三猿

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

これはこのページの過去の版です。Luckas-bot (会話 | 投稿記録) による 2011年11月11日 (金) 22:55個人設定で未設定ならUTC)時点の版 (r2.7.1) (ロボットによる 追加: eu:Hiru tximino jakintsuak)であり、現在の版とは大きく異なる場合があります。

日光東照宮の三猿像

三猿(さんざる、さんえん)とは3匹のが両手でそれぞれを隠している意匠である。三猿は世界的にも"Three wise monkeys"として知られ、「見ざる、聞かざる、言わざる」という叡智の3つの秘密を示しているとされる。

三猿の起源

3匹のというモチーフ自体は古代エジプトにも見られるもので、シルクロードを経由して中国から伝わったものだという見解がある。

また『論語』の一節に「非礼勿視、非礼勿聴、非礼勿言、 非礼勿動」(礼にあらざれば視るなかれ、礼にあらざれば聴くなかれ、礼にあらざれば言うなかれ、礼にあらざればおこなうなかれ)があり、中国では今日でも妊娠中の女性は胎教の観点から「目は悪色を視ず、耳は淫声を聴かず、口は敖言を出さず」という戒めを受ける。朝鮮半島においても、結婚前の女性は「見ても見ぬふり、聞いても聞こえないふりをして、言いたくても言うな」と教育される。

インドマハトマ・ガンディーは常に3匹の猿の像を身につけ「悪を見るな、悪を聞くな、悪を言うな」と教えたとされており、教科書などに「ガンディーの3猿」が掲載されている。またアメリカ合衆国では教会日曜学校などで三猿を用い猥褻なものを見たり、性的な噂を聴いたり、嘘や卑猥なことを言わないよう諭すことがある。

「見ざる、聞かざる、言わざる」は日本には8世紀ごろ、漢語の「不見、不聞、不言」を訳した天台宗の教えとして伝わったものだという説がある。日本語の語呂合わせから日本が三猿発祥の地と思い込む人は多いが実は「見ざる、聞かざる、言わざる」によく似た表現は古来世界各地にあり、同様の像も古くから存在する。そしてまた、それぞれの文化によって意味するところは微妙に異なる。三猿の起源は未だ十分に解明されておらず、今後の研究調査に委ねるところが大きい。

三猿コレクション

大阪府に所在する国立民族学博物館には世界の三猿コレクションがある。同博物館の民族文化研究部教授中牧弘允によって、図集が出版されている。

参考文献

関連項目

  • 秩父神社 - 埼玉県秩父市中心部にある神社。本殿には、日光東照宮の三猿と正反対の「よく見て・よく聞いて・よく話す」三猿(お元気三猿と呼ばれる)の彫り物がある。本殿は1592年天正20年)に徳川家康が寄進したものであり、建築様式は後の日光東照宮のモデルになったとされる。

外部リンク