ソマリアの行政区画

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索
ソマリアの行政区分。水色の部分がソマリア連邦政府、黄色い部分がソマリランド、暗緑の部分がイスラーム武装勢力、薄灰の部分がチャツモ州。ただし内戦中のため、特に南部のイスラーム勢力地域を中心に、今後変わる可能性がある。

ソマリアは1991年から内戦状態にあり、2015年現在も一部で継続中であるが、概ね北西部のソマリランド、いくつかの自治国が集まったソマリア連邦共和国、南部のイスラーム武装勢力支配地域の3つに分けられる。

従来の行政区画[編集]

ソマリアの最大行政区画は18ある。この行政区画の日本語訳は必ずしも安定しておらず、日本の外務省などは「地域」と訳しており[1]、日本の公安調査庁などは「州」と訳している[2]

ソマリアは2012年、連邦制に移行し、強い自治権を持ついくつかの自治国からなる連合国家となった(2015年時点で各自治国の領域は未確定)。この自治国が「州」(英語ではstate)と呼ばれているので、この記事では自治国との混同を防ぐため、仮に「地域」として説明する。

従来の州の区分。
番号 地域 行政中心都市 面積(km²) 人口(2007年推定) 人口密度(/km²)
18 アウダル地域 ボラマ 21,374 417,000 19
17 北部ガルベード地域 ハルゲイサ 28,836 1,189,000 41
16 トゲアー地域英語版 ブラオ 38,663 941,000 24
15 サナーグ地域英語版 エリガボ 53,374 531,000 9
14 スール地域英語版 ラス・アノド 25,036 115,000 4
13 バリ地域 ボサソ 70,088 545,000 7
12 ヌガール地域英語版 ガローウェ 26,180 160,000 6
11 ムドゥグ地域 ガルカイヨ 72,933 763,000 10
10 ガルグドゥード地域 ドゥサマレブ 46,126 628,000 13
9 ヒーラーン地域英語版 ベレトウェイン 31,510 538,000 17
8 中部シェベリ地域英語版 ジョウハル 22,663 863,000 38
7 バナディール地域 モガディシュ 370 1,276,000 3,448
6 下部シェベリ地域英語版 マルカ 25,285 1,400,000 55
5 バコール地域英語版 フッドゥル 26,962 364,000 13
4 ベイ地域英語版 バイドア 35,156 1,106,000 31
3 ゲド地域 ガーバハレ 60,389 577,000 9
2 中部ジュバ地域英語版 ブアレ 9,836 362,000 36
1 下部ジュバ地域英語版 キスマヨ 42,876 668,000 15

現在の行政区分[編集]

2012年時点の状況。黒線は従来の行政区画。
ソマリ族の氏族の分布。現在の行政区分と大きく関係している。

ソマリアの住民の大半はソマリ族であり、そのソマリ族は大きく5つの氏族に分かれており、それぞれがさらに細かい支族に分かれている。それぞれの氏族はだいたいがまとまって暮らしており、氏族が事実上の行政単位となっている。

ソマリア内戦後、1991年にソマリア北西部が「ソマリランド」として独立を宣言した。一方、ソマリア南部ではイスラーム武装勢力「アル・シャバブ」が、一時期に比べてかなり小規模になったとはいえ、依然として力を持っている。

2013年にソマリア連邦共和国が成立し、ソマリア内の「ソマリランド」「アル・シャバブ支配地域」以外の地域はおおむね参加することとなった。

ソマリランド[編集]

ソマリランドはソマリ族5大氏族の一つ、イサックが内戦早々の1991年に建てた国である。国際的には承認されていない。ソマリランドが主張している領土は、ソマリア独立前にイギリスの保護領だったところであり、独立当初の行政区分は6州であった。この行政区分は実際のソマリ族分布と一致していなかったため、2008年3月に12州に、同5月には13州に改変された。ただし東部の州はイサックとは別の大氏族ダロッドの居住区域であり、ここの領有権を巡ってプントランドと紛争状態にある。

ソマリア連邦共和国[編集]

2013年に発足。内戦後初めて国際的に承認された、ソマリア中央政府である。ただし、2015年時点ではまだ発足から間もなく、いくつかの自治国の集まりに過ぎないとも言える。ソマリア連邦共和国の首長は大統領(President)と呼ばれるが、各自治国の首長もまた大統領と呼ばれる。

プントランド
Puntland regions map.png

プントランドはソマリ族5大氏族の一つ、ダロッドが建てた自治国である。政府の実権は必ずしも政府が主張している領土の全域に及んでいないが、比較的安定している。ソマリア沖の海賊が本拠地にしているといわれているムダグ、エイルのいずれもプントランド内にある。ソマリア連邦共和国への参加を表明しているが、2015年時点ではやや距離を置いている。プントランドでは、ソマリアの行政区画を元に9つに再編された地域に区分される。

ガルムドゥグ

ガルムドゥグはソマリ族5大氏族の一つ、ハウィエが建てた自治国である。この名称は旧行政区分の「ガルグドゥード地域」「ムドゥグ地域」から成るとして付けられたものだが、実際にはムドゥグ地域南部を支配するに過ぎない。

首都モガディシュ

ソマリア連邦共和国の大統領府、議会などが置かれている。一時期はイスラーム勢力の包囲を受けて消滅寸前の状態にまでなったが、2015年時点では比較的治安を取り戻している。

南西ソマリア

南西ソマリアはソマリ族5大氏族の一つ、ラハンウェインが主に住む自治国である。2014年10月29日の話し合いにより、従来の行政区分でベイ地域、バコール地域、下部シャベレ地域が相当すると決められた。11月18日にはシャリフ・ハッサン・シェイハ・アデン英語版が大統領に選ばれた[3]

ジュバランド

ジュバランドはダロッド(オガデン、マレハン)、シェークハール英語版、ラハンウェインなど、多数の氏族の居住地域である。1925年までイギリス領だったこの土地の歴史は、その後も複雑であり、ソマリア内戦後もここを支配する勢力が幾度も変わった。2015年時点では、軍閥ラスカンボニ運動のリーダーアフメド・モハメド・イスラム英語版がジュバランドの大統領を務めている。従来の行政区分では、ゲド地域、下部ジュバ地域、中部ジュバ地域が相当する。

南部イスラーム支配地域[編集]

ソマリア南部は、内戦後、最近までイスラーム過激組織の影響力が強かった。中でも強かったのがアル・シャバブであったが、2015年時点ではソマリア政府軍に押されて、主要都市のほとんどを失っている。それでも、小さな村落などを拠点に、今も活動を続けている。

その他[編集]

上記以外でも、ソマリアには独立を主張する地域がある。ただし、国際的な承認が無いのはもちろんの事、国家としての体裁も整えていない場合も多い。

注釈[編集]

関連項目[編集]