イギリス最高裁判所

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連合王国最高裁判所
Supreme Court of the United Kingdom
ウェールズ語: Llys Goruchaf y Deyrnas Unedig
UK Supreme Court badge 2.svg
イギリス最高裁判所の徽章は 「連合王国の花のエンブレム」を天秤に見立てたオメガの文字で囲んだもの。「花のエンブレム」は連合王国を構成するイングランドのバラ、スコットランドのアザミ、ウェールズのリーキ、北アイルランドの亜麻の花で構成されている。
設置 2009年10月1日
イギリスの旗 イギリス
所在地 ロンドンミドルセックス・ギルドホール
判事選定方法 最高裁任命委員会による任命
認可 憲法改革法
判事任期 終身、ただし最大で75歳まで
判事構成人数 12
ウェブサイト www.supremecourt.uk
長官
現職 デビッド・ニューバーガー
着任 2012年10月1日
副長官
現職 ブレンダ・ベイル
着任 2013年6月28日
イギリス最高裁判所が置かれるミドルセックス・ギルドホール

連合王国最高裁判所(れんごうおうこくさいこうさいばんしょ、英語: Supreme Court of the United Kingdom)は、2009年10月1日に設立されたイギリス(連合王国)の最高裁判所である。

沿革[編集]

2005年の憲法改革法(Constitutional Reform Act 2005)に基づき、貴族院(上院)の常任上訴貴族院(Lords of Appeal in Ordinary/通称:法官貴族・Law Lords)の司法機能(judicial functions of the House of Lords)と枢密院司法委員会(Judicial Committee of the Privy Council)の機能の一部とを移管して設置された。

2003年、上院の「現代化」を唱える当時のトニー・ブレア首相が改革に着手し、推進されてきたものである。従来、イギリスの最高法院は上院に付属する機関であった。伝統より、三権分立の厳格化を求める世論が高まった結果である。

国民に身近な司法を目指してBBCなどのテレビ局に審理を公開するなど、システムが大きく変化している。

管轄[編集]

新しい最高裁判所は、イングランドおよびウェールズ、そして、北アイルランドにおける刑事訴訟および民事訴訟の終審裁判所である。

新しい最高裁判所は、スコットランドの刑事訴訟を管轄しない。スコットランドにおける刑事訴訟の終審裁判所は、従来どおり、スコットランド最高法院(High Court of Justiciary)であり続ける(ただし、欧州人権条約又はEU法違反の主張に対する判断を除く。)。一方、新しい最高裁判所は、従前の上院と同様、スコットランド民事控訴院(Court of Session)からの上訴を審理する。これは、スコットランドが大陸法であるのに対し、イングランドが英米法であるためである[要出典]。なお、これまで上院が、民事に関してのみ上訴管轄を有し、刑事に関しては上訴管轄を有しないとされてきたのは、上院自身の判例(先例)に基づく。その理論的な根拠として、スコットランド統合法(1707年連合法)によって、連合王国の上院はスコットランド議会の権限を承継したとされるが、スコットランド議会には刑事裁判所の判決に対する救済を受理した先例がなかったことなどが挙げられるが(なお、スコットランド統合法は、従前のスコットランドの「司法組織」を維持するものとしたが、スコットランド議会は、その上訴を受理する権限を含め、「司法組織」に当たらないとされた。)、歴史的な経緯による部分も大きい[1]

また、新しい最高裁判所は、近年になって新設された3つの地域政府、つまり、北アイルランド政府スコットランド政府、そしてウェールズ議会政府と、連合王国政府との間の紛争をも審理する。この機能は、枢密院から移管されたものである。


建物[編集]

2005年の憲法改革法は、最初の最高裁判所裁判官となる常任上訴貴族がウェストミンスター宮殿(国会議事堂)から他の場所に移動するに先立ち、適当な建物を探して改装するための期間を設定した。

サマセット・ハウスを含む複数の候補地について長期にわたる調査が行なわれた結果、最高裁判所の所在地は、ウェストミンスター地区国会広場にあるミドルセックス・ギルドホールとなった。ここには枢密院司法委員会も置かれており、海外領土からの上訴や宗教裁判などに権限を限定されることになった枢密院司法委員会と同居する形となっている。 決定に伴いミドルセックス・ギルドホールは2009年に改装され、最高裁判所発足とともに再開された。

裁判官[編集]

最高裁判所の発足に伴い、従来の12名の常任上訴貴族は最高裁判所の最初の裁判官となった。彼らは引き続き貴族院議員でもあるが、定年が75歳であるため、2011年から2023年までにかけて全員が退官することになる。

2005年の憲法改革法は、旧常任上訴貴族退官後の最高裁判所裁判官の任用手続についての規定を設けている。欠員が生じ次第、選考委員会が組織される。最高裁判所発足後に任用される全ての新たな裁判官は、専従の最高裁判所裁判官(Justices of the Supreme Court)となり、貴族院議員を兼ねない。

以前の最高裁判所[編集]

従来、1870年代に裁判所法(Judicature Acts)により作られた控訴院高等法院および刑事法院の3法院からなる、イングランド・ウェールズ最高裁判所(Supreme Court of England and Wales。旧称:最高法院・Supreme Court of Judicature)があったが、新しい最高裁判所とは、別の組織である。

混乱をさけるため、2005年改憲法により、連合王国最高裁判所が作られた時点で、従来のイングランド・ウェールズ最高裁判所は、イングランド・ウェールズ高等裁判所(Senior Courts of England and Wales)へと改称された。

スコットランドには、刑事上級裁判所(High Court of Justiciary)、および民事控訴院(Court of Session)から構成される、スコットランド最高裁判所(Supreme Courts of Scotland)がある。

脚注[編集]

関連項目[編集]

イギリスの裁判所制度(最高裁判所以外)

外部リンク[編集]