ジーザス・クライスト・スーパースター

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ジーザス・クライスト・スーパースター』 (Jesus Christ Superstar) は、聖書を題材にイエス・キリストの最後の7日間を描いたロックミュージカルである。作詞はティム・ライス、作曲はアンドリュー・ロイド・ウェバー。1971年、ブロードウェイで初演された。

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舞台版オリジナルスタッフ[編集]

概要[編集]

ひとりの人間として神や民衆の狭間で苦悩するイエス・キリスト(英語式発音で「ジーザス・クライスト」)と、その使徒の一人でありながら「裏切り者」の名を浴びて歴史にその名を刻むことになるイスカリオテのユダのふたりに、現代的な視点から「教団主導者には必須なはずの計画性に欠け、早すぎた聖者としての名声の上にあぐらをかいて、新しい方策を見いだすことができないジーザス」と「そのジーザスに対する期待があまりにも大きすぎたゆえに、やがてそれは大きな失望となり、ジーザスの存在はローマ支配下にあるユダヤ人社会を危険にさらすものになりかねない、という危惧を抱くようになるユダ」という新しい解釈を加え、その愛憎に満ちた両者の関係に、マグダラのマリアとの愛情に満ちたもうひとつの関係を絡めて、鮮やかに描き出した作品。

全編に渡って語りのセリフは無く、音楽と歌曲のみで物語が進行するオペラ型のロックミュージカルである。斬新な演出と芸術性が高く評価され、興行的にも大成功を収めた。ロイド・ウェバーを大ミュージカル作家に押し上げた出世作で、これが彼のブロードウェイにおけるデビュー作となった。

まずストーリー性をもった歌曲作品として1969年にシングル『Superstar』が発表された。翌年には『Jesus Christ Superstar』と題した2枚組LPレコードがリリースされた。ジーザス役には当時人気絶頂だったロックバンド・ディープ・パープルのリードボーカル・イアン・ギランを、マグダラのマリア役にはエリック・クラプトンのバックアップボーカルとして活動を共にし実力と名声を築いてきたイヴォンヌ・エリマンを、そしてユダ役にはそれまでほとんど無名ながらも歌えて演じられる実力俳優としてマーリー・ヘッドを迎えて製作されたもので、1971年ビルボード年間アルバム部門で1位となる大ヒットとなった。これが翌71年のブロードウェイにおける舞台化に繋がった。ブロードウェイでは1973年まで上演、ロンドン公演は1980年まで続くロングラン公演ともなった。

こうして演劇批評家からは絶賛を浴びる一方で、この作品には当初から敬虔なキリスト教徒キリスト教原理主義者らから「聖書に忠実ではない」「神に対する冒涜だ」などという道徳的な批判も受けていた。1971年のブロードウェイの初日は、キリスト教やユダヤ教の信者がプラカードを掲げて劇場前でデモを行い周辺が騒然とする中でその幕を開けた。

各地の公演[編集]

ブロードウェイ初演後、様々な言語に翻訳され、フランスカナダオーストラリアハンガリーチェコロシアなど世界約30ヶ国で上演されている。2006年9月からは“Farewell Tour”と銘打ち、テッド・ニーリー(映画版でイエス・キリストを演じた)とコリー・グローヴァー主演による北米ツアーが行われている。

ブロードウェイ公演[編集]

キャスト[編集]

出演者は1971年の初演版 / 1977年 / 2000年の再演版の順である。

年譜[編集]

  1. 1971年10月12日 - 1973年6月30日 全711公演 - マーク・ヘリンジャー劇場 (現タイムズ・スクウェア・チャーチ)
  2. 1977年11月23日 - 1978年2月12日 全96公演 - ロングエイカー劇場
  3. 2000年4月16日 - 9月3日 全161公演 - フォード・センター劇場 (現ヒルトンシアター)

ロンドン・イギリス公演[編集]

キャスト[編集]

出演者は1972年のロンドン初演版 / 1996年再演版 / 1998年 / 2001年のUKツアー版の順である。

  • イエス・キリスト - Paul Nicholas/ Steve Balsamo / Lee Rhodes /Arvid Larsen
  • イスカリオテのユダ - Stephen Tate / Zubin Varla / Ben Goddard / Mark O'Malley
  • マグダラのマリア - Dana Gillespie / Johanna Ampil / Golda Rosheuval / Cat Simmons
  • ピラト総督 - John Parker / David Burt / Fred Johanson / Chris Howard
  • カヤパ - George Harris / Peter Gallagher / David Durham / David Durham

