電子ボルト
電子ボルト (エレクトロンボルト) | |
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記号 | eV |
系 | SI併用単位(SI単位で表される数値が実験的に得られるもの) |
量 | エネルギー |
SI |
1.602 176 565(35)×10−19 J (2010 CODATA) |
定義 | 電子1個を1Vの電位差で加速したときのエネルギー |
電子ボルト(でんしボルト、エレクトロンボルト、electron volt、記号 eV)は、エネルギーの単位である。エレクトロンボルトともいう。素粒子の質量の単位としても使われる。[1]
1 V の電位差がある自由空間内で電子 1 つが得るエネルギーを 1 eV とする。非常に小さな単位である。1 eV の2010年CODATA推奨値は 1.602 176 565(35)×10−19 J(括弧内は拡張不確かさ)である[1]。質量に換算する[2]と 1.782 661 845(39)×10−36 kgとなる。1 eVの平均運動エネルギーをもつ気体の温度は11 604 Kとなる。
物性物理学から素粒子物理学、あるいは化学、半導体工学などの幅広い分野で使用されるエネルギーの単位である(*)。分野によって使用される桁数が大きく異なる。物性分野では数 meV - 数 eV(もっと大きい場合もある)のオーダー(1 meVが約10 Kに相当)である。素粒子分野では数 MeV - 数 GeV(あるいはそれ以上)のオーダーでの議論がなされる。電子質量は約0.5MeV、陽子質量は約1GeVに相当する。
日本語では活字での正式な表記の際には「電子ボルト」を用いることが多いが、発表・会話などではほとんどの場合「エレクトロンボルト」と読む。単に「イーヴィー」と読まれることもある。日本の高エネルギー(素粒子)分野では、MeV、GeV、TeVなどをそれぞれ、“メブ”、“ジェブ”、“テブ”などと発声する場合がある。
主な利用場面
電子ボルトは日常生活ではあまり用いられない単位と言えるが、巨視的な物質や現象を素粒子1個単位から記述するのに便利である。このため学問や産業の現場において、光子や電子、原子などの持つエネルギーを表す際に広く利用される。以下、代表的な例を幾つか挙げる。
- 物質中の電子の持つエネルギーを表現する際に用いられる。例えば外部から与えた電界によって全体の電位が1V変化すると、中の電子のポテンシャルエネルギーが1eV変化することになるため、計算上都合が良い。
- 可視光域での光子1個のエネルギーは数eV単位となり、物質との相互作用の取り扱いに便利である。
脚注
関連項目
ジュール (J = kg·m2/s2) |
キロワット時 (kW·h) |
電子ボルト (eV) |
重量キログラムメートル (kgf·m) |
国際蒸気表カロリー (calIT) | |
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1 J | = 1 | ≈ 2.778×10−7 | ≈ 6.242×1018 | ≈ 1.020×10−1 | ≈ 2.388×10−1 |
1 kW·h | = 3.6×106 | = 1 | ≈ 2.247×1025 | ≈ 3.671×105 | ≈ 8.598×105 |
1 eV | = 1.602176634×10−19 | ≈ 4.450×10−26 | = 1 | ≈ 1.634×10−20 | ≈ 3.827×10−20 |
1 kgf·m | = 9.80665 | ≈ 2.724×10−6 | ≈ 6.121×1019 | = 1 | ≈ 2.342 |
1 calIT | = 4.1868 | ≈ 1.163×10−6 | ≈ 2.613×1019 | ≈ 4.269×10−1 | = 1 |