シップ・オブ・メモリーズ-美の魔術-

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シップ・オブ・メモリーズ-美の魔術-
フォーカスコンピレーション・アルバム
リリース
ジャンル プログレッシブ・ロックジャズ・フュージョンインストゥルメンタル・ロック英語版
レーベル 欧州連合の旗EMI
アメリカ合衆国の旗サイアー・レコード
プロデュース マイク・ヴァーノン英語版(#1, #2, #3, #4, #9)
フォーカス(#5, #6, #8)
Hubert Terheggen (#7)
専門評論家によるレビュー
チャート最高順位
  • 163位(アメリカ[1]
  • フォーカス アルバム 年表
    マザー・フォーカス
    (1975年)
    シップ・オブ・メモリーズ-美の魔術-
    (1976年)
    Focus con Proby
    (1978年)
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    シップ・オブ・メモリーズ-美の魔術-[注釈 1]』(Ship of Memories)は、オランダプログレッシブ・ロックバンドフォーカス1976年に発表したコンピレーション・アルバム

    内容[編集]

    フォーカスの2作目『ムーヴィング・ウェイブス』から5作目『ハンバーガー・コンチェルト』をプロデュースしたマイク・ヴァーノン英語版が、過去の未発表音源をまとめたアルバム。

    サイド1の4曲とサイド2の「美の魔術」は、タイス・ファン・レールヤン・アッカーマンベルト・ライテルピエール・ファン・デル・リンデンの4名が『フォーカスIII』に続くアルバムを制作する為に、1973年5月にオックスフォードシャーのスタジオでヴァーノンと行ったセッションで録音された[2][注釈 2]。「美の魔術」は作曲、演奏ともファン・デル・リンデンが単独で行なった[2]

    「グライダー」は『ハンバーガー・コンチェルト』に続くアルバムの制作の際、1975年にブリュッセルのスタジオでファン・レール、アッカーマン、ライテルによりドラム・マシンを用いて録音された[注釈 3]

    「創造主は語る」は、ヴァン・レール、アッカーマン、マーティン・ドレスデンハンス・クルフェールによるデビュー・アルバムの制作中の1970年1月26日に録音された[2][3]

    「夜に燃える空」と「クラッカーズ」は、1975年の2度目の日本公演の後、ファン・デル・リンデンに代わってデヴィッド・ケンパーが参加して録音され[2]、アッカーマン在籍中の最後の楽曲となった。

    本作の再発CDには、「悪魔の呪文」のアメリカ盤シングル・ヴァージョン[注釈 4][4]ボーナス・トラックとして追加された[5][6]

    反響・評価[編集]

    アメリカの総合アルバム・チャートBillboard 200では163位を記録するが、フォーカスは本作を最後に、アメリカではヒットに恵まれなくなった[1]

    ベン・デイヴィーズはオールミュージックにおいて5点満点中2.5点を付け「ソングライティングの質に関しては決して最高ではないが、名手達の閃きは多くの場面で現れている」と評している[5]

    収録曲[編集]

    サイド1[編集]

    1. Pの行進曲 - "P's March" (Thijs van Leer) - 4:49
    2. 信じがたき出来事 - "Can't Believe My Eyes" (Jan Akkerman) - 5:23
    3. フォーカスV - "Focus V" (T. van Leer) - 3:03
    4. ヴェスヴァイアス火山を抜けて - "Out of Vesuvius" (J. Akkerman, T. van Leer, Bert Ruiter, Pierre van der Linden) - 5:51

    サイド2[編集]

    1. グライダー - "Glider" (J. Akkerman) - 4:39
    2. 夜に燃える空 - "Red Sky at Night" (J. Akkerman, T. van Leer) - 5:51
    3. 創造主は語る - "Spoke the Lord Creator" (T. van Leer) - 2:33
    4. クラッカーズ - "Crackers" (J. Akkerman) - 2:43
    5. 美の魔術 - "Ship of Memories" (P. van der Linden) - 1:47

    リマスターCDボーナス・トラック[編集]

    1. 悪魔の呪文(USシングル・ヴァージョン) - "Hocus Pocus (US Single Version)" (J. Akkerman, T. van Leer) - 3:24

    パーソネル[編集]

    脚注[編集]

    出典[編集]

    1. ^ a b Focus - Awards”. AllMusic. 2016年3月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年8月13日閲覧。
    2. ^ a b c d Discography - FOCUS - THE - BAND”. Official Focus homepage. 2017年8月13日閲覧。
    3. ^ Johnson (2015), pp. 32–33.
    4. ^ Johnson (2015), p. 97.
    5. ^ a b Davies, Ben. “Ship of Memories - Focus”. AllMusic. 2017年8月13日閲覧。
    6. ^ Focus (2) - Ship Of Memories (CD, Album) at Discogs – 1988年再発CDの情報。

    注釈[編集]

    1. ^ ビクターエンタテインメントから発売された再発CD (VICP-61536 / 2001, VICP-64249 / 2008, VICP-70055 / 2009)の表記に準拠。日本初回盤LP (EMS-80881)のタイトルは『美の魔術』だった。
    2. ^ 結局、新作アルバムの制作は見送られて、代わりに、同じ月にロンドンのレインボウ・シアターで行われたコンサートを収録したライブ・アルバム『フォーカス・アット・ザ・レインボー』が発表された。
    3. ^ 後日、デヴィッド・ケンパーが参加して録音されて、新しいアルバム『マザー・フォーカス』のタイトル曲となった。
    4. ^ 1972年12月にファン・レール、アッカーマン、ファン・デル・リンデン、ライテルが、マイク・ヴァーノンをプロデューサーに迎えてロンドンで録音した。別名'Hocus Pocus II'として知られる。アメリカで、シングル用に短く編集された「悪魔の呪文」('Hocus Pocus')の裏面に収録され、1973年に発表された。

    参考文献[編集]

    • Johnson, Peet (2015), Hocus Pocus: The Strife and Times of Rock's Dutch Masters, Tweed Press, ISBN 978-0-646-59727-0 

    外部リンク[編集]