年譜[編集]

  1. 1972年8月9日 - 1978年10月3日 パレス劇場
  2. 1996年11月19日 - 1998年3月28日 ライシアム劇場
  3. 1998年8月18日 - 1999年2月27日 ツアープロダクション
  4. 2001年10月23日 - 11月17日 ツアープロダクション

日本での公演[編集]

日本では劇団四季によって1973年に「ロックオペラ イエス・キリスト=スーパースター」が初演された。この作品は、後に四季が次々と送り出した輸入ミュージカルとは異なり、浅利慶太のオリジナル演出によるもので、曲目以外の演出には原作とは大きく異なるところがある (タイトルが微妙に違うのはそのため)。

イエス役で主役デビューした鹿賀丈史はこの作品で絶賛され、一躍四季のトップスターになった。

なお四季では、1976年にはこれを発展させた「ジーザス・クライスト=スーパースター エルサレム版」を、1987年にはさらに自由な演出をほどこした「ジーザス・クライスト=スーパースター ジャポネスク版」を製作している。

日本版スタッフ[編集]

日本版キャスト[編集]

映画版[編集]

1973年にユニバーサル・ピクチャーズにより映画化された。ジュイソン監督は、1970年にリリースされた2枚組の『オリジナル・ロンドン・コンセプト・アルバム』にインスパイアされて、すぐに映画化を思い立った。舞台版の映画化と思われがちだが、コンセプト・アルバムが原点だった。監督はそもそも同作品の舞台を参考にするつもりはなく観てもいなかった。コンセプト・アルバムを聴きながらロケ地を決定し、構想を練った。映画出演者のオーディションは、米国と英国で行われたが、主役はある有名な人物をキャスティングすることでほぼ決定していたという。ところが監督は、米国でテッド・ニーリーと出会い、彼とカール・アンダーソンをロンドンに呼んでオーディションし、この二人をジーザスとユダ役に決定した。サウンドトラックはロンドンのスタジオで録音された。

舞台同様キリスト教団体からの批判は根強く、時に映画館が爆破や放火の対象にされるなどの騒ぎも起こった。しかしブロードウェイのオリジナルキャストを揃えたこの作品への批評家の評価は高く、第31回ゴールデングローブ賞作品賞にノミネートされた。監督はノーマン・ジュイソン。日本での公開は1973年12月15日(リバイバル上映1984年)。

スタッフ[編集]

キャスト[編集]

  • イエス・キリスト - テッド・ニーリー (Ted Neeley)
  • イスカリオテのユダ - カール・アンダーソン (Carl Anderson)
  • マグダラのマリア - イヴォンヌ・エリマン (Yvonne Elliman)
  • ピラト総督 - バリー・デネン (Barry Dennen)
  • カヤパ(カイアファ) - ボブ・ビンガム (Bob Bingham)

補足[編集]

  • 本作品は聖書の舞台であるイスラエルで撮影された。主なロケ地は死海、イスラエル北部ベイト・シェアンBeit Shean)及び、イスラエル中部ベイト・グブリン国立公園内のベルケイブ(ベル洞窟、Beit Guvrin National Park Bell cave)[1]である。人工的なセットは作らずに砂漠の遺跡が使用され、時に40度を越える猛暑の中で撮影が行われた。
  • 加えてこの1973年の映画版では、空にジェット機が飛び交うシーンなど現代的な要素は無論あるものの、役者の衣装や美術はキリストの時代を思わせるようなくすんだデザインになっている。
  • アンドリュー・ロイド・ウェバーは、舞台版のようなもっと現代的な作品にするのが筋と考えており、この作品の演出をひどく嫌っていた。後に彼自身がプロデューサーとなって製作した映画版『オペラ座の怪人』は、台詞や歌詞の一字一句から設定や演出の細部に至るまで、舞台版とまったく同じに作られている。
  • こうした映画版の演出についてノーマン・ジュイソン監督は「歴史劇でもなければ現代劇でもない、いつの時代にも通じる超時間的な作品を造りたかった」と語っている。
  • 2000年には同年のリバイバル版を映像化したビデオ作品も発表されている。リバイバル版舞台を手がけたゲイル・エドワーズがそのままメガホンを取り、ロケーションではなく現代のニューヨークの舞台を効果的に映像化する手法をとっている。主演はグレン・カーターとジェローム・プラドン。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]