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グルジア語: უნი/ʊnɪ/)は、現行のグルジア文字の20番目の文字(正書法改正前は23番目)である[1]

使用[編集]

ジョージア語では円唇後舌め広めの狭母音[ʊ]を表す[2]記数法では「」と同じく数値400を表す[3]

ジョージア国内のラズ語でも使用されている。トルコ国内で使用されているラズ語ラテン・アルファベットの「U[4]に対応する。アブハズ語1937年から1954年まで)[5]およびオセット語1938年から1954年まで) [6]のグルジア文字表記法でも使用されていたが、現在はキリル文字が主に使われ、「У」と記される。

ジョージア語のラテン文字化では「U」と記す[7]グルジア語の点字では記号⠥(U + 2825)[8]となる。

歴史[編集]

古ジョージア語の時代には円唇後舌め広めの狭母音[ʊ]を表す単独の文字は存在せず、同じ発音はギリシア語の「ου」に倣い「」の2文字で表したが、中ジョージア語時代にようやく合字が形成され、現在の「უ」となっている。なお、対応するアソムタヴルリの単一文字として「Ⴓ」も発明されたが、古ジョージア語の時代には存在しなかった[9]

字形[編集]

アソムタヴルリ ヌスフリ ムヘドルリ ムタヴルリ アソムタヴルリ(新)

筆順[編集]

符号位置[編集]

文字 Unicode JIS X 0213 文字参照 備考
U+10B3 - Ⴓ
Ⴓ
アソムタヴルリ(新)
U+2D13 - ⴓ
ⴓ
ヌスフリ
U+1CA3 - Უ
Უ
ムタヴルリ
U+10E3 - უ
უ
ムヘドルリ

出典[編集]

  1. ^ Machavariani, p. 136
  2. ^ Aronson, Howard Isaac (1990). Georgian: A Reading Grammar. Columbus, OH: Slavica Publishers. p. 18, 20. ISBN 978-0-89357-207-5. http://www.seelrc.org:8080/grammar/pdf/stand_alone_georgian.pdf 
  3. ^ Mchedlidze, II, p. 100
  4. ^ Description du dialecte laze d'Arhavi (caucasique du sud, Turquie): Grammaire et textes (PDF).
  5. ^ Из истории письменности в Абхазии.
  6. ^ История осетинского письма.
  7. ^ Transliteration of Non-Roman Scripts. Transliteration of Georgian
  8. ^ UNESCO, World Braille Usage, Third Edition, Washington, D.C. p. 45
  9. ^ Schanidse, Akaki (1982). Grammatik der algeorgischen Sprache. Schriften des Lehrstuhls für altgeorgische Sprache, vol. 24. Transl. Heinz Fähnrich. Tbilissi: Staatsuniversität 
  10. ^ Mchedlidze, I, p. 105
  11. ^ Mchedlidze, I, p. 107
  12. ^ Mchedlidze, I, p. 110