東横フラワー緑道

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東横フラワー緑道
Tōyoko Flower Green way
旧新太田町駅付近(2011年9月17日)
分類 都市緑道
所在地
横浜市神奈川区広台太田町
面積 14,587 m2
前身 東急東横線線路
開園 2006年8月25日
運営者 横浜市
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東横フラワー緑道(とうよこフラワーりょくどう)は、東急東横線地下化により生じた東白楽駅 - 横浜駅間の線路跡横浜市によって整備された延長約1.4kmの緑道公園)である。

2006年7月に新太田町駅跡を含む広台太田町付近から反町3丁目付近までの第1期区間約250m、2007年4月に反町3・4丁目の第2期区間約180mが完成。さらに2011年4月に高島山トンネルが整備されて全線開通となった。

本項では、東横線の廃線区間(横浜駅 - 桜木町駅)における遊歩道整備計画についても一部扱っている(後節参照)。

経緯[編集]

2004年2月のみなとみらい線(横浜駅 - 元町・中華街駅)開業に伴い、同線と直通運転を行う東急東横線の反町駅および横浜駅が地下化された。その地下化跡地の用途について検討が行われた結果、横浜市が線路跡地に緑道を整備することとなり、2005年12月に整備が開始された。その後、緑道の愛称について一般公募が行われ、2006年4月に東横線地下化跡地活性化地元委員会によって「東横フラワー緑道」を愛称および正式名称とすることが決まった。線路の撤去が完了した後、地元住民との話し合いのもと緑道の整備が進められ、2011年4月には全区間の整備が完了している。これにより、横浜駅 - 東白楽駅間を通して歩くことが可能となった。

整備区間[編集]

エリアの詳細については、『東横線地下化跡地 散歩道づくり通信』の第13号を参照。

エリア1(東白楽駅 - 平川町公園)[編集]

2010年6月10日に二ツ谷公園が利用可能となり、滝の川せせらぎ緑道と繋がるようになった。

現在、東白楽駅まで陸橋で繋がれている。

エリア2(平川町公園 - 広台太田町付近)[編集]

2006年7月29日に新太田町駅跡地のみ広場としてオープンした(同時にエリア3の隣接区間も開通)。同日に当広場でテープカットや植樹などが行われた。

広場内には、東横フラワー緑道の石碑、水飲み、ベンチが設置されており、敷地面積はそれほど広くないものの、遊ぶ子どもたちやベンチで休憩する人々の姿が見受けられる。

エリア3(広台太田町付近 - 反町駅北側)[編集]

エリア2のオープンと同日に広台太田町付近から反町3丁目付近までの第1期区間約250m、さらに2007年4月に反町3・4丁目の第2期区間約180mが完成した。地下化以前は東横線の高架線が通っており、住宅街とはいえ騒音が激しかったが、現在は撤去されて静かな緑道が続いている。

花壇、樹木、水飲みが設置されているほか、木道舗装部分にはみなとみらい地区汽車道と同じように線路がはめこまれている。

エリア4(反町駅付近)[編集]

東横線の旧高架橋を再利用し、反町駅北側(エリア3)から国道1号をまたいで反町駅南側の緑道(エリア5)に至る高架式の歩道(東横フラワー緑道反町橋)が設けられている。また、国道1号の両側に、高架式の緑道と地表を行き来するための階段およびエレベーターが設置された。

エリア5(反町駅南側 - 桐畑橋周辺)[編集]

高島山トンネル手前までの当エリアは2010年5月1日、エリア4の高架式歩道と同時に利用可能となった。設備として、東横フラワー緑道集会所「反町駅前ふれあいサロン」が同年4月13日にオープンしている。

エリア6(高島山トンネル内)[編集]

高島山トンネル(2011年10月10日)

6時から21時半にかけて通行が可能(トンネル内のため、通行時間に制限がある)。

東横線の反町駅 - 横浜駅間に位置する高島山を貫通するトンネルで、地下化以前は同線の電車が走行しており、またかつては横浜方の出口付近に同線の神奈川駅があった。このトンネルは2011年4月16日13時から通行可能となっている。

当エリア(高島山トンネル)開通前は、反町駅周辺から横浜駅に徒歩で移動する場合、神奈川区内有数の丘陵である高島山を越えるか、反町駅から桐畑・青木橋方面または泉町方面に迂回する必要があったが、トンネルが開通すると横浜駅まで最短距離で移動できるようになったため、反町駅周辺から横浜駅までの所要時間が大幅に短縮された。

なお、当エリアの整備に際し2008年1月より老朽化したトンネルの補強工事が行われた関係で、トンネル断面が現役時代よりやや縮小されている。また、2010年4月より実施された調査でトンネルに亀裂が見つかり補強工事が行われた。

