夢語りシリーズ
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『夢語りシリーズ』(ゆめがたりシリーズ)は、『ボニータ』(秋田書店)で掲載された湯口聖子の漫画作品。鎌倉幕府の執権職を務めた氏族・北条氏の栄枯盛衰を描いた読み切りシリーズ(「風の墓標」と「天翔ける星」は長編連載)。
なお、「夢語り」のタイトルは、北条重時が著した「極楽寺殿御消息」の一文より取られている[1]。
シリーズ一覧
1985年~1992年にかけて、秋田書店・ボニータコミックスより発行。
- 月のほのほ ISBN 9784253091121
- 夕凪の賦 ISBN 9784253091442
- 六月の子守唄 ISBN 9784253091497
- 風の墓標(全5巻) ISBN 9784253092418
- 牧氏事件(畠山重忠の乱)畠山重保と畠山家に仕える郎党の娘・海松の悲恋と那須与一の活躍(源義経との出会いから屋島の戦いまで)。巻末掲載の番外編『鎌倉以前』では、時房誕生と生母との死別や政子たち兄妹たちの成長と、鎌倉へ移住するまでが描かれている。
- 天翔ける星 ISBN 9784253092470
- 明日菜の恋歌 ISBN 9784253092487
- 夢語りシリーズは、作者である湯口聖子によって、同人誌も存在する。作中の登場人物は同一だがストーリーは新たに描かれている。夢語りシリーズとは別に、「風の墓標」の赤橋家を中心にした作品や執権一族を取り上げた作品など、北条家をメインに据えた作品もある。
主要登場人物
北条家とその関係者
- 北条時房
- 最初の六波羅探題南方。北条政子、義時の弟。「夢語り」、「月のほのほ」、「夕凪の賦」、「砂の鏡」、「天翔ける星」に登場。
- 北条政子
- 源頼朝正室。北条義時、時房の姉。「夢語り」、「月のほのほ」、「夕凪の賦」、「砂の鏡」に登場。
- 北条義時
- 鎌倉幕府第2代執権。北条重時の父。「夢語り」、「月のほのほ」、「夕凪の賦」、「砂の鏡」に登場。
- 北条百合野
- 時房たち姉弟のはとこ(※自身がのちに「北条家とはいえ 傍流なのよ」と言っていた。)。
- 「星が降る日」(「夢語り」収録)に登場。
- 公暁
- 源頼家の子、源実朝の甥。「流砂の片貝」(「月のほのほ」収録)、「夕凪の賦」に登場。
- 北条尊子
- 義時の妾腹の娘。泰時の異母妹。
- 「大地燃ゆ」(「夕凪の賦」収録)に登場。
- 毛利泰光
- 毛利季光の子。宝治合戦で父や兄たちと共に自刃する。「六月の子守唄」に登場。
- 北条義宗
- 六波羅探題北方。第6代執権北条長時の子。二月騒動の当事者。「海鳴りの歌」(「六月の子守唄」収録)に登場。
- 北条時輔
- 六波羅探題南方。第8代執権北条時宗の異母兄。二月騒動の当事者。「海鳴りの歌」に登場。
- 北条守時
- 鎌倉幕府第16代(最後)の執権。北条義宗の孫。「風の墓標」に登場。
- 赤橋登子
- 足利高氏正室。北条守時の妹。「風の墓標」に登場。
- 北条仲時
- 最後の六波羅探題北方。第13代執権北条基時の子。「風の墓標」に登場。
- 足利直義
- 足利高氏の弟、足利直冬の養父。「風の墓標」に登場。
- 足利直冬
- 足利尊氏の妾腹の子。千手王(のちの義詮)の異母兄。「風の墓標」と「北天の星」(「明日菜の恋歌」収録)に登場。
- 足利千手王
- 足利尊氏の嫡腹の子。直冬の異母弟。のちの室町幕府第2代将軍足利義詮。「風の墓標」に登場。
- 北条友時
- 北条仲時の子。「風の墓標」と「続・風の墓標」(「風の墓標」最終巻収録)に登場。
- 北条時行
- 第14代執権北条高時の次男。「明日菜の恋歌」に登場。
- 唯
- 比企能員の次女。若狭局の妹。「夢語り」、「砂の鏡」に登場。
- 赤橋四郎
- 守時の末弟。「風の墓標」の主人公。
- 赤橋章子
- 表向きは四郎の末妹だが、実は守時が結婚前に別の女性との間に儲けた娘(第3巻にて明かされた)。「風の墓標」に登場。
- 北条氏滅亡後、出家しようとしたが直義に止められそのまま結婚(史実では、直義の妻は渋川氏)。
御家人・その他
- 畠山重保
- 畠山重忠の子(母は北条政子の妹)。「砂の鏡」に登場。
- 那須与一
- 平安時代末期の武将。平家物語における、扇の的を射抜く件が非常に有名。「銀の翼」(「砂の鏡」収録)に登場。
- 曾我十郎祐成
- 曾我兄弟の兄。「天翔ける星」に登場。
- 曾我五郎時致
- 曾我兄弟の弟。「天翔ける星」に登場。
- 五大院繁子
- 五大院宗繁の娘。時行の母方の従妹にあたる。「七時雨」(「明日菜の恋歌」収録)に登場。
- 静御前
- 源義経の側室で、母は磯禅師。
- 鶴岡八幡宮での奉納舞で、義経を恋い慕う「しつ゛やしつ゛」の舞で知られている。「昔日」(「夢語り」収録)に登場。
- 千手の前
- 御所に仕える女房で、琵琶の名手。平重衝が捕えられ、鎌倉に移送された際。重衝の世話を命じられた。
- 献身的に仕える内に、重衛と愛し合うようになる。「緋の川」(「月のほのほ」収録)に登場。
- 三浦駒若丸
- 三浦義村の三男。公暁の乳兄弟。「流砂の片貝」(「月のほのほ」収録)に登場。
- 三浦崎子
- 三浦義村の娘。駒若丸(前述)の妹。「流砂の片貝」(「月のほのほ」収録)と、毛利氏との結婚後は「六月の子守唄」に登場。
- 綾
- 奥州藤原氏の先代氏長者(当主)・秀衝の孫娘。「星が降る日」(「夢語り」収録)に登場。
- 頼朝による奥州藤原氏討伐で一族を滅ぼされ、一族の仇討ちをするために侍女に身をやつし、時連(※時房の旧名)に近つ゛き、時連を殺そうとするが百合野に制止される。
- 鎌倉へ護送され、時連の次姉・育子の嫁ぎ先である足利義兼の元へ預かりの身となり、後に無罪放免となる。
- 綾の兄
- 一族が滅亡の後(綾の項を参照)、出家。鎌倉で仮住まいを始めたころ、遠駆けに出た百合野を助けた事がきっかけで知り合い、直後に妹(綾)が放免になった事を知らされ、会わせて欲しいと懇願。
- 再会を果たしてすぐに、一族を滅ぼした頼朝を討とうとするが百合野と綾に止められ、百合野から愛を告白されてかけおちした。
脚注
- ^ 「明日菜の恋歌」P.199