チャツモ国

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チャツモ・ソマリア国
Dowlad Goboleedka Khaatumo ee Soomaaliya
ولاية خاتمة
SSCソマリア
ソマリランド
2012年 - 2017年 ソマリランド
チャツモ・ソマリア国の国旗
(国旗)
チャツモ・ソマリア国の位置
公用語 ソマリ語
首都 ターレ(2012年 - 2014年)
ラス・アノド(2014年[1] - 2017年)
大統領
2012年1月12日 - 2014年9月1日[2] Ahmed Elmi Osman (Karaash)
Mohamed Yusuf Jama (Indhosheel)
Abdinuur Elmi Qaaji (Biindhe)
2014年9月1日 - 2017年10月20日アリ・カリフ・ガライド
面積
約80,000km²
人口
2012年約1,000,000人
変遷
建国 2012年1月12日
消滅2017年10月20日
通貨ソマリア・シリング (SOS)
時間帯UTC +3(DST: なし)
国際電話番号+252(ソマリアのデータ)
現在ソマリランドの旗 ソマリランド
プントランド
(国際的にはどちらもソマリア領)

チャツモ国(Khatumo State,ソマリ語: Khaatumo, アラビア語: ولاية خاتمة‎)、公式名チャツモ・ソマリア国(Khatumo State of Somalia, Khaatumo State of Somalia, ソマリ語: Maamul Goboleedka Khaatumo ee Soomaaliya)は、内戦状態にあるソマリア北部においてかつて独立を宣言をした地域。人口約1,000,000人(2012年推計)、面積約80,000km²。 国際的には独立は認められず、2013年のBBCの報道でも、この辺りは「紛争地帯」の位置付けであった[3]ソマリアの行政区分では、スール州サナーグ州 を合わせた地域に当たる。主要氏族はハルティの支族デュルバハンテ[4]。ただし設立当初から国家と呼べるような組織ではなく、当初の目標であったスール州の主要都市ラス・アノド奪還はもちろんのこと、当初支配していた地域からも徐々に追い出されていった。2017年にチャツモ国の大統領がソマリランドへの併合に同意し、消滅。ただし副大統領が大統領就任を宣言し、形式上は存続。現在でも時々「チャツモ国」の名義で声明が出されている。

背景

ソマリアのスール州サナーグ州 は、1991年に独立宣言したソマリランドと1998年に独立宣言したプントランドの中間に位置する。SSC地域の住民はハルティの支族、マジェルテーンデュルバハンテワルサンガリ英語版などが主体。

ソマリランドはソマリ族の支族イサックが建てた国であり、旧イギリス領ソマリランドの領域を領土と宣言している。SSC地域も旧イギリス領ソマリランドに含まれる。それに対してプントランドは、ソマリ族の別の支族ハルティのとりわけマジェルテーンの居住地域を主体とした国である。つまり、スール州サナーグ州 は経歴的にはソマリランドに近く、氏族的にはプントランドに近い[5]。そのためもあり、この地域はソマリランドに属しているかプントランドに属しているかはっきりせず、ソマリランド、プントランドのいずれも強固には実効支配していない。

そのためもあり、この地域には、これまでいくつか独立宣言した地域がある。ハルティのワルサンガリ英語版支族が2007年にはSSC地域北部でバハンを首都としてマーヒル国の建国を宣言している。また、同じくハルティのデュルバハンテ支族がSSC地域南部で、2008年にラス・アノドを形式上の首都としてノースランド国が、2010年にHBM-SSCが独立を宣言している。このいずれも、プントランド・ソマリランド紛争などの影響で、間もなく消滅している。

概要

チャツモ国の位置(ソマリア内)
当初の首都タレー
当初の首都タレー
ラス・アノド
ラス・アノド
関連地図

チャツモ建国の構想は2007年から地元の政治家や住民の間で話し合われていた[4]。ただしこの辺りはプントランド・ソマリランド紛争以降、ソマリランドに実効支配されていた[6]

2012年1月に建国が宣言された[4]。首都はスール州タレーであり[4]、スール州の行政中心都市ラス・アノドの北東にあたる。タレーはかつてサイイド・ムハンマド・アブドゥラー・ハッサンダラーウィーシュ国の首都を置いた土地でもある[4]

ソマリア内には独立宣言している地域がいくつかあるが、いずれも普通は大統領は1人である。しかし、チャツモ国には建国当時、3人の大統領が立てられた[4]。6か月ごとに交代し、合計18か月を統治する。

