タテガミオオカミ

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タテガミオオカミ
タテガミオオカミ
タテガミオオカミ Chrysocyon brachyurus
保全状況評価[a 1][a 2]
NEAR THREATENED
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
ワシントン条約附属書II類
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammalia
: ネコ目 Carnivora
: イヌ科 Canidae
: タテガミオオカミ属 Chrysocyon
Hamilton-Smith, 1839
: タテガミオオカミ C. brachyurus
学名
Chrysocyon brachyurus
(Illiger, 1815)
和名
タテガミオオカミ
英名
Maned wolf
タテガミオオカミ (動画)

タテガミオオカミ(鬣狼、Chrysocyon brachyurus)は、哺乳綱ネコ目(食肉目)イヌ科タテガミオオカミ属に分類される食肉類。本種のみでタテガミオオカミ属を構成する。

分布

アルゼンチン北部、パラグアイブラジル中部以南、ペルー南東部、ボリビア東部[1][2][3]

形態

南米のイヌ科動物の最大種。オオカミと名が付くが、オオカミよりはキツネに近い動物[4]体長122.5-132センチメートル[2]。尾長27.5-45センチメートル[2]。肩高72-90センチメートル[2]体重20-23キログラム[2][3]。頚部背面の体毛が伸長して鬣状になり[2][3]、名前の由来とされる[1]。背面の毛衣は赤褐色[2]。吻や鬣、四肢の毛衣は黒く、耳介内側や喉、尾先端の毛衣は白い[1][2]

耳介は大型で[2]、聴覚が優れている。上顎の門歯や第4臼歯は小型で、犬歯は細長い[2]。四肢は長く、茂みの中を歩くのに適している[2]。第3指と第4指の指球が基部で癒合する[1][2]

出産直後の幼獣は体重0.3-0.4キログラム[2]。幼獣の毛衣は尾先端が白いものの黒く[1]、生後約70日で淡赤褐色になる[2]

生態

低木が点在する草原沼沢地などに生息する[2][3]夜行性[2]。27-31平方キロメートルの行動圏内で生活し、ペアで行動圏を共有する[1][2][3]。単独で生活するが、繁殖期はペアで生活する[1][2][3]。同側の四肢を一緒に動かして移動(側対歩)する[2]

食性は雑食で、小型哺乳類、爬虫類両生類魚類昆虫、陸棲の貝類果実などを食べる[2][3]。聴覚を使って獲物を探して忍び寄り、跳躍して捕える[1][2]

繁殖形態は胎生。妊娠期間は62-66日[2]。8-10月に1回に2-5頭の幼獣を産む[2]。授乳期間は15週間[2]。飼育下の観察例では父親が幼獣に獲物を吐き戻して与える[1][3]。幼獣は生後9日で開眼する[2]。生後1年で性成熟するが[3]、初産を迎えるのは生後2年以降[1]

人間との関係

民話ではニワトリを睨んだだけで殺すことができる動物とされる[1][3]

開発による生息地の破壊、狩猟、害獣としての駆除などにより生息数は減少、絶滅も心配されている。[5][3]

本種はチーターにも匹敵する脚力の持ち主だと言われるが、短距離を走った後、いちいち立ち止まって安全確認をする習性があり、それを人間に突かれて殺されてきたという[6][3]

参考文献

  1. ^ a b c d e f g h i j k 今泉吉典監修 D.W.マクドナルド編 『動物大百科1 食肉類』、平凡社1986年、94-95頁。
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y 今泉吉典監修 『世界の動物 分類と飼育2 (食肉目)』、東京動物園協会、1991年、139-140頁。
  3. ^ a b c d e f g h i j k l 『絶滅危惧動物百科3 ウサギ(メキシコウサギ)―カグー』 財団法人自然環境研究センター監訳、朝倉書店2008年、30-31頁。
  4. ^ 『野生イヌの百科』 今泉忠明 ISBN978-4-88718-915-7
  5. ^ 『野生イヌの百科』 今泉忠明 ISBN978-4-88718-915-7
  6. ^ 『野生イヌの百科』 今泉忠明 ISBN978-4-88718-915-7

関連項目

外部リンク

  1. ^ CITES homepage
  2. ^ The IUCN Red List of Threatened Species
    • Rodden, M., Rodrigues , F. & Bestelmeyer, S. 2008. Chrysocyon brachyurus. In: IUCN 2010. IUCN Red List of Threatened Species. Version 2010.4.