「レイノルズ数」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
削除された内容 追加された内容
133.87.175.19 (会話) による ID:27270869 の版を取り消し
1行目: 1行目:
{{出典の明記|date=2012年3月21日 (水) 04:55 (UTC)}}
'''レイノルズ数'''(レイノルズすう、Reynolds number)とは、[[ダランベールの原理|慣性力]]と[[粘度|粘性力]]との比で定義される[[無次元数]]である。[[流体力学]]において[[流れ]]の性質を調べるために利用される値。イギリスの物理学者・技術者[[オズボーン・レイノルズ]] ([[w:Osborne Reynolds]]) が定義した。
'''レイノルズ数'''(レイノルズすう、{{Lang-en-short|Reynolds number}}<ref>{{Cite book|和書
|author = [[文部省]]
|coauthors = [[日本物理学会]]編
|title = [[学術用語集]] 物理学編
|url = http://sciterm.nii.ac.jp/cgi-bin/reference.cgi
|year = 1990
|publisher = [[培風館]]
|isbn = 4-563-02195-4
|page =
}}</ref>)とは、[[ダランベールの原理|慣性力]]と[[粘度|粘性力]]との[[]]で定義される[[無次元数]]である。[[流体力学]]において[[流れ]]の性質を調べるために利用される値。[[イギリス]][[物理学者]][[技術者]]{{仮リンク|オズボーン・レイノルズ|en|Osborne Reynolds}}が定義した。


== 定義 ==
== 定義 ==
しばしば '''''Re''''' と書かれ、次の式で表される:
しばしば '''''Re''''' と書かれ、次の式で表される:

: <math> Re={UL\over (\mu /\rho)}={UL \over \nu} </math>
: <math> Re={UL\over (\mu /\rho)}={UL \over \nu} </math>

* ''U'' : 特性速度 [m/s]
* ''U'' : 特性速度 [m/s]
* ''L'' : 特性長さ [m]
* ''L'' : 特性長さ [m]
22行目: 30行目:


=== 乱流遷移の指標 ===
=== 乱流遷移の指標 ===
定義を見てみると分母は粘性力、分子は慣性力の強さを表しており、レイノルズ数は粘性力(周りの流体要素と同様に動こうとする力)に対する慣性力(周りとは別に動こうとする力)の強さを表していると見ることができる。したがってレイノルズ数が大きくなることは、各流体要素が別個に運動し、流れ場が乱流に近づくことを意味する。一般に、流れは、レイノルズ数が小さい内は[[層流]]だが、レイノルズ数が大きくなると、[[乱流]]に転ずる。このため、レイノルズ数は、[[乱流]][[層流]]を区別する指標としても用いられる。層流が乱流に遷移するときのレイノルズ数を'''臨界レイノルズ数'''という。例として、円管内の流れでは2,000~4,000、一様流中の平板表面では500,000程度であることが実験から知られている。
定義を見てみると分母は粘性力、分子は慣性力の強さを表しており、レイノルズ数は粘性力(周りの流体要素と同様に動こうとする力)に対する慣性力(周りとは別に動こうとする力)の強さを表していると見ることができる。したがってレイノルズ数が大きくなることは、各流体要素が別個に運動し、流れ場が乱流に近づくことを意味する。一般に、流れは、レイノルズ数が小さい内は[[層流]]だが、レイノルズ数が大きくなると、[[乱流]]に転ずる。このため、レイノルズ数は、乱流と層流を区別する指標としても用いられる。層流が乱流に遷移するときのレイノルズ数を'''臨界レイノルズ数'''という。例として、円管内の流れでは2,000~4,000、一様流中の平板表面では500,000程度であることが実験から知られている。


== さまざまな流れにおけるレイノルズ数 ==
== さまざまな流れにおけるレイノルズ数 ==
レイノルズ数は詳細な数字でなく、「10 の何乗」という桁数に注目することも多い。たとえば、[[空気]]中を飛行する[[飛行機]]の主翼でのレイノルズ数は 10<sup>6</sup> ~ 10<sup>8</sup> 程度である。また、模型飛行機などのレイノルズ数は10<sup>5</sup>以下で低レイノルズ数領域と言われている。<!--一方、[[海水]]中を泳ぐ[[シロナガスクジラ]]では・・・-->
レイノルズ数は詳細な数字でなく、「10 の何乗」という桁数に注目することも多い。たとえば、[[空気]]中を飛行する[[飛行機]]の主翼でのレイノルズ数は 10<sup>6</sup> ~ 10<sup>8</sup> 程度である。また、模型飛行機などのレイノルズ数は10<sup>5</sup>以下で低レイノルズ数領域と言われている。<!--一方、[[海水]]中を泳ぐ[[シロナガスクジラ]]では・・・-->
<!--ここに表とかグラフを入れると楽しいんじゃないかと-->
<!--ここに表とかグラフを入れると楽しいんじゃないかと-->

== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
{{Reflist}}
<!-- == 参考文献 == {{Cite book}}、{{Cite journal}} -->


== 関連項目 ==
== 関連項目 ==
<!-- {{Commonscat|Reynolds number}} -->
*[[スホフ数]]
*[[スタントン数]]
* [[グラホフ数]]
*[[プラント数]]
* [[スタント数]]
**[[シュミット数]]
* [[プラン数]]
*[[ペクレ数]]
** [[シュミット数]]
*[[レイリー数]]
* [[ペクレ数]]
*[[フル数]]
* [[レイリー数]]
*[[テイラー数]]
* [[フル数]]
* [[テイ数]]

<!-- == 外部リンク == {{Cite web}} -->


{{流体力学の無次元数}}
{{流体力学の無次元数}}
{{sci-stub}}
{{Physics-stub}}

{{DEFAULTSORT:れいのるすすう}}
{{DEFAULTSORT:れいのるすすう}}
[[Category:流体力学]]
[[Category:流体力学]]

2012年3月21日 (水) 04:55時点における版

レイノルズ数(レイノルズすう、: Reynolds number[1])とは、慣性力粘性力とので定義される無次元数である。流体力学において流れの性質を調べるために利用される値。イギリス物理学者技術者オズボーン・レイノルズが定義した。

定義

しばしば Re と書かれ、次の式で表される:

  • U : 特性速度 [m/s]
  • L : 特性長さ [m]
  • ν : 動粘度又は動粘性係数 [m2/s]
  • μ : 粘度又は粘性係数 [Pa・s]
  • ρ : 密度 [kg/m3]

(単位は SI による例)

レイノルズ数はバッキンガムのΠ定理に基づく次元解析から導かれたものであり、同様のものにマッハ数がある。

物理的な意味

流れの相似性

前述のバッキンガムのΠ定理によればさらに、流れの中におかれた物体に働く力はレイノルズ数とマッハ数のみの関数である。すなわち、レイノルズ数とマッハ数が同じ値の流れ場は同じ振る舞いをする。これを流れの相似性という。これを利用すれば、風洞実験で流れ場を再現するにはレイノルズ数・マッハ数を変えるだけでよく、流速・密度・粘性係数・圧力等といった多数の変数を扱う必要がなくなり、実験回数を大きく削減できる。

さらに、非圧縮流れではレイノルズ数のみで相似性が成り立つ。これをレイノルズの相似則という。

乱流遷移の指標

定義を見てみると分母は粘性力、分子は慣性力の強さを表しており、レイノルズ数は粘性力(周りの流体要素と同様に動こうとする力)に対する慣性力(周りとは別に動こうとする力)の強さを表していると見ることができる。したがってレイノルズ数が大きくなることは、各流体要素が別個に運動し、流れ場が乱流に近づくことを意味する。一般に、流れは、レイノルズ数が小さい内は層流だが、レイノルズ数が大きくなると、乱流に転ずる。このため、レイノルズ数は、乱流と層流を区別する指標としても用いられる。層流が乱流に遷移するときのレイノルズ数を臨界レイノルズ数という。例として、円管内の流れでは2,000~4,000、一様流中の平板表面では500,000程度であることが実験から知られている。

さまざまな流れにおけるレイノルズ数

レイノルズ数は詳細な数字でなく、「10 の何乗」という桁数に注目することも多い。たとえば、空気中を飛行する飛行機の主翼でのレイノルズ数は 106 ~ 108 程度である。また、模型飛行機などのレイノルズ数は105以下で低レイノルズ数領域と言われている。

脚注

  1. ^ 文部省日本物理学会編『学術用語集 物理学編』培風館、1990年。ISBN 4-563-02195-4http://sciterm.nii.ac.jp/cgi-bin/reference.cgi 

関連項目