「分散関係」の版間の差分
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|title = [[学術用語集]] 物理学編 |
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|url = http://sciterm.nii.ac.jp/cgi-bin/reference.cgi |
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特に、波数と角周波数が比例関係 |
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=== 光学における分散 === |
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自然光などの白色光を[[プリズム]]に通すと、透過した光は虹のように各色ごとに分光される。この現象は光学においては'''[[分散 (光学)|分散]]'''と呼ばれる。これは、白色光が角振動数の異なる電磁場から構成されており、媒質となるプリズム中においてそれぞれの[[屈折率]]''n'' が角振動数ωによって異なることに起因する。このとき、媒質中を伝播する電磁波の位相速度は屈折率 ''n'' (ω)と真空中の光速度''c'' を用いて、 |
自然光などの白色光を[[プリズム]]に通すと、透過した光は虹のように各色ごとに分光される。この現象は光学においては'''[[分散 (光学)|分散]]'''と呼ばれる。これは、白色光が角振動数の異なる電磁場から構成されており、媒質となるプリズム中においてそれぞれの[[屈折率]]''n'' が角振動数ωによって異なることに起因する。このとき、媒質中を伝播する電磁波の位相速度は屈折率 ''n'' (ω)と真空中の光速度''c'' を用いて、 |
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=== 水面波 === |
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深さが''h'' である水の層において、[[重力]]と[[表面張力]]を考慮した[[水面波]]の分散関係は以下を満たす。 |
深さが''h'' である水の層において、[[重力]]と[[表面張力]]を考慮した[[水面波]]の分散関係は以下を満たす。 |
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ここで、''g'' は重力加速度、σは表面張力、ρは水の密度である。 |
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=== フォノン === |
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固体における[[フォノン]]のモデルとして、2種類の原子から構成される一次元の格子の振動を考える。このとき、この格子系の周期を2''a'' とし、2つの原子の質量を''m''<sub>1</sub>、''m''<sub>2</sub>、結合の定数を''f'' とすると、分散関係は |
固体における[[フォノン]]のモデルとして、2種類の原子から構成される一次元の格子の振動を考える。このとき、この格子系の周期を2''a'' とし、2つの原子の質量を''m''<sub>1</sub>、''m''<sub>2</sub>、結合の定数を''f'' とすると、分散関係は |
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\omega^2= \frac{f}{m_\mu} \left ( 1 \pm \sqrt{1-\frac{4m_\mu^{\, 2}}{m_1m_2} \sin^2{ka} } \right ), |
\omega^2= \frac{f}{m_\mu} \left ( 1 \pm \sqrt{1-\frac{4m_\mu^{\, 2}}{m_1m_2} \sin^2{ka} } \right ), |
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\quad \frac{1}{m_\mu}=\frac{1}{m_1} + \frac{1}{m_2} |
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2012年4月12日 (木) 13:53時点における版
分散関係(ぶんさんかんけい、英: dispersion relation[1])は、波において、角周波数(角振動数)と波数の間の関係。特に角周波数 ω を波数 k の関数で表した式のことを言う。
概要
フーリエ変換により、波動は特定の波数 k のみをもつ、単色波 ei(kx -ω t ) の集まりに分解することができる。このとき、波数 k と角周波数 ω が、系の性質に応じて満たす関係
を、分散関係、または分散式という。波数と角周波数の対応関係が複数存在する場合もあり、それぞれの関係を波のモードと呼ぶことがある。
特に、波数と角周波数が比例関係
で表されるときに、分散がないという。また、波数と角周波数が比例関係にない場合、系は分散的もしくは分散系であるという。分散がない波においては、
となり、各単色波の成分は波数に依らず、一定速度 v で進むため、波形が崩れず、そのまま伝播する。
分散関係が与えられると、波動の性質を示すいくつかの重要な指標を導くことができる。波の位相部分が一定 kx - ω t =φo で伝わる速度 vp は、これを時間で微分して、
で与えられる。これを位相速度という。また、一方で様々な波数を持つ波の集まりである波束において、その群速度は、
で与えられる。
分散がない場合には、
であるから、「分散がない」という条件は「位相速度と群速度が一致する」ことと等価である。
通常の波動方程式
に従う波動現象においては、 ei(kx -ω t )を考えると、
の関係が満たされており、分散がない波となる。
光学における分散
自然光などの白色光をプリズムに通すと、透過した光は虹のように各色ごとに分光される。この現象は光学においては分散と呼ばれる。これは、白色光が角振動数の異なる電磁場から構成されており、媒質となるプリズム中においてそれぞれの屈折率n が角振動数ωによって異なることに起因する。このとき、媒質中を伝播する電磁波の位相速度は屈折率 n (ω)と真空中の光速度c を用いて、
と表される。このとき、対応する分散関係は
となる。分散関係という語は、光学におけるこの分散現象に由来する。
例
水面波
深さがh である水の層において、重力と表面張力を考慮した水面波の分散関係は以下を満たす。
ここで、g は重力加速度、σは表面張力、ρは水の密度である。
フォノン
固体におけるフォノンのモデルとして、2種類の原子から構成される一次元の格子の振動を考える。このとき、この格子系の周期を2a とし、2つの原子の質量をm1、m2、結合の定数をf とすると、分散関係は
となる。符号が - の場合が音響モードに対応し、+ の場合が光学モードに相当する。特に|q |→0としたときの長波長極限では、音響モードでは、
光学モードでは
となる。
相対論的な電子
相対論な場の量子論において、電子はディラック方程式で記述される。このとき、電子は以下の分散関係を満たす。
ここで、m は電子の質量、c は光速度である。
脚注
関連項目