エリア7(青木浅間線付近)[編集]

東横線の高架橋は撤去され、高島山トンネル南側の旧東海道(神奈川宿歴史の道)付近から青木浅間線まで約100mの歩道が開通している。2010年4月24日に高島山トンネル手前まで緑道が伸びた。

緑道区間はここまでだが、このほかに横浜駅手前で派新田間川を渡る鉄道橋が残存し、2020年に歩行者デッキの「はまレールウォーク」として整備された(後節も参照)。

歴史[編集]

  • 2004年平成16年)1月31日 - みなとみらい線開業および相互乗り入れを翌日に控え、東急東横線の反町駅および横浜駅が地下化
  • 2005年(平成17年)12月 - 東横線地下化跡地の緑道(遊歩道)整備を開始
  • 2006年(平成18年)
    • 4月 - 緑道の愛称および正式名称が「東横フラワー緑道」に決定
    • 7月29日 - 第1期区間が一部暫定開通
    • 8月25日 - 第1期区間が開通(この日をもって正式開通)
  • 2007年(平成19年)4月 - 第2期区間が開通
  • 2010年(平成22年)4月 - 第3期区間の一部が開通
  • 2011年(平成23年)
    • 4月1日 - 平川町公園および二ツ谷公園区間オープン
    • 4月16日 - 高島山トンネルオープン、緑道が全道開通

関連する遊歩道整備計画[編集]

東横フラワー緑道〜横浜駅までの整備

東横フラワー緑道から横浜駅までの経路については、横浜駅きた西口鶴屋地区第一種市街地再開発事業に伴って横浜駅西口駅前広場に至る道路が通行できなくなるため、2020年に東横フラワー緑道からJR横浜鶴屋町ビルの2階通路、遊歩道「はまレールウォーク」、JR横浜タワーを経由して横浜駅西口駅前広場に至る経路が整備された。

横浜駅〜桜木町駅間の東横線跡地遊歩道

みなとみらい線の開業に伴い生じた東急東横線の廃線区間のうち、残りの横浜駅 - 桜木町駅間においても、延長約1.8kmの遊歩道(歩行者専用道路、「東横線跡地遊歩道[1]とも呼ばれるが正式名称等は未定)の整備が計画されている[2][3]。この廃線区間では高架橋により東西地域(みなとみらい地区花咲町以西地域など)が分断されていることから、階段・昇降施設を設けるなどして周辺地域とのアクセス強化も図る計画となっている[4]。なお、当初の計画では自転車も通行可能とされていたが、遊歩道の幅が7メートルしか取れないため自転車と歩行者の分離が難しく、警察との協議の結果、歩行者専用の「魅力ある遊歩道」という風に計画自体が見直されることとなった(この見直しは計画の遅延にも大きく影響している)[5][6]

廃線跡ということもあり、遊歩道の路面には線路のバラスト砂利)をイメージした舗装が施される予定である。また、この遊歩道整備計画は「エキサイトよこはま22(横浜駅周辺大改造計画)」の歩行者動線計画の一部にもなっており、横浜駅東口地区開発計画(ステーションオアシス地区)内部を通過し[7][8]、最終的には横浜駅地下1階のみなみ通路みなみ東口付近)に接続する計画となっている[2][6][9]

2016年3月時点の計画では、桜木町駅西口広場[注 1]2014年7月オープン[2][10])の北側より「紅葉坂交差点」付近までの一部区間(約140m)について2016年度末の整備完了を目指していた[5][注 2]が、予算等の関係により実現には至らなかった[6][11]。その後、2019年6月末までに同区間の整備が完了し、翌7月にようやく先行開通となった[12][13][14](今後も横浜駅方面に向けて整備を進め、完了した区間から順次開通予定[6][12])。先行開通区間では将来的な遊歩道の利活用(魅力的な歩行者空間を形成)に向けて、活用実験(イベント)なども不定期で行われている[1]

整備が遅れている理由としては予算等の関係や高架の劣化調査・補強撤去等[15]に加え、JR線と国道16号に挟まれスペースがかなり狭く、双方に影響を与えないよう協議をしながら工事を進めていく必要がある立地条件も影響しているという[16]

なお、旧高島町駅から横浜駅寄りの一部高架(高島町交差点〜浅山橋交差点付近[17])は劣化が進み耐震性にも問題があることから2021年度より解体・撤去し、撤去された区間については地上に遊歩道を整備する方針(整備時期未定)である[15]

