吐き戻し

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水滴状の吐き戻しを作って ("blowing a bubble") いるニクバエ。ニクバエは非常に水分の多いところに生息しているため、吐き戻しにより水分を蒸発させ、栄養分の濃度を上げていると考えられている。

吐き戻し (はきもどし)(: Regurgitation) とは、口、喉、食道などから体外へ排出されたもので、特に未消化のものを含むものを指す[1]。多くの動物において、毒物を摂取した際にそれを排出する反応として、いくつかの反応が複合して生じる嘔吐反射が見られるが、吐き戻しはそれとは別に随意的にも行われる。

哺乳類の吐き戻し[編集]

動物においては多くの種で、子に対する給餌行動として観察される[2]。これは特に、餌をそのまま巣に運ぶと大きな動物に狙われやすい場合、あるいは餌としているものが巣に運ぶには大きすぎるような場合に、巣にいる子に食料を運ぶためにとられる行動であり、イヌ科 (オオカミコヨーテなど) に多く見られる。

また消化の一過程としての吐き戻しは反芻と呼ばれ、偶蹄目ウシなどが行う例が良く知られている。

鳥類の吐き戻し[編集]

鳥類においては、食べたもののうち消化できないもの(昆虫の外骨格や小動物の骨、小鳥の羽など)を口から排出することがあり、これはペリットと呼ばれる[3]猛禽類 (ワシ、タカ、フクロウなど) でよく知られているが、ハチドリなどの小型の鳥類、カモなどの小型〜中型のものにも広く見られる。ペリットは鳥類の食習慣や行動を研究する上での重要な資料となる。

ヒトにおける吐き戻し[編集]

ヒトの吐き戻しは多くの動物の場合と同様、随意的および反射的の両方があるが、後者の場合は異常に対する反応として行われる。その異常にはいくつかの種類があるが、食事のあとの反射的な吐き戻しは反芻障害 (rumination syndrome) と呼ばれ、稀に見られる摂食障害として分類されている。これは逆流性食道炎 (GERD) の症状の一つであろうと考えられている[4]

神経性大食症を患っている、または患っていた人の中には、物理刺激や薬物を全く使わなくても、随意に(筋肉を使って自由に)吐き戻しができる人がいる[5]。またヨガの修練によっても同様のことが可能になるという報告もある[6]。また様々なもの(たとえば金魚など)を飲み込んで自在に吐き出すことを芸とするプロの演芸家もいる[7][8]

病理用語との混用[編集]

英語の Regurgitation には「逆流」という意味もあり、心臓の弁の不全による血流の逆行などをさす用語としても使われる (日本語の「吐き戻し」にはそういった混用はない)。

参考文献[編集]

  1. ^ Nelson, R.W. and C. G. Couto. Small Animal Internal Medicine, 4th ed. 2009. (英語)
  2. ^ Keeling, Linda K.; Gonyou, Harold W. (2001). Social behaviour in farm animals. CABI Publishing. p. 69. ISBN 0-8519-397-4.  (英語)
  3. ^ Loon, Rael; Loon, Hélène (2005). Birds: the inside story. Struik Publishers. p. 183. ISBN 1-77007-151-2.  (英語)
  4. ^ Rumination Syndrome”. Mayo Clinic. Jan.26, 2011閲覧。 (英語)
  5. ^ Bulimia Nervosa”. Office on Women’s Health (OWH). 2011年1月26日閲覧。 (英語)
  6. ^ Chari, C. T. K. (1973) '"Regurgitation, mediumship and yoga." Journal of the Society for Physical Research 47, 757, 156 (英語)
  7. ^ Stevie Starr, Professional Regurgitator”. The Museum of Hoaxes. 2011年1月26日閲覧。 (英語)
  8. ^ Price, Haydn (2007). Chris Needs:Like It Is. Y Lolfa Cyf. p. 112. ISBN 978-184771015-4.  (英語)

関連項目[編集]