八ツ橋
八ツ橋(やつはし。八橋・八つ橋・八ッ橋とも記す)は、京都を代表する和菓子の一つである。米粉や砂糖などを原料とする短冊形の堅焼き煎餅のほか、生地を焼き上げない「生八ツ橋」も有名である。
起源・由来
江戸中期にあたる1689年(元禄2年)に、聖護院の森の黒谷(金戒光明寺)参道における茶店にて供されたのが始まりとされる。
八橋の名の由来については、箏曲の祖・八橋検校を偲び箏の形を模したことに由来するとする説と、『伊勢物語』第九段「かきつばた」の舞台「三河国八橋」にちなむとする説がある。
特徴
米粉・砂糖・ニッキ(肉桂、シナモン)を混ぜて蒸し、薄く伸ばした生地を焼き上げた堅焼き煎餅の一種で、形は箏を模しており(聖護院八ツ橋総本店による。別に橋の形を模しているという説もある)、長軸方向が凸になった湾曲した長方形をしている。
蒸し終えて薄く伸ばした生地を、焼き上げずに一定サイズに切り出したものは生八ツ橋(なまやつはし)と呼ばれ、1960年代に登場した。純粋に生地だけのものと、正方形の生地を二つ折りにして餡を包んだものがある。とくに後者はメーカーにより多種多様な種類が作られている。生地は通常のニッキのほか抹茶やごまを混ぜたものがあり、餡も通常のつぶあんのほかに果物やチョコレートの餡を用いるものもある。
昔の生八ツ橋は竹皮によって包まれていたが、現在は賞味期限を延ばすためにほとんどが真空パック詰めされている。そのため、真空パックを開封しなければ賞味期限はおおよそ9- 11日となっている。ただし、昔ながらの製法を特徴としているメーカーの商品の場合は、品質保持についても昔ながらであるために、賞味期限は他と比較して極端に短い。
関西地方では駅やサービスエリアの売店でも売られている。
京都の代表的銘菓
統計調査によると京都観光の土産として菓子類を購入する人は96%にのぼるが、そのうち八ツ橋の売上は全体の45.6%(生八ツ橋24.5%、八ツ橋21.1%)を占め、京都を代表する土産物と言える[1]。
八ツ橋の主な製造販売企業について
企業の表記順は、八ツ橋の製造販売を開始した年を基準とする。表記内容は左から順に、企業名(企業名と異なる屋号がある場合、鉤括弧( )内に記す)、八ツ橋・生八ツ橋以外の個別商品の代表例(鉤括弧「 」内)、特記事項。
- 聖護院八ツ橋総本店(玄鶴堂) 「聖(ひじり)」「旬菓(しゅんか)」 :1689年(元禄2年)に聖護院の森の茶店として創業し、八ツ橋の製造販売を開始。
- 本家西尾八ッ橋 「あんなま」 :元禄年間に聖護院の森の黒谷参道に八ッ橋屋梅林茶店として創業し、1689年(元禄2年)に八ツ橋の原型が誕生。文政七年に熊野神社に奉納された絵馬には「八ッ橋屋為治郎」の名が残る。
- 聖光堂八ツ橋總本舗 「なまやつ」 :1850年(嘉永3年)の創業と同時に八ツ橋の製造販売を開始。
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おたべ・京都新京極
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本家西尾八ッ橋、京都市東山区
脚注
- ^ http://raku.city.kyoto.jp/kanko_top/image/kanko_chosa18.pdf 平成18年京都市観光調査年表
外部リンク
販売企業の公式ウェブサイト(八ツ橋の製造販売開始年順)