アーブー山

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ナビゲーションに移動 検索に移動
アーブー山

マウント・アーブー
Mount Abu.jpg
愛称: 
ラージャスターンのシムラー
アーブー山の位置(ラージャスターン州内)
アーブー山
アーブー山
アーブー山の位置(インド内)
アーブー山
アーブー山
座標:北緯24度35分33秒 東経72度42分30秒 / 北緯24.5925度 東経72.7083度 / 24.5925; 72.7083座標: 北緯24度35分33秒 東経72度42分30秒 / 北緯24.5925度 東経72.7083度 / 24.5925; 72.7083
インド
ラージャスターン州
シローヒー県
行政
 • 種別 観光
標高
1,220m
人口
(2011)[1]
 • 合計 60,000人
等時帯 UTC+5:30 (インド標準時)
局番 +02974
ISO 3166コード RJ-IN
ナンバープレート RJ 38
近傍の都市 シローヒー、アーブー・ロード、アフマダーバード

アーブー山またはマウント・アーブーMount_Abu.ogg माउंट आबू[ヘルプ/ファイル] Mount Abu)はインド西部、ラージャスターン州シローヒー県にある人気の高い避暑地である。グジャラート州との境近くに位置し、アラーヴァリー山脈に属する。この山は長さ22km、幅9kmの特徴的な岩の多い高原を形成する。山の最高峰は標高1722mのグル・シカル英語版で、ラージャスターン州でもっとも高い[2]。川、湖、滝、常緑樹の森があり、「砂漠のオアシス」と称される。もっとも近い駅は28km先のアーブー・ロード駅である[3]

アーブー山はジャイナ教の聖地であり、ディルワーラー寺院群は主に11世紀から13世紀に作られた大理石彫刻で知られる。同時にヒンドゥー教の聖地でもある[4]

歴史[編集]

アーブー山の古代の名前はアルブダーチャラ(arbuda-acala)といった。プラーナ文献ではこの地域はアルブダーラーニヤ(アルブダの森)と呼ばれ、アーブーはこの古代の名前が縮まったものである。ヴァシシュタ英語版仙がヴィシュヴァーミトラ仙との争いの後に引退してアーブー山の南の麓に住んだと信じられている。別の伝説によれば、アルブダという名前の大蛇がナンディーシヴァの乗り物)の命を救ったと伝えられ、この事件によって山が「アルブダーラーニヤ」と命名され、それが変化してアーブーになったとされる。

1311年、デーオーラー・チャウハーン朝のラーオ・ルンバがアーブー山を征服した。これによってパラマーラ朝による支配が終わり、アーブー山は衰退した。ルンバは首都を平地のチャンドラヴァティーに移した。1405年にチャンドラヴァティーが破壊された後、ラーオ・シャースマルはシローヒーに遷都した。その後、英国政府が当時のシローヒーのマハーラージャからアーブー山を租借した。

アーブー山とグルジャル人[編集]

アルブダ山地(アーブー山)一帯は有名なグルジャル人英語版の故地と言われる。アーブー山とグルジャル人の関係はダナパーラ『ティラカマンジャリー』や多数の碑文によって見てとれる[5]。これらのグルジャル人はアルブダ山地から移動し、すでに6世紀にラージャスターン州グジャラート州にいくつかの公国を建てていた。この2つの州の大半は、ムガル朝時代以前には何世紀にもわたってグルジャラトラー(グルジャル人によって支配または保護される土地)またはグルジャラブーミ(グルジャル人の地)として知られていた[6]

アーブー山とラージプート[編集]

伝説によれば、ヴァシシュタ仙はアーブー山の頂上でヤジュナ英語版の祭祀を行い、神々に世界の正義を守るための備えを求めた。祈りに答えてアグニクンダ(火の祭壇)から若者が現れた。これが最初のアグニヴァンシャ・ラージプートであるという[7]

見どころ[編集]

ディルワーラー寺院群のジャイナ教寺院
アーブー山の日没
地図

アーブー山はラージャスターン州唯一の避暑地であり、標高1,220mの高さにある。ラージャスターン州および隣接するグジャラート州の熱を避けるために、アーブー山は何世紀にもわたって人気のある場所であった。アーブー山野生生物保護区英語版は1960年に設立され、山の290km²の範囲を覆う。

アーブー山にはアーダール・デーヴィー石窟寺院(アルブダ・デーヴィーとも)、シュリー・ラグナート・ジー寺院、およびグル・シカル峰の頂上に建てられたダッタートレーヤ英語版の寺院など、いくつかのヒンドゥー教寺院がある。また、11世紀から13世紀にかけて白い大理石を彫って建てられた複合寺院であるディルワーラー寺院群英語版(デルワーラー、デルワーダーとも)を含む多数のジャイナ教寺院がある。ディルワーラー寺院群でもっとも古いヴィマル・ヴァーサーヒー寺院は、1021年にヴィマル・シャーによって建てられ、最初のジャイナ教ティールタンカラに捧げられた。

15世紀にメーワール王国クンバーによって建てられたアチャルガル英語版城砦が近くにある。中心には旅行客に人気のあるナッキー湖英語版がある。蛙岩は湖近くの丘の上にある。城砦の近くには有名なシヴァ寺院であるアチャレーシュワル・マハーデーヴ寺院がある。

アーブー山にはブラーマ・クマリスという、世界128か国に展開する教団を代表する精神的本部がある[8][9]。毎年約250万人がこの精神的運動の複雑に広がったキャンパスを訪れる[10]

夏には何千人もの人々が訪れる。アーブー山へ行くためのもっとも近い町はアーブー・ロードで27kmの距離である。

アーブー山の日没の景色は旅行客に有名であり、映画『カヤーマット・セー・カヤーマット・タク』(破滅から破滅へ)で描写されている[要出典]

