ヨセフ・アンド・ザ・アメージング・テクニカラー・ドリームコート
ヨセフ・アンド・ザ・アメージング・テクニカラー・ドリームコート(Joseph and the Amazing Technicolor Dreamcoat)は、『キャッツ』や『オペラ座の怪人』など数々の名作を手掛けたことで知られる作曲家、アンドリュー・ロイド=ウェバーと作詞家ティム・ライスの2人が、『The Likes of Us』に続き、学生時代コンビを組んで製作したミュージカル。しかし、『The Likes of Us』は2005年まで上演されなかった。
『ヨセフ・アンド・ザ・アメージング・テクニカラー・ドリームコート』は旧約聖書・創世記の「ヨセフ物語」をベースに、初めは学芸会用に15分の短編として書かれた。その後舞台用に数回程書き換えられ、1982年にブロードウェイへ進出。1999年ダニー・オズモンド主演で映像化された。 この作品は全ての台詞を音楽に乗せて歌うオペラ形式のミュージカルである。上演時間は2時間以内ということで、休憩なしで上演される場合もある。『ヨセフ・アンド・ザ・アメージング・テクニカラー・ドリームコート』はファミリー向けのストーリー、普遍的なテーマと覚えやすいメロディーが魅力的で、欧米では誰もが知っている名作ミュージカルの一つとなっている。そして、RUGによると、本作品は学校やアマチュア劇団で、2万回以上上演されたという。
上演歴史
- 1968年 15分バージョンがコレットコートにて上演。
- 1972年 エディンバラ国際フェスティバルにて上演。
- 1982年 初のブロードウェイ公演、トニー賞7部門ノミネート。
- 1991年 ジェイソン・ドノバンがヨセフを演じ、ウェストエンドで大ヒット。
- 1992年 ローレンス・オリヴィエ賞6部門ノミネート、セットデザイン賞受賞。
- 1999年 ダニー・オズモンドがヨセフを演じた映画版が制作される。
- 2007年 アンドリュー・ロイド=ウェバーを審査員に迎えたBBC制作のオーディション番組「エニ―・ドリーム・ウィル・ドゥ」オンエア、グランプリのリー・ミードがヨセフを演じたウェストエンド公演が記録的大ヒット。
- 2009年 「アメリカン・アイドル」シーズン4のファイナリストアンソニー・フェデラ―をヨセフ役に抜擢され、シアトルのフィフス・アベニュー・シアター(5th Avenue Theatre)にて上演。
- 2010年 ミネアポリスのオードウェイ・センター・フォー・ パフォーミング・アーツ(Ordway Center for the Performing Arts)プロダクションにて上演。
- 2011年 『ヨセフ・アンド・ザ・アメージング・テクニカラー・ドリームコート』初の来日公演が決定。アンソニーがヨセフを演じたミネアポリスのカンパニーが来日も、期間中に東北地方太平洋沖地震が発生した影響で、予定されていた16公演中6公演を残して公演中止となる。
ストーリー
第1幕
この作品は旧約聖書・創世記第三十七章から四十六章に語られる物語を基に創られている。女性のナレーターが登場して大勢の子ども達に夢を見る「ヨセフ」の話をする。("Prologue," "Any Dream Will Do")ヨセフはヤコブの12人の息子の中で、愛妻ラケルとの子として生まれた。("Jacob and Sons")ヤコブは兄弟の誰よりもヨセフを可愛がり、彼だけにマルチカラ―のコートをつくってあげた。("Joseph's Coat")そのことによりヨセフは兄弟たちから妬みを受けることになる。ある日ヨセフは自分が他の兄弟たちより出世するという夢を見て、それを兄たちに語った。("Joseph's Dreams")ヨセフの兄たちは夢が現実になることを恐れて、ある日ヨセフを通りかかった隊商に奴隷として売ってしまった。("Poor, Poor Joseph")
