馬遠
馬遠(ば えん、生没年不詳)は、南宋の画家。字は遙父。号は欽山。当時において夏珪と並ぶ院体画の代表的な画家。
略歴
山西省運城県河中の出身だが、のちに銭塘(杭州)に移る。光宗・寧宗の時代(1189年-1224年)に画院侍詔(宮庭画家)として活動した。画家の一族で、曽祖父馬賁、祖父馬興祖、伯父馬公顕、父馬世栄、兄馬逵、子馬麟、みな画院の画家だったことから「馬一族は五代に渡ってみな画手である」と記されており、山水・人物・花鳥画どれも画院中第一と評された。
李唐、劉松年、夏珪と並んで南宋四大家の一人とされる。夏珪と同様に、山水を描く際に画の一角のみに風景を描いて、広い余白を設けた(「辺角の景」)。
作品
- 『西園雅集図巻』 (カンザスシティ・ネルソン・アトキンス美術館)
- 『洞山渡水図』 (東京国立博物館) 1幅 絹本墨画淡彩 重要文化財
伝馬遠作品
- 『風雨山水図』 (東京・静嘉堂文庫) 1幅 絹本墨画淡彩 国宝 - 馬遠だけでなく夏珪の画風も認められることから、両者に後れた時代の作と考えられるが、現在馬遠の真筆が極僅かであり、南宗画院の作風や秀逸な水墨技法を今に伝える絵として貴重。
- 『寒江独釣図』 (東京国立博物館) 1幅 絹本墨画淡彩 重要文化財
- 『山水図』 (MOA美術館) 1幅 絹本墨画淡彩 重要文化財
- 『山水図』 (大徳寺龍光院) 1幅 絹本墨画淡彩 重要文化財
関連項目
参考資料
- 鈴木敬編 『李唐・馬遠・夏珪』 [水墨美術大系第2巻] 集英社、1974年(普及版1980年)
- 王伯敏著 遠藤光一 『中国絵画史事典』 雄山閣、1996年 ISBN 4-639-01385-X
- 小川裕充編 『故宮博物院2 南宋の絵画』 日本放送出版協会 1998年 ISBN 4-14-080280-4