  • 大統領
    • Ahmed Elmi Osman (Karaash) - プントランドの元航空長官
    • Mohamed Yusuf Jama (Indhosheel)
    • Abdinuur Elmi Qaaji (Biindhe) - プントランドの元スポーツ長官
  • 政府長官
    • 外務長官 Hussien Saleebaan Haji Ahmed
    • 防衛長官 Mohamed Ducaale Abdi
    • 財務長官 Osman Ahmed Jeex
    • 開発・天然資源長官 Abdikariim Farah Dhaaye
    • 福祉長官 Mohamoud Diiriye Abdi Joof
    • 内務長官 Yasiin Ahmed Sulub

2012年3月初めには、ソマリア暫定連邦政府の大統領(当時)が、チャツモ国が新生ソマリアに参加するのであれば歓迎する意を述べている[7]。ところが3月末には、ソマリランドからの攻撃を受け、ソマリランドのメディアが報じたところによると、チャツモ軍は大きな損害を受けた[8]

2012年8月には、チャツモからプントランドへの亡命者から、チャツモ国の実権は極少数の人間に奪われたとする証言が寄せられている[9]

2014年8月にはアメリカで博士号を取得し、ソマリアの首相も務めたアリ・カリフ・ガライドが大統領就任を宣言、その際にチャツモの領土がプントランドに占領されており、まずは最大都市ラス・アノドを取り戻したいと述べている[10]

2017年10月20日にガライド大統領とソマリランドのアフメッド・シランヨ大統領との間で、チャツモ国がソマリランドに加わることで合意。チャツモ国は消滅した[11]。ただしチャツモ国副大統領のアブドゥル・アグルーレはチャツモ国の大統領就任を宣言し、プントランドと共にスール地域を取り戻すと表明した[12]

主要都市

参考文献

  1. ^ Somaliland: Khatumo State Dream Officially dead?”. Geeska Afrika (2020年10月8日). 2021年5月7日閲覧。
  2. ^ Khaatumo”. Worldstatemen.org. 2021年5月7日閲覧。
  3. ^ “Somalia: Hundreds flee Kismayo as clashes reignite”. BBC. (2013年6月8日). http://www.bbc.co.uk/news/world-africa-22825252 2013年6月22日閲覧。 
  4. ^ a b c d e f What is Khatumo State? Archived 2014年3月12日, at the Wayback Machine.
  5. ^ “New Mini-State Created in Somalia”. SomaliaReport. (2012年1月11日). http://www.somaliareport.com/index.php/post/2503 2013年6月22日閲覧。 
  6. ^ “Silanyo calls for peace after Somaliland forces clash with armed group”. Garowe online. (2012-0402). http://www.garoweonline.com/artman2/publish/Somalia_27/Somalia_Silanyo_calls_for_peace_after_Somaliland_forces_clash_with_armed_group.shtml 2013年6月22日閲覧。 
  7. ^ “"TFG ready to hold talk with Somaliland" says President Sharif”. Garowe online. (2012-0308). http://www.garoweonline.com/artman2/publish/Somalia_27/Somalia_TFG_ready_to_hold_talk_with_Somaliland_says_President_Sharif_printer.shtml 2013年6月23日閲覧。 
  8. ^ “19 killed in northern Somalia as Somaliland fights local militia”. Garowe online. (2012-0401). http://www.garoweonline.com/artman2/publish/Somalia_27/19_killed_in_northern_Somalia_as_Somaliland_fights_local_militia_printer.shtml 2013年6月22日閲覧。 
  9. ^ “Militia defect from clan group to Puntland state”. Garowe Online. (2012年8月22日). http://www.garoweonline.com/artman2/publish/Somalia_27/Somalia_Militia_defect_from_clan_group_to_Puntland_state.shtml 2013年6月22日閲覧。 
  10. ^ “New Khatumo President vows to liberate Las’anod town from Somaliland forces”. RBC Radio. (2014年8月17日). http://www.raxanreeb.com/2014/08/somalia-new-khatumo-president-vows-to-liberate-lasanod-town-from-somaliland-forces/ 2016年5月15日閲覧。 
  11. ^ “Khaatumo and Somaliland reach final agreement”. Somaliland Daily. (2017年10月21日). http://somalilanddaily.com/articles/137/Khaatumo-and-Somaliland-reach-final-agreement 2021年5月6日閲覧。 
  12. ^ “GARAB KAMID AH KHAATUMO OO SHIR JARAA’ID KU QABTAY GAROOWE”. puntlandpost.net. (2018年5月21日). https://puntlandpost.net/2018/05/21/garab-kamid-ah-khaatumo-oo-shir-jaraaid-ku-qabtay-garoowe/ 2021年7月24日閲覧。 

外部リンク

座標: 北緯8度15分17秒 東経46度19分42秒 / 北緯8.25472度 東経46.32833度 / 8.25472; 46.32833 (Buuhoodle)