INDロッカウェイ線

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INDロッカウェイ線
IND Rockaway Line
A系統[注 1]の列車と、ロッカウェイ・パーク・シャトルがロッカウェイ線を運行している
概要
種別 地下鉄
系統 ニューヨーク市地下鉄
起終点 アケダクト競馬場駅
ロッカウェイ・パーク-ビーチ116丁目駅 (ロッカウェイ・パーク支線)
ファー・ロッカウェイ-モット・アベニュー駅 (ファー・ロッカウェイ支線)
駅数 14
運営
開業 1956年-1958年
所有者 ニューヨーク市
運営者 ニューヨークシティ・トランジット・オーソリティ
路線構造 高架
路線諸元
軌間 4 ft 8+12 in (1,435 mm)
路線図
INDロッカウェイ線
アケダクト競馬場駅
アケダクト-ノース・コンジット・アベニュー駅
ハワード・ビーチ-JFKエアポート駅
北水道旋回橋
ブロード・チャンネル駅
ビーチ水道跳開橋
ハンメルズ三角線
ビーチ67丁目駅
ビーチ60丁目駅
ビーチ44丁目駅
ビーチ36丁目駅
ビーチ25丁目駅
ファー・ロッカウェイ-モット・アベニュー駅
ファー・ロッカウェイ支線
ビーチ90丁目駅
ビーチ98丁目駅
ビーチ105丁目駅
ロッカウェイ・パーク-ビーチ116丁目駅
ロッカウェイ支線
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INDロッカウェイ線: IND Rockaway Line)は、ニューヨーククイーンズ区で運行されているニューヨーク市地下鉄Bディビジョン地下鉄路線である。INDフルトン・ストリート線からロッカウェイ・ブールバード駅で分岐し、ジャマイカ湾上を通ってロッカウェイ英語版へと至る。A系統の列車がこの路線を走り、ファー・ロッカウェイ-モット・アベニュー駅へ向かう側の支線を走る[1]。またロッカウェイ・パーク・シャトルブロード・チャンネル駅ロッカウェイ・パーク-ビーチ116丁目駅の間の支線を運行している。ラッシュ時のA系統の列車5本が、ロッカウェイ・パークとマンハッタンの間を直通運行している。

歴史と運行系統[編集]

系統 区間
  時間帯 アケダクト競馬場駅
ファー・ロッカウェイ-モット・アベニュー駅
ブロード・チャンネル駅
ロッカウェイ・パーク-ビーチ116丁目駅
ラッシュ時 運行
その他の時間帯 運行 運行なし
全時間帯 運行なし 運行
R32型英語版で組成されたA系統の列車がINDロッカウェイ線からINDフルトン・ストリート線へと向かう
ビーチ60丁目駅での保守作業
ハリケーン・サンディで流失した道床

ロッカウェイ線のほとんどの区間は、ニューヨーク・ウッドヘイブン・アンド・ロッカウェイ鉄道として運行されていた1880年代にさかのぼる[2]。ファー・ロッカウェイ駅は1869年から、サウス・サイド・レールロード・オブ・ロング・アイランドの駅として営業していた[3]。1892年にはロングアイランド鉄道アトランティック支線英語版からの列車がこの路線を運行するようになった。1890年代後半には、ブルックリン高架鉄道(後のブルックリン・ラピッド・トランジット)がブルックリンからの高架鉄道の列車をこの路線にビーチまで走らせる許可を得た。この路線の人気が高まるにつれて、ニューヨーク市はまもなくこの路線に注目するようになった[4][5][6]。これに加えて、オーシャン電気鉄道英語版がこの路線の一部を、ファー・ロッカウェイ支線英語版ロッカウェイ支線英語版の連絡線として利用するようになった。

