港に最終進入態勢に入ったのち着陸復行した際に墜落した事故である。事故機はイラン航空のボーイング727-286Adv型機で機体記号EP-IRPである。277便はテヘランのメヘラーバード国際空港からオルーミーイェに向かう便であった[2]。
事故機
[編集]事故機は1974年建造のボーイング727型機で機体記号はEP-IRPである。同機は1984年から90年にかけてバグダードに抑留され、その後91年から2002年までは留置・保管されるなど長らく運用から離れていたが、のちオーバーホールされ運用に復帰した[3]。
事故
[編集]277便はテヘランを発ちオルーミーイェ空港への着陸降下最終進入時[4][2]に、オルーミーイェ湖近くに墜落した[5]。発生時刻は現地時間19時45分(協定世界時16時15分)で、報道によれば事故原因は悪天候によるものである[4]。事故機は着陸を試みたが失敗し、着陸復行の際[6]、あるいはテヘランへの引き返しの途上で墜落したものである。事故当時の天候は雪であり、低視程であった[7][注 1]。機体は衝撃により複数に分解したが、火災や爆発は発生していない[8]。事故発生当初、事故機の型式についてはフォッカー100あるいはボーイング727であるとするなどの報道[9]があったが、のちにボーイング727と確認された[2]。
当初報ぜられた搭乗者数は不明瞭なものであった。RIAノーボスチは95人と報じる一方[9]、ロイターは156人、AP通信は105人としている[9]。のちに、総数105人[6]または106人[10]、乗員10人[6]ないし12人[10]、乗客94人[10]または95人[6]と推定されている。イラン民間航空機関は事故翌日、搭乗者名簿によれば乗客93人乗員12人が搭乗していたと発表した[11]。
犠牲者
[編集]少なくとも77人が死亡し、26人が負傷した[4]。救出作業は大雪のために難航した。地元当局者は「救出作業にあたっての当面の問題は大雪である」と述べ、事故現場の積雪は70センチメートルに及ぶと発言している[4][6]。事故への対応にあたっては36台の救急車と11の病院が使われた。
搭乗者
[編集]搭乗者の国籍
[編集]国籍 | 死者 | 合計 | |
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乗客 | 乗員 | ||
イラク | 4 | 5 | 9 |
イラン | 63 | 10[12] | 73 |
総計 | 77 |
調査
[編集]画像外部リンク | |
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Photo of aircraft involved | |
Photos from crash |
イラン政府は事故調査を命令した[13]。現地の捜索班は事故の翌日にコックピット・ボイス・レコーダーならびにフライト・データ・レコーダーの双方を発見した[11]。イラン交通省は機体構造、エンジン諸元記録、パイロットの操作など複数の分野の専門家らからなる専門調査委員会によって調査されると発表した。調査活動はイラン民間航空機関に監督される[14]。コックピット・ボイス・レコーダーとフライト・データ・レコーダーは調査のためテヘランに送られた[11]。
2017年、CAO.IRIは最終的な事故報告書を発行した。その分析から、高度7,000フィート(2,100 m)からウルミア空港の滑走路21への最終アプローチを開始した後、ウルミア空港は標高4,300フィート(1,300 m)にあり、機体は5,900フィート(1,800 m)まで下降し、滑走路を視認することができなかったため、乗組員は着陸復航を行った。8,800フィート(2,700 m)に上昇して、再び進入が開始された。
事故調査員は、機体が深刻な着氷に見舞われ、それが気流の乱れとエンジン推力の低下を引き起こしたと考えた。機体は降下を開始し、瞬間的にバンク角41°に達する旋回に入ったため、失速警報装置が作動した。推力を全開にしたにもかかわらず、第1エンジンと第3エンジンが停止した。2,000メートル(7,000フィート)まで降下すると、航空機関士が両方のエンジンが停止したと発言した。パイロットがエンジンを再始動しようと試みたが失敗した。墜落の瞬間には、フラップが収縮され、対気速度が次第に低下しており、4,400フィート(1,300 m)、地形からわずか100フィート上空で、航空機は112ノット(207 km / h; 129 mph)でバンク角右21°で飛行していた。最後に記録された対気速度値は69ノット(128 km / h; 79 mph)だった。
事故報告書は、主な原因を厳しい着氷状態と乗務員によるパイロットエラーであると結論付けた。旧式のオンボードシステム、悪天候に適したシミュレーターの欠如、標準的な操作手順に従わなかったこと、およびCRMの欠如が要因であると挙げられた。
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ オルーミーイェ空港の事故時の定時飛行場実況気象通報式 (METAR) は
OITR 091600Z 26004KT 0800 SN SCT015 SCT020 OVC060 00/00 Q1016=
と報告されている。すなわち、定時飛行場実況気象通報式、オルーミーイェ空港、協定世界時1月9日16時。風向260°、風速4ノット (7.4 km/h)、視程800メートル (2,600 ft)、雪。雲散在雲底高度1,500フィート (460 m)、雲散在雲底高度2,000フィート (610 m)、全天覆雲雲底高度6,000フィート (1,800 m)。気温は摂氏0 ℃、露点摂氏0 ℃。気圧は1012ヘクトパスカル。以上。
となる。
出典
[編集]- ^ “Bad weather, pilot's lack of vision causes of Iran plane crash” (英語). Iranian Students News Association. 2011年1月10日閲覧。[リンク切れ]
- ^ a b c Hradecky, Simon. “Accident: Iran Air B722 near Orumiyeh on Jan 9th 2011, impacted terrain during go-around” (英語). Aviation Herald. 2011年1月9日閲覧。
- ^ airframes.org. “Aircraft Database – EPIRP”. Airframes.org. 2011年1月9日閲覧。
- ^ a b c d “Iran passenger plane crash 'kills 70'”. BBC News (2011年1月9日). 2011年1月9日閲覧。
- ^ “Iran Air jet reportedly crashes at Urmia”. Flight International (2011年1月9日). 2011年1月9日閲覧。
- ^ a b c d e “Many feared dead in Iran plane crash”. The Guardian (2011年1月9日). 2011年1月9日閲覧。
- ^ “EP-IRP Accident Description”. Aviation Safety Network. 2011年1月9日閲覧。
- ^ “Plane with 95 people crashes in Iran; 50 survive”. The Washington Post (2011年1月9日). 2011年1月9日閲覧。[リンク切れ]
- ^ a b c “Iranian Airlines jet with 95 passengers on board crashes, 50 rescued”. RIA Novosti (2011年1月9日). 2011年1月9日閲覧。
- ^ a b c “At least 70 killed in Iranian passenger plane crash”. Reuters (2011年1月9日). 2011年1月9日閲覧。
- ^ a b c Kaminiski-Morrow, David (2011年1月10日). “Both recorders retrieved from Iran Air 727 crash site”. Flight International. 2011年1月11日閲覧。
- ^ IranAir: Crew members that died in the Accident[リンク切れ]
- ^ “Iran orders air-crash inquiry – Middle East”. Al Jazeera English (2011年1月10日). 2011年1月11日閲覧。
- ^ “Inquiry opens into fatal Iran Air 727 crash”. Flight International (2011年1月10日). 2011年1月11日閲覧。