気候[編集]

アフマダーバードと比べると8~9℃ほど気温が低い。

[編集]

夏は4月なかばから6月なかばまでで、平均最高気温は摂氏36度前後に達する。薄い木綿の服が適する。

モンスーン[編集]

土地の起伏と地理的条件により、アーブー山ではモンスーンの季節に雨がふる。雨季には気温は下がる。服は夏と同じでよい。雨に濡れるのを避けるために傘を持ち歩くのがよい。

[編集]

アーブー山の冬は涼しく、16度から22度程度に下がる。夜は肌寒く、夜間の平均気温は4-12度である。氷点下2-3度まで下がることもある。寒さに備えた服装をすることが望ましい。日中はセーターで充分である。

アーブー山 (平均値: 1981年~2010年,極値: 1901年~2012年)の気候
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
最高気温記録 °C (°F) 29.0
(84.2)
30.6
(87.1)
39.6
(103.3)
38.8
(101.8)
40.4
(104.7)
38.4
(101.1)
35.0
(95)
31.1
(88)
33.0
(91.4)
33.6
(92.5)
30.4
(86.7)
34.2
(93.6)
40.6
(105.1)
平均最高気温 °C (°F) 19.7
(67.5)
22.3
(72.1)
26.5
(79.7)
30.6
(87.1)
32.3
(90.1)
30.2
(86.4)
24.9
(76.8)
23.5
(74.3)
25.6
(78.1)
27.5
(81.5)
24.2
(75.6)
21.5
(70.7)
25.7
(78.3)
平均最低気温 °C (°F) 3.1
(37.6)
5.7
(42.3)
10.5
(50.9)
15.3
(59.5)
18.5
(65.3)
18.3
(64.9)
17.3
(63.1)
16.6
(61.9)
15.8
(60.4)
11.9
(53.4)
7.1
(44.8)
3.8
(38.8)
12.0
(53.6)
最低気温記録 °C (°F) −5.7
(21.7)
−5.8
(21.6)
0.4
(32.7)
4.4
(39.9)
10.0
(50)
13.0
(55.4)
10.0
(50)
10.6
(51.1)
6.4
(43.5)
3.4
(38.1)
−0.4
(31.3)
−7.4
(18.7)
−7.4
(18.7)
雨量 mm (inch) 3.5
(0.138)
1.6
(0.063)
2.0
(0.079)
3.0
(0.118)
10.4
(0.409)
61.9
(2.437)
592.9
(23.343)
516.3
(20.327)
172.4
(6.787)
17.7
(0.697)
3.4
(0.134)
1.0
(0.039)
1,386.1
(54.571)
平均降雨日数 0.3 0.1 0.3 0.3 0.8 3.7 14.6 15.7 6.1 0.7 0.3 0.1 43.2
湿度 47 38 34 32 38 55 84 90 76 53 49 49 53
出典: インド気象局[11][12]

人口[編集]

2011年のインド国勢調査によれば、アーブー山は22,943人の人口があり、54.7%が男性、45.3%が女性である。平均識字率は81.15%で、国の平均である74.04%より高い。男性の識字率は90.12%、女性の識字率は70.23%だった。アーブー山では人口の12.34%が6歳未満である[13]

人口の89.31%はヒンドゥー教徒、7.69%がムスリム、1.45%がキリスト教徒である[13]

ギャラリー[編集]

脚注[編集]

[脚注の使い方]
  1. ^ Census of India Search details”. censusindia.gov.in. 2015年5月10日閲覧。
  2. ^ Physiography of Rajasthan, Government of Rajasthan, http://environment.rajasthan.gov.in/content/environment/en/rajasthan-state-biodiversity-board/about-rajasthan/physiography-of-rajasthan.html 
  3. ^ Agarwal, Deepesh. “How to reach Mount Abu by Road, Air Or Rail”. www.mountabu.com. 2017年6月22日閲覧。
  4. ^ 渡辺研二『ジャイナ教』論創社、2005年、296頁。ISBN 4846003132
  5. ^ Sudarśana Śarmā (2002). Tilakamañjarī of Dhanapāla: a critical and cultural study. Parimal Publications. p. 214 
  6. ^ Ramesh Chandra Majumdar; Achut Dattatrya Pusalker; A. K. Majumdar; Dilip Kumar Ghose; Vishvanath Govind Dighe; Bharatiya Vidya Bhavan (1977). The History and Culture of the Indian People: The classical age. Bharatiya Vidya Bhavan. p. 153 
  7. ^ Barua, Pradeep (2005). The State at War in South Asia. University of Nebraska Press. p. 24. ISBN 9780803213449. https://books.google.com/books?id=FIIQhuAOGaIC&pg=PA24 
  8. ^ 中牧弘允 (2010). “グローバル宗教の経営とマーケティング:アジア系宗教を中心に”. 東アジア文化交渉研究別冊 (国立民族学博物館) 6: 63-75. NAID 110007645555. 
  9. ^ Brahma Kumaris”. 2013年11月20日閲覧。
  10. ^ Brahma Kumaris, Spiritual Headquarters: Mount Abu”. 2014年6月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年11月20日閲覧。
  11. ^ Station: Abu Climatological Table 1981–2010”. Climatological Normals 1981–2010. India Meteorological Department. pp. 1–2 (2015年1月). 2020年2月18日閲覧。
  12. ^ Extremes of Temperature & Rainfall for Indian Stations (Up to 2012)”. India Meteorological Department. p. M173 (2016年12月). 2020年2月18日閲覧。
  13. ^ a b Mount Abu City Population Census 2011 - Rajasthan”. www.census2011.co.in. 2017年6月22日閲覧。

外部リンク[編集]