ロマンス (音楽)
クラシック音楽 |
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ロマンス(フランス語・英語: romance, ロシア語: романс)、ロマンツェ(ドイツ語: Romanze)、ロマンツァ(イタリア語: romanza)は、器楽曲のジャンル名の一つ。
ロシア語においては現在でも芸術歌曲の意味で使われているが、これは19世紀前半までフランスで芸術歌曲を「ロマンス」と呼んだ習慣に倣ったものである(近代フランス以降の芸術歌曲は「メロディ」と言う)。しかし一般的にロマンスもしくはロマンツェとは、器楽曲のジャンル名の一つであり、抒情的な旋律美とその敷衍に表現の主眼を置いたものをいう。形式による拘束がないため、作曲家によって大作から小品まで、規模はさまざまである。
ロマンスという語は、スペイン語のロマンセ(スペイン語: romance)ないしはロマンサ(スペイン語: romanza)に遡り、もともと説話や口承文学を指すものだった。18世紀にイタリア語経由で音楽用語に取り入れられ、抒情的な楽曲に題名として添えられるようになった。内容的・性格的には、バロック音楽のエールの延長上にありながら、主情的で甘美な内容を最大の特色とする点において、19世紀のさまざまなキャラクター・ピースの嚆矢になったと言ってよい。とりわけ無言歌はフランス語で“Romance[s] sans paroles”と呼ばれるように、ロマンスを母胎として産み出されている。
最も有名な「ロマンス」は、ベートーヴェンのヴァイオリンと管弦楽のための《ロマンス第2番ヘ長調》作品50や、モーツァルトの《アイネ・クライネ・ナハトムジーク》の第2楽章などが挙げられる。シューマン夫妻はピアノ独奏や室内楽のためのロマンスを好んで作曲し、とりわけロベルト・シューマンによるオーボエとピアノのためのロマンス集や、クララ・シューマンによるヴァイオリンとピアノのためのロマンス集は、佳作として再評価されるようになった。
ベートーヴェンに続く例にドヴォルザークの《ロマンス ヘ短調》作品11がある。モーツァルトは《ニ短調のピアノ協奏曲》の緩徐楽章を「ロマンツェ」と呼んでおり、ショパンの2つの協奏曲の中間楽章もモーツァルトの前例に倣って、ロマンスと呼ぶにふさわしい音楽をくり広げている。グリーグの《ピアノ協奏曲》やラフマニノフの《ピアノ協奏曲第2番》の中間楽章も、実質的にロマンスと見なして差し支えない。
主な楽曲
- ロマンス第1番 (ベートーヴェン) (ヴァイオリンとオーケストラ)
- ロマンス第2番 (ベートーヴェン) (同上)
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