ボルネオール

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ボルネオール
d-ボルネオール 構造式
d-ボルネオール((−)体)
別名竜脳、ボルネオショウノウ
分子式C10H18O
分子量154.14
CAS登録番号[464-45-9]((−)体)
[464-43-7]((+)体)
[507-70-0](ラセミ体)
形状無色固体
密度1.011 g/cm3, 固体 (20 ℃)
融点208 °C(+)体
比旋光度 [α]D+37.7 ((+)体, c = 5, EtOH, 20 ℃)

ボルネオール (borneol) は竜脳ボルネオショウノウとも呼ばれる二環式モノテルペン。化学式は C10H18O、分子量は 154.14。香りは樟脳に類似しているが揮発性がそれに比べると乏しい。骨格が樟脳と等しく、樟脳を還元することによってボルネオールを得ることができる。光学異性体が存在し、(−)体("d-ボルネオール"、図)は竜脳樹(Dryobalanops aromatica)やラベンダーに、(+)体はタカサゴギク等に含まれる。

歴史的には紀元前後にインド人が、67世紀には中国人がマレースマトラとの交易で、天然カンフォルの取引を行っていたという。竜脳樹はスマトラ島北西部のバルス(ファンスル)とマレー半島南東のチューマ島に産した。香気は樟脳に勝り価格も高く、樟脳は竜脳の代用品的な地位だったという。その後イスラム商人も加わって、大航海時代前から香料貿易の重要な商品であった。アラビア人は香りのほか冷気を楽しみ、葡萄の実・ザクロなどの果物に混ぜ、水で冷やして食したようである。

参考文献