ヨウシュヤマゴボウ

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ヨウシュヤマゴボウ
ヨウシュヤマゴボウ
ヨウシュヤマゴボウ
分類APG III
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
: ナデシコ目 Caryophyllales
: ヤマゴボウ科 Phytolaccaceae
: ヤマゴボウ属 Phytolacca
: ヨウシュヤマゴボウ P. americana
学名
Phytolacca americana
L.
シノニム

Phytolacca americana L.

和名
ヨウシュヤマゴボウ(洋種山牛蒡)、アメリカヤマゴボウ
英名
Pokeweed
  • P. a. var. americana
  • P. a. var. rigida

ヨウシュヤマゴボウ(洋種山牛蒡、学名: Phytolacca americana[1])は、ヤマゴボウ科ヤマゴボウ属多年草。別名、アメリカヤマゴボウ

花言葉は野生、元気、内縁の妻。

分布

別名の通り北アメリカ原産。日本では明治時代初期以降、各地で雑草化している帰化植物

形態・生態

は無毛で赤く、は太く長い。は大きく、になると紅葉する。

は小さく、白色ないし薄紅色で、の時期に扁平な果実をつけ、秋の初旬に黒く熟す。熟した果実は柔らかく、潰すと赤紫色の果汁が出る。この果汁は強い染料で、人体に付くとなかなか落ちない。この特性のため、アメリカ合衆国ではポークウィード(Pokeweed)[2]インクベリー(Inkberry)などとも呼ばれている。

毒性

ヨウシュヤマゴボウは有毒植物で、全体にわたってがあり、果実も有毒である。毒性は、根>葉>果実の順であるが、果実中の種子は毒性が高い。果実は、ブルーベリーと間違って誤食する事故もあり、注意が必要である。特に、幼児は影響を受けやすいので、果汁が直接皮膚に触れることも避けるべきである。

毒成分は、アルカロイドであるフィトラッカトキシン(phytolaccatoxin)、サポニンであるフィトラッカサポニン(phytolaccasaponins)、アグリコンであるフィトラッキゲニン(phytolaccigenin)などである。また、根には硝酸カリウムが多く含まれる。

誤食すると、2時間ほど経過後に強い嘔吐下痢が起こり、摂取量が多い場合はさらに中枢神経麻痺から痙攣意識障害が生じ、最悪の場合呼吸障害心臓麻痺によりに至る。幼児の場合、種子を破砕した果汁を誤飲すると、果実数粒分でも重篤な症状を引き起こしうるので、十分な警戒を要する。ヒト以外では、草食動物は、一般に本草の摂食を避ける傾向が強いが、下痢体温低下などをもたらす。また、類では、成鳥が果実を摂食しても種子を破砕しないかぎり影響は少ないが、雛が摂食すると、死亡率の増加や運動失調などが見られる。

この他、根や種子には、植物タンパク質の一種であるポークウィードマイトジェン(PWM: Pokeweed Mitogen)、ポークウィード抗ウイルスタンパク質(PAP: Pokeweed Anti-viral Protein)などが含まれる。これらの物質も毒性をもつが、同時に有用な薬理作用をもつものと期待され、研究が進められている。

アメリカ合衆国では、かつて着色料として、安価なワインなどに用いられたが、毒性があるため現在は使用されていない。また、アフリカ系アメリカ人の間では若い茎と葉を茹でて食用にしていた時期もある(ソウルフードを参照)。

食用の「山ごぼう」との違い

味噌漬けなどに加工して売られている山菜の「山ごぼう」は、本種または近縁の在来種ヤマゴボウとは全く異なる、アザミの一種モリアザミまたは野菜ゴボウの根であり、いずれもキク科であり、類縁関係は遠い。

脚注

  1. ^ 米倉浩司; 梶田忠 (2003-). “「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)”. 2011年8月14日閲覧。
  2. ^ Poke は、かつて赤色染料の原料として用いられていた多年草の Puccoon に由来する。また weed は雑草のことである。

参考文献

  • 佐竹義輔ほか編『日本の野生植物 草本2 離弁花類』平凡社、1982年。ISBN 4-582-53502-X 

関連項目

外部リンク