すずき大和

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すずき 大和(すずき やまと、1938年1月31日[1] - )は、日本漫画家絵本作家。本名は鈴木 大和。別名、スズキ 大和日本漫画家協会会員。1枚もの漫画(カートゥーン)で知られ、「動画風の克明な筆使いで社会を優しく風刺する[1]」と評される。

来歴・人物[編集]

福島県伊達郡伊達町(現・伊達市)出身[1][2]に生まれる。3歳の時[1]、軍人だった父親の赴任にともなって、一家で中華民国天津に渡り終戦まで過ごし、戦後伊達町に戻る[1]。短期間自衛官をつとめ[1]、1950年代中頃から福島民報[1]福島民友のマンガ欄に投稿する。1958年、地方新聞のマンガ欄投稿仲間と福島市で漫画展を開催する。1960年、『週刊漫画TIMES』に投稿していた作品が杉浦幸雄に「漫画界のヌーベルバーグ[1]」と激賞され、プロになる自信を得て上京[1][3]近藤日出造をたずねるが、門前払いを食い、その足で『漫画サンデー』に持ち込んだ原稿の掲載が決定し、デビューを果たす(近藤からはのちに腕前を認められている)[1]

1962年から、NHKの美術センターの専属イラストレーターとして採用され、タイトルバックやセットの背景の制作に従事。9年間[1]在籍し『ものしり博士』『ひょっこりひょうたん島』などを担当する[1]1967年6月に漫画集団に加入[4]

1982年、自費出版した『哀MY展覧会』で文藝春秋漫画賞を受賞する[1]1993年10月、山梨県河口湖町に「すずき大和漫画館」を開館するが現在は閉館している。2003年からは「私の八月十五日」の会に参加し作品の展示を行った。2004年、朝日新聞が主催する手塚治虫文化賞候補となる。2005年、『まんが紀行 奥の細道』で日本漫画家協会賞特別賞を受賞する。近藤日出造を顕彰する長野県千曲市の「ふる里漫画館」の設立に尽力したほか、千曲市の観光ロゴマーク、キャッチコピーなどの制作を行った。

作品リスト[編集]

  • 悲しいとき うれしいとき(女学生の友) 1962年
  • わが友テペ 鈴木三枝子作 1965年
  • あめあめぽろん 1973年
  • にんじゃたんけん 1976年
  • トッチくんがふっくら・ぽん! 間所ひさこ作 1976年
  • めぐちゃんの赤いかさ 落合恵子作 1976年
  • ゴサクとナエと 1977年
  • 地図のない町へ 1982年
  • 哀MY展覧会 1982年
  • 風をもとめて 1983年
  • まんが紀行 奥の細道 2002年
  • まんが たけくらべ 2004年
  • ことわざ絵本―「はなよりだんご」他24 西本鶏介編・文 2007年
  • いちりんじいこ 2007年
  • きぞくのくらし (れきし絵本館) 岡本一郎作 2008年
  • まんが松尾芭蕉の更科紀行 2008年
  • ささやき 沼田元氣詩 2009年
  • ばしょうさんとおばすて山の月 2011年
  • あいちゃんのあかいくつ 2012年
  • 時をこえるうた 漢詩 (声に出して絵で楽しく学ぶはじめての論語と漢詩) 八木章好作 2012年
  • 心をみがくことば 論語―声に出して絵で楽しく学ぶはじめての論語と漢詩 八木章好作 2012年
  • 絵本いっきゅうさん 8つのとんちばなし 2012年

脚注[編集]

  1. ^ a b c d e f g h i j k l m 寺光忠男『正伝・昭和漫画 ナンセンスの系譜』 毎日新聞社、1990年 pp.221-224
  2. ^ 日外アソシエーツ編集部 編『漫画家アニメ作家人名事典』1997年。ISBN 4816914234 
  3. ^ ややまひろし『ややまひろしの自分史』2006年。 
  4. ^ 漫画集団(編)『漫画集団漫画集』グラフィック社、1972年 p.30

外部リンク[編集]