LOTポーランド航空16便胴体着陸事故

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LOT Polish Airlines Flight 16
PLL LOT Boeing 767-300ER Poznan 2.jpg
事故機(SP-LPC)
事故の概要
日付 2011年11月1日
概要 降着装置の問題
現場 ポーランドの旗 ポーランド ワルシャワ・ショパン空港
北緯52度09分56秒 東経20度58分02秒 / 北緯52.16556度 東経20.96722度 / 52.16556; 20.96722座標: 北緯52度09分56秒 東経20度58分02秒 / 北緯52.16556度 東経20.96722度 / 52.16556; 20.96722
乗客数 220
乗員数 11
負傷者数
(死者除く)
0
死者数 0
生存者数 231 (全員)
機種 Boeing 767-300ER
機体名 Poznań
運用者 LOT Polish Airlines
機体記号 SP-LPC
出発地 アメリカ合衆国の旗 ニューアーク・リバティー国際空港
目的地 ポーランドの旗 ワルシャワ・ショパン空港
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LOTポーランド航空16便胴体着陸事故(LOTポーランドこうくう16びんどうたいちゃくりくじこ、LOT Polish Airlines Flight 16)とは、2011年11月1日降着装置が故障したボーイング767-300ER型機によるワルシャワ・ショパン空港での胴体着陸の事である。

飛行機データ[編集]

航空事故を起こした飛行機は、ボーイング767-300ER、製造番号は28656で1997年から使用されている(初飛行は1997年5月5日)。LOTポーランド航空に引渡される前、飛行機は登録番号SP-LPCを取得し、ポズナン(Poznań)と名称が付けられた。

事件の経過[編集]

2011年11月1日、ボーイング767型機は米国ニューアークからワルシャワに向けての飛行を開始した。米国ニューアーク・リバティー国際空港から離陸して30分経過した時には、乗務員は既に最初の機械トラブルを報告した。確認されたのは、集中油圧システムの故障であった。乗客には3時間後に故障の事が伝えられた。ワルシャワ空港に着陸する十数分前には高揚力装置フラップ)は作動したが、降着装置は降りなかった。緊急着陸するには燃料が多すぎた為に、機体は燃料を消費する為に空港周辺を1時間に渡って周回した。また、重力によって降着装置が降りることを期待したが、それは適わなかった。

13:40頃にボーイング故障の情報をポーランド空軍が掴んだ。その10分以内にワセクにある第32戦術空軍基地から戦闘機F-16が二機飛び立った。数分後、旅客機に接近し、連絡を取った。F-16のパイロットは降着装置が降りていないことを機長に伝えた後、旅客機を14:30頃の着陸成功まで見守った。016便は、事前に難燃剤を撒かれた33番滑走路に、胴体とエンジンナセルを擦りながら着陸を敢行した。乗客は、衝撃は感じなかったと証言している。気がかりなのは、女性客室乗務員が事前に警告していた火災だけであったという。着陸前には人々は叫んだり騒いだりしていたが、着陸時には深い静寂に包まれた。機内には子供たちも居たが、パニックになる事は無かった。飛行機は、滑走路から逸脱することも無く、2本の出発滑走路が交差する地点で停止した。その為、2011年11月2日22時34分に再開されるまで空港の滑走路は全て一時的に閉鎖された。使用できる出発滑走路がなかった為である。空港が長い間閉鎖されたのは、国家航空事故調査委員会と調査する為、ボーイング社の専門家がシアトルから到着するのを待っていた為でもあった。

事故が起こる前にワルシャワに出発した他の飛行機は、別のポーランドの民間空港に差し向けられた。事故機の着陸の安全は26もの消防隊が確保した。その内のいくつかの部隊は、火災の危険が収まらない為に消火剤を撒き始めた。避難した乗客は空港施設内で心理療法士のカウンセリングを受けた。医療的な治療が必要な人の数は少なかった。

旅客機の緊急着陸は地元テレビ局で生放送された。また目撃者が収録した高画質の動画が公開された。着陸時の高解像度の写真も公開されている。2011年11月4日にはヴロツワフ放送局が、機内の乗客が撮影した着陸や緊急避難の様子を放映した。事故機と同型の別の旅客機の到着装置の複雑な油圧システムを写した写真も公開された。

ブラックボックスの記録に拠ると、集中油圧システムの障害は、離陸後に降着装置を引き込んでから十数秒後に、高圧ホースの破裂と90%に及ぶ作動油の損失により引き起こされた。

2011年11月7日、ポーランド大統領は016便の乗務員や消防隊の隊長に対し勲章及び褒章を授与した。2011年11月12日土曜日には、ワルシャワの神の摂理協会に於いて乗務員と大統領府次官マチェイ・クリムチャク出席の中、飛行機が無事に着陸できた事を祝う感謝の礼拝を行った。

LOTポーランド航空、保険会社、飛行機所有者でありLOT航空に飛行機のリースを行っていた Air Castle社の間で交渉が行われ、飛行機の修理は採算が取れない事が明らかとなった。この為、事故機は売却される事となった。当初はポーランド特殊部隊が機内で反テロ訓練を行う為に購入の意思を示したが、最終的にイギリスの会社に部品取りとして購入された。

この事件で明らかにされていない事は、乗務員はなぜ降着装置の予備起動システムを作動させず、すぐにランディングギア無しでの着陸を決定したのかである。着陸装置は事故調査の際に、予備システムにより問題なく作動した。

ワルシャワ・ショパン空港の歴史において、降着装置故障した航空機が着陸した初めての例となった。

社会基盤省(現インフラ・開発省)に設置された国家航空事故調査委員会がボーイング767の緊急着陸を航空事故として認定した。

ギャラリー[編集]

脚注[編集]

外部リンク[編集]

メディア外部リンク
画像
Photograph of aircraft coming to rest”. Aircraft-spotting.org (2011年11月1日). 2011年11月4日閲覧。
skrzydla.org photo 2
Airliners.net photo
映像
(ポーランド語) OKĘCIE LĄDOWANIE AWARYJNE POLISH AIRLINES LOT BOEING 767 EMERGENCY LANDING WARSAW. http://www.youtube.com/watch?v=QEbRiYDYJe8 
rmf24.pl video 2
(ポーランド語) Awaryjne Lądowanie – WARSZAWA 01.11.2011 Boeing 767 cz.4. (2011年11月1日). http://www.youtube.com/watch?v=IBgxakhZ8m4 
(ポーランド語) Boeing 767 Newark-Warsaw Okecie LOT accident landing 01.11.11. (2011年11月1日). http://www.youtube.com/watch?v=scUoqzG67-w