sinc関数

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正規化sinc(青) と非正規化sinc(赤)。−6π ≤ x ≤ 6π

sinc 関数(シンクかんすう)は、正弦関数をその変数で割って得られる初等関数である。sinc(x), Sinc(x), sinc x などで表される。

目次

[編集] 定義

sinc 関数は、正規化 sinc 関数と非正規化 sinc 関数という名で区別される、2種類の定義を持つ。

  1. デジタル信号処理などでは、次の正規化 sinc 関数標本化関数ともいう)が普通である。
    • \mathrm{sinc}(x) = \frac{\sin \pi x}{\pi x}.
  2. 数学では、次の歴史的な非正規化 sinc 関数が使われる。
    • \mathrm{sinc}(x) = \frac{\sin x}{x}.

いずれの場合も、可除特異点である 0 での値が必要であればしばしば明示的に sinc(0) = 1 が定義として与えられる。sinc 関数はいたるところ解析的である。

sinc 関数は カーディナル・サイン (cardinal sine) とも呼ばれ、"sinc" (英語発音: /ˈsɪŋk/) の関数名はラテン語の sinus cardinalis を短縮したものである。

[編集] sinc関数の性質

特にことわらないかぎり、正規化sinc関数について述べる。 非正規化sinc関数は、スケール・ファクター\piが違うだけなので、非正規化sinc関数についての式を得るには、x \leftarrow x / \pi \,を代入すればいい。

[編集] 特殊値など

[編集] フーリエ変換

  • \mathrm{rect}(x) \leftrightarrow^\mathfrak{F} \mathrm{sinc}(\omega), \mbox{ where } \mathrm{rect}(x) = \begin{cases} 1, & \mbox{if } |x| \leq 1 / 2 \\ 0, & \mbox{otherwise} \end{cases}
    • ただし、f(x) \leftrightarrow^\mathfrak{F} F(\omega)フーリエ変換対、\mathrm{rect}(x)\,は(単位)矩形関数。つまり、矩形関数のフーリエ変換はsinc関数、sinc関数のフーリエ変換は矩形関数である。

[編集] テイラー展開

  • \frac{\sin x}{x} = \sum^{\infin}_{n=0} \frac{(-1)^n}{(2n+1)!} x^{2n}

[編集] 定積分

  • \int_{0}^{\infty} \mathrm{sinc}(x) \, dx = \frac{1}{2}, \ \int_{-\infty}^{\infty} \mathrm{sinc}(x) \, dx = 1
  • \int_{0}^{\infty} \mathrm{sinc}^2(x) \, dx = \frac{1}{2}, \ \int_{-\infty}^{\infty} \mathrm{sinc}^2(x) \, dx = 1 \quad \left(\mathrm{sinc}^2(x) = \{\mathrm{sinc}(x)\}^2 \right)
  • \int_{0}^{\infty} | \mathrm{sinc}(x) | \, dx = \int_{-\infty}^{\infty} | \mathrm{sinc}(x) | \, dx = \infty

[編集] 不定積分

[編集] 直交性

  • \int_{-\infty}^{\infty} \mathrm{sinc}(x-i)\mathrm{sinc}(x-j) \, dx = \delta_{ij}, \mbox{ if } i, j \in \mathbb{Z}
    • sinc関数の平行移動同士は直交する。

[編集] 無限積

  • \frac{\sin x}{x} = \prod_{k = 1}^{\infty} \cos \frac{x}{2^k}
  • \mathrm{sinc}(x) = \prod_{k = 1}^{\infty} \left( 1 - \frac{x^2}{k^2} \right)

[編集] 信号処理への応用

さまざまな用途が考えられるが、コンパクト・サポートでない(非0の値が有限区間に限定されていない)ため、非常に多くの計算量を要することが多い。有限長で計算をうち切らなければならないことも多く、無限長では生じない問題が発生することもある。概して、理論的背景やシミュレーションにとどまることが多い。

  • 直交性と ±∞ での収束性から、直交ウェーブレット変換基底に用いる。ただし、コンパクト・サポートでないため、計算量が O(N2)(ランダウの記号)で増える。これは、コンパクト・サポートな基底だと計算量が O(N) であることに比べ、大きなデメリットである。
  • フーリエ変換が矩形関数であることから、リサンプリング内挿補間カーネル低域通過フィルタ)に用いる。無限系列では、sinc 関数は理想的な補間カーネルである。しかし、コンパクト・サポートでないことが問題になるため、実際には、sinc 関数に似たコンパクト・サポート関数である、3次畳み込み関数や、ランツォシュ・フィルタ(Lanczosフィルタ)などが使われることが多い。
  • 矩形関数のフーリエ変換であることから、sinc 関数を使えば、理想的なD/A変換ができる。ただしこれは、重要な概念ではあるが、実際にこのやりかたで D/A 変換がなされるわけではない。

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク

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