クワイエット・ストーム
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クワイエット・ストーム(英語:Quiet Storm)は、ソウルフルなスロージャムを中心に選曲され、都会の雰囲気に合ったラジオ番組フォーマット。アメリカ・ワシントンD.C.のFM局WHUR-FMのDJ代役メルヴィン・リンゼイが1970年代中頃に始めたと言われている。クワイエット・ストームという名称は、当時よく使われたスモーキー・ロビンソンの1975年のヒット曲から番組名としてつけられ、以後同様の番組フォーマットの代名詞となった。
ラジオ番組フォーマットとしてのクワイエット・ストーム
1976年、メルヴィンの「クワイエット・ストーム」フォーマットの放送は、7分間のスモーキー・ロビンソンのヒットソングから始まった。それは毎夜の恒例となり、ラジオから流れるロビンソンのトレードマークと言えるテノールは、多くのリスナーにとって慌しい一日の終わりのシグナルとなった。それは同時に、優雅で時に情熱的な旋律をBGMに、くつろぎと落ち着いた気分を提供する深夜のひとときの始まりでもあった。この4時間のプログラムは、大人の聴衆に強くアピールした。
実際にはメルヴィンは当時代役でDJを務めたのだが、マネージャーに認められこの「クワイエット・ストーム」をメインとした番組を持った。この番組フォーマットは大変な好評を博し、数年のうちにアメリカ中の放送局に瞬く間に広まり、アメリカの都市部のラジオ放送でもともと空き時間帯であった一日の最後に放送される番組となった。
メルヴィン・リンゼイは1992年に没したが、彼が作り上げた「クワイエット・ストーム」のフォーマットは30年以上を経過した現在でも主要なラジオ局で定番となっている。その内容は、当初のジャズだけに留まらずR&Bやソウル・ミュージックからも曲を取り入れているが、相変わらず根幹にはメルヴィンが選んだ曲と、その流れを汲むジャズの分野から選曲されることが多い。
音楽ジャンルとしてのクワイエット・ストーム
ブラックミュージックのひとつに含まれ、厳密な表現をすると、メロウな音程・落ち着いたリズム・落ち着いたテンポの特徴を併せ持つ音楽ジャンルと言える。感覚的には、官能的・扇情的な雰囲気を含みつつも、かすかで思わしげな暗喩に抑制するような作風の曲と言うこともできる。ジャンル的には、ソフトロックやアダルト・コンテンポラリー・ミュージックに近いが、リズム・アンド・ブルースやジャズからの強い影響も加わっている。結局、都会的で、小粋な、シブく決めた音楽といったところになるだろう。
クワイエット・ストームは1970年代中期から1990年代初頭のアメリカのベビーブーム世代に最も受けた。
WHURを始め、都市部のブラック・ラジオ局の多くは今もクワイエット・ストーム・ショーを深夜枠で放送している。そこには、ネオ・ソウルと呼ばれるヒップ・ホップ系の曲も加わっている。また、スムーズ・ジャズやコンテンポラリー・ジャズ分野のメロウかつソウルフルな範囲もクワイエット・ストームに分類されることがある。
主なアーティスト
「クワイエット・ストーム」ジャンルが確立した時期は、ルーサー・ヴァンドロス、アニタ・ベイカー、初期のシャーデーのキャリアと重なる。 古典的なクワイエット・ストームとしては、フランキー・ビヴァリーのボーカルによるメイズのアルバム『Golden Time of Day』、マーヴィン・ゲイの『Let's Get It On』、フィラデルフィア・ソウルの楽曲。アーティストでは アル・グリーン、バリー・ホワイトやビル・ウィザーズ、CTIレコードに所属していた時期のジャズギタリストのウェス・モンゴメリー、そしてサクソフォーン奏者のグローヴァー・ワシントン・ジュニアの曲をあげることができる。尚ワシントンは更に解釈を広げスムーズジャズの礎を作っていくようになる。