夢語りシリーズ

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夢語りシリーズ』(ゆめがたりシリーズ)は、『ボニータ』(秋田書店)で掲載された湯口聖子の漫画作品。鎌倉幕府執権職を務めた氏族・北条氏の栄枯盛衰を描いた読み切りシリーズ(「風の墓標」と「天翔ける星」は長編連載)。

なお、「夢語り」のタイトルは、北条重時が著した「極楽寺殿御消息」の一文より取られている[1]

シリーズ一覧

1985年~1992年にかけて、秋田書店・ボニータコミックスより発行。

北条時房(北条政子、義時の弟)を主人公にして、奥州合戦から比企能員の変までを描く。
石橋山の戦いから源実朝暗殺まで。
北条政子の妹達(足利義兼室と稲毛重成室)の物語の他、千手の前平重衡の悲恋、公暁とその乳兄弟・駒若丸との主従を超えた友情を描く。
北条時房を主人公にして、和田合戦から源実朝暗殺、承久の乱までを描く。
兄・義時の側室腹の姫・尊子と京都守護・伊賀氏の嫡男・寿王丸の悲恋を描いている。
宝治合戦三浦氏滅亡)と二月騒動。平安時代を題材にした読みきり作品も収録。
正中の変から元弘の変まで。
鎌倉幕府と北条氏の滅亡を、最後の執権を務めた赤橋家の人々を中心に描いている。
最終巻に北条友時(北条仲時の子)を主人公にした読みきり作品を収録。
牧氏事件畠山重忠の乱畠山重保畠山家に仕える郎党の娘・海松の悲恋と那須与一の活躍(源義経との出会いから屋島の戦いまで)。巻末掲載の番外編『鎌倉以前』では、時房誕生と生母との死別や政子たち兄妹たちの成長と、鎌倉へ移住するまでが描かれている。
曾我兄弟の仇討ち
室町時代初期(建武の新政
足利直冬を主人公にした読みきり作品と、北条時行を主人公にした三連作を収録。巻末には現代のJR鎌倉駅前の様子が描かれている。
  • 夢語りシリーズは、作者である湯口聖子によって、同人誌も存在する。作中の登場人物は同一だがストーリーは新たに描かれている。夢語りシリーズとは別に、「風の墓標」の赤橋家を中心にした作品や執権一族を取り上げた作品など、北条家をメインに据えた作品もある。

主要登場人物

北条家とその関係者

北条時房
最初の六波羅探題南方。北条政子、義時の弟。「夢語り」、「月のほのほ」、「夕凪の賦」、「砂の鏡」、「天翔ける星」に登場。
北条政子
源頼朝正室。北条義時、時房の姉。「夢語り」、「月のほのほ」、「夕凪の賦」、「砂の鏡」に登場。
北条義時
鎌倉幕府第2代執権。北条重時の父。「夢語り」、「月のほのほ」、「夕凪の賦」、「砂の鏡」に登場。
北条百合野
時房たち姉弟のはとこ(※自身がのちに「北条家とはいえ 傍流なのよ」と言っていた。)。
「星が降る日」(「夢語り」収録)に登場。
公暁
源頼家の子、源実朝の甥。「流砂の片貝」(「月のほのほ」収録)、「夕凪の賦」に登場。
北条尊子
義時の妾腹の娘。泰時の異母妹。
「大地燃ゆ」(「夕凪の賦」収録)に登場。
毛利泰光
毛利季光の子。宝治合戦で父や兄たちと共に自刃する。「六月の子守唄」に登場。
北条義宗
六波羅探題北方。第6代執権北条長時の子。二月騒動の当事者。「海鳴りの歌」(「六月の子守唄」収録)に登場。
北条時輔
六波羅探題南方。第8代執権北条時宗の異母兄。二月騒動の当事者。「海鳴りの歌」に登場。
北条守時
鎌倉幕府第16代(最後)の執権。北条義宗の孫。「風の墓標」に登場。
赤橋登子
足利高氏正室。北条守時の妹。「風の墓標」に登場。
北条仲時
最後の六波羅探題北方。第13代執権北条基時の子。「風の墓標」に登場。
足利直義
足利高氏の弟、足利直冬の養父。「風の墓標」に登場。
足利直冬
足利尊氏の妾腹の子。千手王(のちの義詮)の異母兄。「風の墓標」と「北天の星」(「明日菜の恋歌」収録)に登場。
足利千手王
足利尊氏の嫡腹の子。直冬の異母弟。のちの室町幕府第2代将軍足利義詮。「風の墓標」に登場。
北条友時
北条仲時の子。「風の墓標」と「続・風の墓標」(「風の墓標」最終巻収録)に登場。
北条時行
第14代執権北条高時の次男。「明日菜の恋歌」に登場。
比企能員の次女。若狭局の妹。「夢語り」、「砂の鏡」に登場。
赤橋四郎
守時の末弟。「風の墓標」の主人公。
赤橋章子
表向きは四郎の末妹だが、実は守時が結婚前に別の女性との間に儲けた娘(第3巻にて明かされた)。「風の墓標」に登場。
北条氏滅亡後、出家しようとしたが直義に止められそのまま結婚(史実では、直義の妻は渋川氏)。

御家人・その他

畠山重保
畠山重忠の子(母は北条政子の妹)。「砂の鏡」に登場。
那須与一
平安時代末期の武将。平家物語における、扇の的を射抜く件が非常に有名。「銀の翼」(「砂の鏡」収録)に登場。
曾我十郎祐成
曾我兄弟の兄。「天翔ける星」に登場。
曾我五郎時致
曾我兄弟の弟。「天翔ける星」に登場。
五大院繁子
五大院宗繁の娘。時行の母方の従妹にあたる。「七時雨」(「明日菜の恋歌」収録)に登場。
静御前
源義経側室で、母は磯禅師
鶴岡八幡宮での奉納舞で、義経を恋い慕う「しつ゛やしつ゛」の舞で知られている。「昔日」(「夢語り」収録)に登場。
千手の前
御所に仕える女房で、琵琶の名手。平重衝が捕えられ、鎌倉に移送された際。重衝の世話を命じられた。
献身的に仕える内に、重衛と愛し合うようになる。「緋の川」(「月のほのほ」収録)に登場。
三浦駒若丸
三浦義村の三男。公暁の乳兄弟。「流砂の片貝」(「月のほのほ」収録)に登場。
三浦崎子
三浦義村の娘。駒若丸(前述)の妹。「流砂の片貝」(「月のほのほ」収録)と、毛利氏との結婚後は「六月の子守唄」に登場。
奥州藤原氏の先代氏長者(当主)・秀衝の孫娘。「星が降る日」(「夢語り」収録)に登場。
頼朝による奥州藤原氏討伐で一族を滅ぼされ、一族の仇討ちをするために侍女に身をやつし、時連(※時房の旧名)に近つ゛き、時連を殺そうとするが百合野に制止される。
鎌倉へ護送され、時連の次姉・育子の嫁ぎ先である足利義兼の元へ預かりの身となり、後に無罪放免となる。
綾の兄
一族が滅亡の後(綾の項を参照)、出家。鎌倉で仮住まいを始めたころ、遠駆けに出た百合野を助けた事がきっかけで知り合い、直後に妹(綾)が放免になった事を知らされ、会わせて欲しいと懇願。
再会を果たしてすぐに、一族を滅ぼした頼朝を討とうとするが百合野と綾に止められ、百合野から愛を告白されてかけおちした。

脚注

  1. ^ 「明日菜の恋歌」P.199

関連項目

外部リンク