クラス (バンド)
クラス(Crass)はイギリスのアナーコ・パンク・バンド。1977年から1984年にかけて活動。アナーコ・パンクと呼ばれるジャンルの代表的バンドである。サッチャー政権下のイギリスにおいて、アナーキズム、反戦、反核、フェミニズム、動物愛護、環境保護などについての強力なメッセージを発信した。 1977年にセックス・ピストルズが巻き起こしたロンドン・パンク・ムーブメントは短期間で収束したが、その後アンダーグラウンドで復活したパンクシーンのリーダー的存在である。その人気と影響力の強さにより、左翼と右翼の双方から仲間になって欲しいと求められたが、「左翼でも右翼でもなく、アナーキストである」と第3の立場を打ち出したため、両翼から少なくとも敵と見なされずにすんだ。
概要
パフォーマンス・アーティストのペニー・ランボー(ドラムス、作詞。フランスの詩人アルチュール・ランボーを私淑していた)と、彼より20歳も若いパンクスのスティーブ・イグノーラント(ボーカル、作詞)が1977年に出会うことによって生まれた。ふたりはお互いの詩を見せ合って共鳴し、ランボーが住んでいたコミューン(いわゆる自給自足の農場と小屋)で"So What?" と "Do They Owe Us A Living?"のデモを録音し、共同生活を始めた。この「バンド」の噂を聞きつけ、続々とのちのメンバーとその家族たちが集まった。最終的に、ここには12人の人間と20匹の猫が住んだ。
当時パンク・バンドの紹介に熱心だったスモール・ワンダー・レーベルからファーストアルバム「The Feeding of the 5000」をリリースした。しかし1曲目の「Asylum」の歌詞が問題となり、2分間の無音トラックとして収めた。この反省から、自分たちのレコードレーベル「クラス・レコード」を立ち上げた。 これは当時としては前人未踏の冒険であり、ジャケットの印刷はどの印刷所からも引き受けてもらえず、高価な印刷機を自分たちで調達するなど、のちのパンクにおける「DIY精神(自分たちでやること)」の手本となった。
このレーベルからは、自分たちの作品のほか、後続バンドのポイズン・ガールズ、ザ・モブ、ザウンズ、コンフリクト、キャプテン・センシブル(元ダムド)、ククル(ビョークが在籍)ら、100近いバンドを紹介している。
アルバム
- The Feeding of the 5000 (1978年)
- Stations of the Crass (1979年)
- Penis Envy (1981年)
- Christ - The Album (1982年)
- Yes Sir, I Will (1983年)
- Best Before 1984 (1986年)
参考図書
- ピース・オブ・マウンテン編 『ルーツ・オブ・パンク・ロック』、シンコー・ミュージック、1989年 ISBN 4401612701
- 『セックス・ピストルズ (KAWADE夢ムック)』、河出書房新社、2004年 ISBN 978-4309976747