バンド構造

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バンド構造(バンドこうぞう、Band structure)は、ポテンシャル誘電率などの周期的構造によって生じる、波動電子電磁波など)に対する分散関係のことである。

  • 電子バンド構造(Electronic band structure)
結晶中の電子に対するバンド構造で、ポテンシャルの周期的構造によって生じる。本項を参照。
  • フォトニックバンド構造(Photonic band structure)
フォトニック結晶中の電磁波に対するバンド構造で、誘電率の周期的構造によって生じる。フォトニックバンド構造を参照。

他にも、フォノニックバンド構造やプラズモニックバンド構造などがある。


電子バンド構造(Electronic band structure)は、結晶などの固体の中で、波として振舞う電子(価電子)に対するバンド構造のことである。

概要[編集]

例:シリコン結晶のバンド曲線(概形)

結晶中ではイオン殻による周期的な電場によって、電子のとり得るエネルギーは、いくつかの帯状(バンド状)の領域に限られる。この領域をエネルギーバンドと呼び、電子が取ることの出来ないエネルギー領域をエネルギーギャップと呼ぶ。エネルギーバンド中にどのように電子が入っているかによって、その固体の電気伝導性や光学的特性などが決まる。また、バンド構造はバンド曲線E-k曲線(E-k分散)、バンド分散などと呼ばれることもある。

バンド構造は通常、縦軸がエネルギー、横軸が第一ブリュアンゾーンの適当に選んだいくつかの直線上のk点となっている(系の持つ対称性に依存する)。各k点上に電子の取り得る固有状態(バンド)があり、これらが繋がって曲線をなしている(繋がり方も重要)。バンド構造を見ることにより、バンドギャップが空いているかどうか(つまり対応する系が金属かそうでないか)、バンドの分散が強いか弱いかによる電子状態の違い(分散が弱いと、そのバンドの電子はより束縛された状態となっている。強いと逆)、異なる系同士のバンド構造を比較することにより、系の安定性(どちらがより安定か)などの議論が可能である(注:バンド構造だけでは判断できない場合もある)。

半導体のバンド構造の模式図。Egがバンドギャップ(禁制帯)、その下の充満帯が価電子帯。禁制帯のすぐ上の空帯が伝導帯となる。

半導体(や絶縁体)においては、k空間を無視して、バンドギャップの周辺だけに注目した、より簡単な描写が良く用いられる。バンドギャップの項を参照。

電子のバンド構造と類似したものとして、フォノンによる分散曲線やフォトニックバンド構造などがある。なお、このような波数kと、対応するエネルギー固有値(固有エネルギー)εkとの関係を分散関係と言う。

関連項目[編集]