コチニール色素
カルミン酸 | |
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3,5,6,8-tetrahydroxy-1-methyl-9,10-dioxo-7-[(2R,3R,4R,5S,6R)-3,4, 5-trihydroxy-6-(hydroxymethyl)oxan-2-yl]anthracene-2-carboxylic acid | |
識別情報 | |
CAS登録番号 | 1260-17-9 |
PubChem | 14749 |
E番号 | E120 (着色料) |
ChEMBL | CHEMBL263094 |
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特性 | |
化学式 | C22H20O13 |
モル質量 | 492.3864 g/mol |
融点 |
>200°C |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
コチニール色素(コチニールしきそ、Cochineal extract、カルミンレッドK、カルミンレッドMK-40、カルミンレッドKL-80)は、染料あるいは食品添加物(天然着色料)として使用される赤色の色素である。コチニールカイガラムシを乾燥させ水またはエタノールで抽出して色素としたもの。その本質はアントラキノン誘導体のカルミン酸であることから、カルミン酸色素とも呼ばれる。
製法・派生物
通常は乾燥させたエンジムシ(コチニールカイガラムシ)から温水・熱水などで色素を抽出する。不溶化(レーキ化)させるとコチニールレーキという赤色顔料となり、かつては赤色絵具のクリムソンレーキやカーマインに使われた。しかし近年のクリムゾンやカーマインは合成されたアントラキノンレッドに代替されている(一部メーカーではアリザリンレーキで代替している)。
ルネサンス期、毛織物用の高級染料として知られ、フランチェスコ・ディ・マルコ・ダティーニがこれを入手しようとしていた。同時期に絵の具に転用された。エンジムシが生息する中南米を領土として所有していたスペインはコチニールの正体を秘匿してヨーロッパに売りつけ、巨額の富を築いた。
食品添加物
清涼飲料水、アルコール飲料、菓子類、かまぼこなどの着色に使われており、著名なところでは、過去にリキュール「カンパリ」がコチニール色素で着色されていた。加熱や発酵に対して安定だが、pHにより色調が変化し、酸性側でオレンジ色、アルカリ性側では赤紫色を呈する。またタンパク質が豊富な食品では紫色を呈するので、これを防止する場合にはミョウバンなどの色調安定剤を併用する必要がある。
各種の安全性試験(急性毒性・催奇性・発ガン性など)の結果に問題はなく、FAO/WHO合同食品添加物専門家委員会はコチニールレーキの一日摂取許容量を体重1kgあたり5mgと評価している。しかしごくまれにアレルギーを起こすことがある。またコチニール色素は動物由来であることから、菜食主義や信仰上の理由から忌避する人々もいる。
アメリカ合衆国ではコチニール色素およびコチニールレーキの使用は規制されておらず、表示義務もない(検討中)。欧州連合ではコチニール色素およびコチニールレーキはE120として食品ごとに使用が認可されており、他の添加物と同様の表示義務が課せられている。日本ではコチニール色素は食品衛生法の既存添加物名簿に収載されており、他の添加物と同様の表示義務が課せられている。しかしコチニールレーキは指定添加物でも既存添加物名簿所収でもないため使用できない。
アレルギー
コチニール色素を使った食品や化粧品の製造に関わる人の間で、まれながら職業性喘息を生じることがある。
また、食物アレルギーなどによる、呼吸困難を含めたアナフィラキシーショックが起きた事例が知られている[2]。これは色素がアレルギー反応を引き起こしているのではなく原料のエンジムシ由来の特定のタンパク質が原因物質だろうと考えられており、低アレルゲン化処理を施した色素が製造されるようになっている。
出典
- ^ a b doi:10.1080/10520290701207364
これはおそらく他の言語版からコピーされた出典です。日本語版では副テンプレートはまだ作成されていません。テンプレートページを開いて該当言語版からコピーする必要があります。通常英語版ページ - ^ アレルギー:着色料「コチニール」で発症の恐れ…消費者庁 - 毎日jp(毎日新聞)、2012年5月15日
参考文献
- 「完璧な赤―『欲望の色』をめぐる帝国と密偵と大航海の物語」、エイミー・B・グリーンフィールド著、佐藤桂訳、早川書房、2006年10月刊 ISBN 4152087706
関連項目
- 酢酸カーミン溶液 - カーミン(コチニール色素)が使用された染色固定剤。