首里劇場

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首里劇場
情報
開館 1950年9月21日
開館公演男の涙』(新東宝
閉館 2022年4月
客席数 211
所在地 903-0823
沖縄県那覇市首里大中町1-5
位置 北緯26度13分16.5秒 東経127度42分57.4秒 / 北緯26.221250度 東経127.715944度 / 26.221250; 127.715944 (首里劇場)座標: 北緯26度13分16.5秒 東経127度42分57.4秒 / 北緯26.221250度 東経127.715944度 / 26.221250; 127.715944 (首里劇場)
アクセス ゆいレール儀保駅から徒歩10分
外部リンク http://www.shurigekijou.com/
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首里劇場(しゅりげきじょう)とは、沖縄県那覇市首里大中町1-5にある映画館。2022年(令和4年)4月に休館となった。

1950年(昭和25年)9月21日に開館し、1970年代以降には成人映画館として営業していたが、2021年(令和3年)5月1日から2022年(令和4年)4月までは名画座として営業していた。座席数は211席[1]35mmフィルム映写機のみ設置しており、フィルム映画の上映に特化している。

歴史

開館

1947年(昭和22年)頃のこの地には、首里劇場の前身である露天劇場(屋根を有さない劇場)の首里公民館があり、芝居の巡業などの際に用いられた[2]

1950年(昭和25年)9月21日、首里市(現在の那覇市首里)における戦後初の有蓋映画館として開館した[2]。オープニング作品は新東宝の『男の涙』であり、東宝作品を中心に上映した[3]。開館当初の経営者は琉球肥料や久米島製糖の取締役である真栄城喜福だったが、やがて首里劇場の施工を担当した合資会社田光組の金城田光に経営権が譲渡された[2]。金城田光は那覇市にニュース映画専門の牧志ニュース館を経営しており、首里劇場は2館目の映画館だった[3]。開館当時は沖縄芝居や時代劇芝居、邦画、洋画を上映していた[4]

成人映画館として

かつては首里城跡に琉球大学のキャンパスがあって周辺がにぎわい、首里バスの修理工場の行員なども詰め掛けた[3]。2代目館主の金城田眞の時代には映画人気の低迷からピンク映画を上映するようになり、『ジェラシー・ゲーム』(日活ロマンポルノ、1982年)や『トルコ行進曲 夢の城』(日活ロマンポルノ、1984年)などが流行った[3]

2010年代には沖縄県を拠点とするミュージシャンによる音楽ライブも盛んに行われており[3]渋さ知らズオーケストラのライブ(2014年2月9日)ややちむんの25周年記念ライブ(2016年4月29日)などが行われている。

新型コロナウイルス感染症の世界的流行の影響による日本政府の緊急事態宣言を受けて、2020年(令和2年)4月23日から5月15日には臨時休業した[5][6]。営業再開の際には「客は1日15人程度で密集しない。建物が古く隙間風が通り抜け密閉ではなく、接客もしないので密接でもない」などと自虐して来場をアピールした。2021年(令和3年)2月1日には再開日未定の長期休館に入ったが[7]、3月26日からはいくつかのドキュメンタリー映画を特別上映した。

名画座として

2021年(令和3年)5月1日には名画座として営業を再開した[8][9][10]

2022年(令和4年)4月9日、3代目館長の金城政則が死去した[11]。遺族は閉館の意志を示しているが、「首里劇場友の会」は保存の方向を模索している[11]

特色

成人映画館(~2021年)

2021年(令和3年)2月まではOP映画制作などのピンク映画上映館として営業していた。ピンク映画監督の荒木太郎は首里劇場のファンであることを公言しており、ロビーには荒木太郎作品のポスターなどが貼られている[3]。ピンク映画館であるため様々な性癖の観客が訪れるが、作品を楽しみたい観客のために、ゲイ痴漢だけは禁止している[3]

ポットン便所

首里劇場のトイレは今時珍しいポットン便所(ボットン便所)であり、映画館サイト『港町キネマ通り』管理人の大屋尚浩は「『首里劇場』を訪れたら(トイレを)是非見ていただきたい」としている[3]。首里劇場の観客は基本的に男性であるが、男性用個室のほかに女性用個室もあり、女性用個室にはのぞき穴が設けられている[3]。館主の金城政則は「古い・汚い・臭いをウリにしていこうと思っています」「感動しながらビンビン!笑いながらビンビン!」などと語っている[3]

歴代館主

  • 初代 金城田光かなしろ でんこう(3代目の叔父)
  • 2代目 金城田眞かなしろ まさのり(3代目の父)
  • 3代目 金城政則かなしろ まさのり

脚注

  1. ^ 首里劇場の館内 首里劇場
  2. ^ a b c 平良竜次 首里劇場通史〜沖縄最最古の劇場70余年の物語 首里劇場友の会
  3. ^ a b c d e f g h i j 首里劇場 - 港町キネマ通り
  4. ^ 首里劇場とは 首里劇場
  5. ^ 「笑いとエロは世界を救う」首里劇場が「NO密」で再開」『琉球新報』2020年5月26日
  6. ^ なお、2020年5月8日にはひそかに営業を再開していた。
  7. ^ 首里劇場、エロ辞めるってよ Dee Okinawa、2021年2月9日
  8. ^ 成人映画の首里劇場、名画座で再出発 開館71年「NO密な空間楽しんで」”. 琉球新報デジタル. 2021年4月29日閲覧。
  9. ^ 成人映画専門の映画館が再スタート 「昭和の匂いがする劇場」でかなえた名画座の夢”. 沖縄タイムス (2021年4月30日). 2021年5月8日閲覧。
  10. ^ 首里劇場が名画座になって復活!”. DEEokinawa (2021年4月27日). 2021年5月8日閲覧。
  11. ^ a b “沖縄に現存する最古の映画館「首里劇場」閉館へ 3代目館長の死去で 芝居→成人映画→名画座 変化した72年”. 沖縄タイムス. (2022年6月6日). https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/970586 2022年6月6日閲覧。 

外部リンク