JR貨物クキ1000形貨車

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

これはこのページの過去の版です。シャムネコ (会話 | 投稿記録) による 2018年8月2日 (木) 06:43個人設定で未設定ならUTC)時点の版 (テンプレート更新)であり、現在の版とは大きく異なる場合があります。

JR貨物クキ1000形貨車
基本情報
車種 車運車
運用者 日本貨物鉄道(JR貨物)
所有者 日本貨物鉄道(JR貨物)
製造所 日本車輌製造
製造年 1991年(平成3年)
製造数 20両
消滅 1996年(平成8年)
常備駅 浮島町駅
主要諸元
車体色 青紫
軌間 1,067 mm
全長 20,400 mm
全幅 2,600 mm
全高 1,856 mm
荷重 44.4 t
自重 20.4 t
換算両数 積車 6.0
換算両数 空車 2.0
台車 FT1-1
台車中心間距離 14,850 mm
最高速度 110 km/h
テンプレートを表示

JR貨物クキ1000形貨車(JRかもつクキ1000がたかしゃ)は、1991年(平成3年)から1992年(平成4年)にかけて、日本車輌製造で合計20両が製作された、日本貨物鉄道(JR貨物)のタンクローリーピギーバック輸送車運車である。

背景

バブル景気の影響を受けてタンクローリーの運転手が慢性的に不足するようになり、また道路の渋滞が深刻化していたことから、日本石油が都心部を迂回してタンクローリーピギーバック輸送を行うことを計画して、クキ1000形が製造された。 クキ900形の試験の成果を受けたものである。

構造

クキ1000形は、全長20,400mm、全幅2,600mm、全高1,856mm、自重20.4t、荷重44.4tでFT1形の枕バネを改良したFT1-1形台車を装備し、CL方式応荷重装置付き空気ブレーキ装置と留置ブレーキとして特殊なラチェット方式のものを備えている。最高速度は110 km/hで設計されているが、実際には95 km/hで運行された。通常の平台枠貨車にタンクローリーを積載しても車両限界を支障することはないが、カーブ走行時の安定性の問題から、石油を搭載した状態の重量の大きなタンクローリーをできるだけ低い位置に搭載して、重心を低くすることが重要であったため、台車間ではトレーラータイヤが来る側梁部分を高さ540mmの位置まで下げている。これに対して中梁は高さ870mmの位置にあり、この中梁をまたぐ形でタンクローリーが搭載される。塗装は、車体が青紫、台車と床下機器が灰色1号である。

荷役は専用のリーチスタッカーを使って、トレーラーを丸ごと持ち上げて積み込み、積み降ろす。キングピンを中梁に設けた固定具に緊締する構造である。20 キロリットルタンクローリーの場合は背中合わせに2台を搭載できる。14 キロリットルタンクローリーの場合は3台を積載できる。クキ900形の時は消防法の規制からトラクターごと貨車に搭載していたが、クキ1000形に際しては1991年(平成3年)に法改正されて鉄道輸送時は規制が除外されることになった。

運用

日本石油輸送の所有でクキ1000-1 - 1000-20の20両が製作され、浮島町常備で運行した。1992年(平成4年)3月に横浜本牧 - 新座貨物ターミナル間で運行を開始した。6月からは越谷貨物ターミナルも着地となった。9月からは18両編成で運転されるようになった。

しかし、バブル崩壊首都高速湾岸線の開業による渋滞緩和により、相対的に鉄道輸送のコストメリットが失われてしまい、1996年(平成8年)3月に輸送は打ち切られた。

廃車

1996年(平成8年)10月に全車廃車・解体された。製造されてから長いものでも5年であった。リーチスタッカーは、40ftコンテナ用トップリフターに改造されている。

参考文献

  • 渡辺 一策『RM LIBRARY 84 車を運ぶ貨車(下)』(初版)ネコパブリッシング、2006年。ISBN 4-7770-5173-0 
  • 吉岡心平 『プロフェッサー吉岡の私有貨車図鑑(復刻増補)』 2008年、ネコ・パブリッシング刊 ISBN 978-4-7770-0583-3

外部リンク