さらに遊歩道の整備についても周辺の交通状況などを踏まえた、活用方針の見直しが検討されている[18]。横浜市都市整備局都市交通課によると、計画を一旦リセットした上で2022年から2024年にかけて基本計画を再設計しているとのことで、2024年3月時点で整備時期も未定である[19]

整備中の遊歩道(桜木町駅付近、2018年2月)
2019年7月に先行開通した一部区間(桜木町駅西口広場〜「紅葉坂交差点」付近)

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 遊歩道の桜木町駅側の起点となる広場[5][6][10]
  2. ^ 2017年3月に開催される「全国都市緑化よこはまフェア(ガーデンネックレス横浜2017)」に合わせて、同区間の先行開通を目指していた[3]

出典[編集]

  1. ^ a b 公共空間の利活用東横線跡地遊歩道活用実験(横浜市都市整備局:都市デザイン)
  2. ^ a b c 東急東横線の跡地利用(横浜市都市整備局)
  3. ^ a b みなとみらい2050プロジェクト アクションプラン (PDF) (横浜市 平成27年 (2015年) 3月/横浜市温暖化対策統括本部「みなとみらい2050プロジェクトアクションプラン」
  4. ^ “桜木町駅~横浜駅間の遊歩道計画はどうなった?”. はまれぽ.com. (2011年12月5日). http://hamarepo.com/story.php?story_id=667 
  5. ^ a b c “旧東横線桜木町〜横浜間の工事完了は遅延する?”. はまれぽ.com. (2016年3月13日). http://hamarepo.com/story.php?story_id=5092 
  6. ^ a b c d e f “横浜-桜木町「東横線」跡地整備はいつ終わる? 遊歩道になるはずが2021年まで先送り”. 東洋経済オンライン. (2017年12月7日). http://toyokeizai.net/articles/-/199890 
  7. ^ 再評価 東横線跡地整備事業(廃線区間)(都市整備局)アーカイブ (PDF) (平成27年度第1回横浜市公共事業評価委員会 平成27年 (2015年) 11月10日)
  8. ^ 再開発① 国際都市の玄関口としてふさわしい街づくりを進める横浜の再開発アーカイブ (PDF) (プレシス横浜の公式ページ資料)
  9. ^ 横浜駅の「みなみ東口」はいつまで仮設通路なの?(はまれぽ.com 2017年3月8日)
  10. ^ a b 桜木町駅西口広場が完成します!詳細記者発表資料アーカイブ (PDF) 〉(横浜市都市整備局 平成26年 (2014年) 7月9日)
  11. ^ 東横線跡地、歩いてきました(横浜市会議員(緑区) 伊藤ひろたか 公式ウェブサイト 2016年10月7日/Wayback Machineによる2018年7月24日時点のアーカイブ
  12. ^ a b “横浜駅~桜木町駅をつなぐ旧東横線高架利用の遊歩道、ついに供用開始へ!?”. はまれぽ.com. (2019年3月19日). https://hamarepo.com/story.php?story_id=7147 
  13. ^ 東横線跡地(桜木町駅~紅葉坂交差点)の供用を開始します!詳細記者発表資料 (PDF) 〉(横浜市道路局 令和元年 (2019年) 7月12日)
  14. ^ “東横線跡地(桜木町駅そば)の歩道は走行中の電車が間近で見える場所だった!”. はまこれ横浜. (2019年7月18日). https://hamakore.yokohama/sakuragicho-pedestrian-only-report/ 
  15. ^ a b “遊歩道計画、3度目延期 東横線・旧桜木町−横浜駅 線路跡 高架劣化で補強や撤去へ”. 東京新聞 (TOKYO Web). (2021年6月5日). オリジナルの2021年6月20日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20210620004950/https://www.tokyo-np.co.jp/article/108780 
  16. ^ “東急東横線の廃線跡はどうなるのか 横浜~桜木町 廃止17年の姿と今後”. 乗りものニュース. (2021年4月27日). https://trafficnews.jp/post/106598 
  17. ^ 横浜市都市整備局 令和4年 (2022年) 度予算概要 (PDF) (資料内「令和4年度 予算案の主な事業・取組:【取組2】力強い経済成長と都市の魅力・活力を高める都心部のまちづくり」 p.17〈(9) 東急東横線廃線跡地整備事業〉
  18. ^ 横浜市 東横線跡地、活用方針見直しか(建通新聞〈電子版〉 2023年1月6日)/同記事全文(地方建設専門誌の会)
  19. ^ 横浜線直通計画もあった「みなとみらい線」秘話 2024年で開業20年、距離は短いが工事は難航(東洋経済オンライン 2024年3月22日/記事内 p.6)

関連項目[編集]

外部リンク[編集]