オタ芸
オタ芸(オタげい・ヲタげい)とは、コンサートなどおいて、ファンが繰り広げる、独特な動きを伴う踊りや掛け声のことである(厳密には踊りではない)[1][2][3]。ヲタ芸とも[4]。語源について新語探検では「アイドルオタクの芸」の略としている[4]。
オタ芸は主にアイドルや声優などのイベントで行われている応援方法である[5]。
概要
オタ芸には以下のようなものがある。
- マワリ
- 頭上で手拍子を叩きながらその場で右や左に回転ジャンプをする[1][4]
- ロマンス
- 斜め上を指さした状態から腕を引く[5][4]
- PPPH
- “パン、パパン”と拍手して“ヒュー”と声をかける[4]
- ケチャ
- インドネシアのケチャのように低い姿勢を取り、腕を手前からステージ上のアイドルの方へ振り上げる[1]
歴史
黎明期
アイドルの親衛隊が曲に合わせて一斉に声をかける応援スタイルは1970~1980年代から見かけられたが[1][4]、この当時は「オタ芸」という言葉は存在していない。(詳細は親衛隊 (アイドル)#応援を参照)
2000年代
2000年代に入ってアイドルの応援スタイルに踊りが加わるなどして多様化し[1][4]、ハロー!プロジェクト系コンサートにおいて「オタ芸」という言葉で認知されるようになったとされる[6]。『くるくるドカン~新しい波を探して~』(フジテレビ系)でこれから注目すべきキーワードとして取り上げられたり[7]、Jリーグ・川崎フロンターレの選手が2007年のファン感謝デーで「ンタ芸」と銘打ったパフォーマンスで行うなど[8]、一般にも広く認知されるようになってきており、2010年代にはオタ芸を行うことを主体としたイベント・ライブが開催されている[9][10]。
2010年代
2010年代に入ると、アイドルや声優を応援するためのものであったオタ芸そのものが、アニソンクラブイベントを中心に、簡単なダンス、振り付けの一種として認識されるようになった。また、2000年代と比較しオタ芸のパターンの数は増え、内容も複雑なものになった。例えば、曲のサビの部分では単純な「マワリ」から複雑な「サンダースネーク」とよばれる動作が主流となっている。さらに、水樹奈々、田村ゆかり等の声優イベントにおいて用いられるサイリウムがクラブイベントでも流行し、サイリウムを手に持ったパフォーマンスとしてのオタ芸が行われている。 一方で、2000年代に主流であった、演者を応援することを目的とするオタ芸は、マナーの問題から制限が加わったり禁止されたりされる公演が増加し、全体的な傾向としては下火になっている。
評価
オタ芸は掛け声や手拍子などの一般的な応援に比較し、大きな動作を伴うことから、コンサートなどで演者を応援する場面におけるオタ芸については評価が二分されている。
オタ芸に否定的な意見
近年では一般的に声優、メジャーアイドルでは禁止ならびに制限の傾向があり、オタ芸については否定的な意見が多い。
特に、2008年に行われた榊原ゆいのコンサートをきっかけに[5][11]、オタ芸が応援行為かそうでないかで意見が分かれている[5]。 一部では、オタ芸や過激な応援行為を禁止するケースも出ている[11][12]。
ヲタ芸に肯定的な意見
ライブアイドルのコンサートにおいては、オタ芸を応援の一部とみなし、観客の応援行為に積極的に取り入れている。
- ライブアイドル情報誌CureManiではオタ芸講座が掲載されている
- 秋葉原DearStageでは、「オタ芸の打てるLive&Bar」と名乗り、毎日定期的に店員によるライブを行なっている。
- FICEのように、オタ芸をもとにした固有の振り付けに昇華しているアイドルも存在する
脚注
- ^ a b c d e f 鈴木京一 (2009年10月5日). “(21世紀のキーワード)オタ芸 自虐に限りなく近い諧謔”. 朝日新聞朝刊 (東京: 朝日新聞社): p. 12
- ^ “オタ芸(キーワード)”. 日経MJ (東京: 日本経済新聞社): p. 8. (2006年6月28日)
- ^ ヲタ芸DVD VOL.1 2009-05-26発売 レーベル:クリスタルウェーブ ASIN:B0029WFJDU
- ^ a b c d e f g h 亀井肇 (2006年7月28日). “オタ芸”. JapanKnowledge. 2011年10月18日閲覧。
- ^ a b c d e “榊原ゆいがファンに「オタ芸は禁止」”. ORICON STYLE (2008年5月21日). 2011年10月11日閲覧。
- ^ a b c “人気声優が“勇気ある発言”「オタ芸禁止」の波紋”. ZAKZAK (2008年5月25日). 2011年10月11日閲覧。
- ^ “くるくるドカン公式サイト”. フジテレビ (2006年5月13日). 2011年10月18日閲覧。
- ^ “フォトニュース - J1:第22節 川崎F vs G大阪”. J's GOAL (2007年8月25日). 2011年10月18日閲覧。
- ^ “オタ芸 :「らき☆すた」の聖地で盛り上げ役が"主役"に 久喜市の土師祭「WOTAKOIソーラン」”. 毎日新聞デジタル (2010年8月22日). 2011年10月18日閲覧。
- ^ 三好尚紀 (2011年6月21日). “歌にバトルにオタ芸まで!? 「踊ってみた」の祭典「ダンマス」第2弾開催”. ガジェット通信. 2011年10月18日閲覧。
- ^ a b “榊原ゆい公式ブログ - 榊原の気持ち”. LOVE×TRAX (2008年5月20日). 2011年10月11日閲覧。
- ^ “ファンのみなさまへ コンサート観覧におけるマナーご協力のお願い”. 茅原実里公式サイト. 2011年10月18日閲覧。
関連項目
外部リンク
- オタ芸 - 同人用語の基礎知識