YM2608

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YM2608(FM Operator type N-A, OPNA)はYAMAHAFM音源チップである。 1980年代1990年代にかけて、日本パーソナルコンピュータで最もポピュラーだったFM音源、YM2203(OPN)の拡張版であり、ソフトウェアレベルでの互換性を保っている[1]

4オペレータ・同時発音数6音ステレオのFM音源部、およびSSG3音モノラル、更にADPCM音源を1チャンネルと、リズム音源を内蔵している。 YM2203と同じく、プログラマブルタイマーを2系統内蔵し、8bitI/Oポートもついている。電源は5Vで、マスタークロックは8MHz。パッケージは64pinSDIP。DACにはYM3016(ステレオ)を使用。

PC-9801-86音源ボード上のYM2608
DAC YM3016

FM音源[編集]

YM2203と比較すると、FM音源部は3チャンネルから6チャンネルへ、モノラルだったものがパン[2]可能になり(俗に言うステレオ)、更にLFO機能が拡張されている。

SSG音源部の機能はYM2203との違いはないが、3チャンネルが内部でミキシングされてから出力される[3]

リズム音源[編集]

YM2608が内蔵する6種類のADPCM波形を6音同時に発音可能。ボリュームも調整可能で、パン[4]させることも可能である。波形はバスドラムスネアドラムトップシンバルハイハット(クローズ)タムタムリムショット。タムタムの音程は変更不能であり、一種類のみである。

ADPCM[編集]

ADPCMは4bitサンプリングレート2KHz~16KHzの性能で、CPUメモリ、波形専用メモリ共にアクセス可能。外部メモリは最大256KBまで対応している。再生時には2KHz~55.5KHzの範囲で自由に周波数を設定できるため、音程を変える事が可能である。

この石は、Windowsでの利用を想定したPC-9801-73とPC-9801-86に搭載されたが、それらでは、別途、PCMの回路が搭載され、Windowsではそれが利用された。ADPCM用のメモリは搭載されず、ADPCMは利用できなかった。ADPCMを利用するためのメモリを載せたドータボードがユーザによって設計、いわゆる同人ハードとして頒布された。なお、OPNAのDIPパッケージに直接乗せてハンダ付けする必要がある。

PC-9801-86では、OPNAの回路がリファレンスデザインに沿った物になっているため、実際には必要がない録音用のパーツがFM音源部のS/N比を下げてしまっており、一部では取り除く改造が行われた。

後継チップ[編集]

  • YMF288(OPN3) - OPNAからADPCM/PCM機能とCSM発声機能、AY-3-8910互換のパラレルI/Oポートを削除し、代わりにレジスタアクセス時のウェイトタイムを大幅削減し、低消費電力のスタンバイモードを新設している。後のPC-9821本体の内蔵音源や音源ボードに使用された。
  • YMF297(OPN4) - OPN3にOPL3互換動作モードを追加したもの。PC-9801-118音源ボードに使用された。

搭載されたパーソナルコンピュータ[編集]

サードパーティーから、純正「PC-9801-26K」の上位互換ボードとして、「スピークボード」が発売されている。

参考文献[編集]

  • YM2608 OPNA アプリケーションマニュアル YAMAHA

脚注[編集]

  1. ^ 通常はOSアプリケーションから見た目では、レジスタはOPNと同等に扱えるが、特定のレジスタに値を書き込む事で、FM音源の1~3チャンネルのレジスタがFM音源の4~6チャンネル用のものになり、SSGのレジスタがADPCM用のレジスタに、さながら裏返る
  2. ^ 音を左右のチャンネルに振る事。YM2608では、中央、左、右、無音の4段階に変更可能
  3. ^ YM2608 OPNA アプリケーションマニュアル 図1-2 ブロックダイアグラム および 図1-3 端子配置図
  4. ^ FM音源部と同じく4段階
  5. ^ PC-9800シリーズ本体内蔵のうちPC-98DO+内蔵のものだけは、88モードにおけるサウンドボード2互換のため、ADPCM用のメモリを搭載している。98モードからも使用可能である。