その後、兄たちはヨセフのコートに羊の血を付け、父ヤコブにヨセフは獣に襲われて死んだとうそをついた。("One More Angel in Heaven")そして、隊商の手によってエジプトに渡ったヨセフはエジプトの大富豪ポティファーの下僕となるが、そこで成功を収め、ついにはその家の全財産を管理するまでとなる。しかし、ヨセフはポティファーの妻の誘惑を拒み、かえってぬれぎぬを着せられて牢獄に入れられる("Potiphar")。意気消沈のヨセフは監獄の中で("Close Every Door")を歌う。その後、ヨセフは拘留されてくる2人の囚人を助けた。2人は罪を犯した召使い。ヨセフはその2人が見た奇妙な夢をそれぞれ解き明かした。片方は処刑されるが片方は刑を終え元の職に戻れるという。("Go, Go, Go Joseph")
第2幕
ナレーターが引き続きヨセフの運命を話す("A Pharaoh Story")。ファラオは不思議な夢を見たといったことから、獄を出た召使いはファラオにヨセフの能力を話す("Poor, Poor Pharaoh")。ファラオはヨセフを呼びつけ、自分を悩ました夢について聞いた。ファラオは太った7頭の牛と痩せた7頭の牛という夢と、熟した7つの穂と干からびた7つの穂という夢を見た("Song of the King")。ヨセフはファラオが見た夢―豊作のあと飢饉がくるというーを解き明かす("Pharaoh's Dreams Explained")。そしてついに、ヨセフはエジプトの宰相となり、飢饉の対策で大いに手腕を発揮、ますますファラオの信頼を得る("Stone the Crows")。
飢饉はやがて訪れ、ヨセフの兄弟たちが住んでいるカナンの地にも及んだ。ヨセフの兄たちはヨセフを売り、父を騙したことを後悔する"Those Canaan Days")。兄弟は食糧を買い付けにエジプトにやってきたが、宰相となったヨセフのことは気付かない("The Brothers Come to Egypt")。ヨセフは彼らに渡した穀物に、こっそりと黄金の杯を入れる("Grovel, Grovel")。そして兄弟たちが出発してすぐに、ヨセフは彼らを追い、杯を盗んだと指摘する。兄弟たちは盗んでいないと主張するが、調べると、ベニヤミンの袋から黄金の杯が見つかる("Who's the Thief?")。罰としてヨセフはベニヤミンに自分の奴隷になるように言うが、兄弟たちは自らが奴隷になってでもベニヤミンを帰らせ解放してほしいと頼んだ("Benjamin Calypso")。ヨセフはその誠意にとても感動し、ついに自分がヨセフであることを告げた("Joseph All the Time")。最終的にヨセフは父と劇的な再会を果たし、ここにハッピーエンドを迎える("Finale: Any Dream Will Do (Reprise) / Give Me My Coloured Coat")。
ミュージカルナンバー
第1幕
- プロローグ
- エニ―・ドリーム・ウィル・ドゥ
- ヤコブと息子たち
- ヨセフのコート
- ヨセフの夢
- プア・プア・ヨセフ
- ワン・モア・エンジェル・イン・ヘヴン
- ポティファー
- クローズ・エヴリ・ドア
- ゴー・ゴー・ゴー・ヨセフ
第2幕
- ファラオ・ストーリー
- プア・プア・ファラオ
- 王様の歌(7頭の太った牛)
- ファラオズ・ドリーム・エクスプレインド
- ストーン・ザ・クロウズ
- キング・オブ・マイ・ハート―2007年リバイバル公演より
- カナンでの日々/クローズ・エヴリ・ドア(リプライズ)
- ブラザーズ・カム・トゥ・エジプト
- グローヴァル・グローヴァル
- 盗賊は誰だ
- ベンジャミン・カリプソ
- ヨセフ・オール・ザ・タイム
- エジプトのヤコブ
- フィナーレ:エニ―・ドリーム・ウィル・ドゥ/ギヴ・ミー・マイ・カラード・コート
- ヨセフ・メガミックス