1950年に、ザ・ローント駅英語版ブロード・チャンネル駅の間で発生した大規模な線路火災事故により、ジャマイカ湾を横断するトレッスル橋が壊れ、結果としてこの路線はもはや役に立たなくなったことが決定づけられることになった。ロングアイランド鉄道は、ファー・ロッカウェイからナッソー郡の側を周る地上ルートを選ぶことにして、この路線を修理せずに廃止することにした。ニューヨーク市はこの路線を1955年に850万ドルで購入し、地下鉄で利用するための改造工事にさらに4750万ドルを費やしたが、これは1920年代末から計画されてきたことであった[2][7]。地下鉄路線への改造工事の一環として、ジャマイカ湾の北水道と南水道を渡る2か所の新しい鉄橋が建設され、地下鉄用のトレッスル橋の路盤とするための2か所の人工島も建設された[8]

そしてこの路線はインディペンデント・サブウェイ・システム (IND) の一部となり、INDフルトン・ストリート線と接続された。路線上のすべての駅が1956年6月28日に開業したが[7]ファー・ロッカウェイ-モット・アベニュー駅のみ1958年1月16日の開業となった。ハワード・ビーチ-JFKエアポート駅ブロード・チャンネル駅の間のジャマイカ湾を渡る区間は、駅間距離が地下鉄網内で最長である。

ハワード・ビーチ駅より南では、かつては2倍の運賃が課されており、この区間で駅に入場する際にはトークンを2個入れる必要があり、また他の区間から来てこの区間で降りるときは出る際にも1個のトークンを入れる必要があった[7]。この2倍の運賃は不評で、1975年に廃止された[9]

1993年にロッカウェイ線における大きなサービス向上が実施され、深夜帯にブルックリンやマンハッタンとファー・ロッカウェイ駅を結ぶ直通運転が始まった(ロッカウェイ・パーク駅へは直通は無い)。これ以前には、深夜帯にはユークリッド・アベニュー駅で乗り換えるシャトル列車しかなかった。依然としてロッカウェイ・パーク支線へは、ブロード・チャンネル駅で乗り換えるシャトル列車のみである。

1990年代末に、ブロード・チャンネル駅より北側に、線路が追加された。この線路は当初の線路の西側に2マイル弱にわたって伸びており、設備の試験に用いられている。当初の線路の東側にある線路は、ロッカウェイ・パーク・シャトルの列車折返し用に用いられており、標準的な長さの列車とほぼ同じ長さがある。この折返し線により、従来のハワード・ビーチ-JFKエアポート駅ユークリッド・アベニュー駅まで行って折り返していたのに比べてはるかに速く折り返しができるようになった。

ハワード・ビーチ駅からロッカウェイ半島にかけての線路は、ハリケーン・サンディにより大きな被害を受け、数か月に渡って不通となった[10]。2012年11月20日に、ファー・ロッカウェイ-モット・アベニュー駅ビーチ90丁目駅を結ぶ無料のH系統の運行が開始され、2013年5月30日にすべての運行が再開された[11][12][13][14]

駅一覧[編集]

凡例
Stops all times 終日停車
Stops rush hours in peak direction only ラッシュ時の混雑方向のみ停車
時間帯詳細
所在地
(おおよその位置)
バリアフリー・アクセス プラットホーム 開業日 乗換・備考
オーゾーン・パーク英語版 INDフルトン・ストリート線から分岐 (A Stops all times)
バリアフリー・アクセス アケダクト競馬場駅 A Stops all times (北行のみ) 1956年6月28日 北行列車のみ停車
アケダクト-ノース・コンジット・アベニュー駅 A Stops all times 1956年6月28日
ハワード・ビーチ英語版 バリアフリー・アクセス ハワード・ビーチ-JFKエアポート駅 A Stops all times 1956年6月28日 Airport エアトレインJFK連絡
ブロード・チャンネル英語版 ブロード・チャンネル駅 A Stops all times SR Stops all times 1956年6月28日
ハンメルズ三角線
ファー・ロッカウェイ支線 (A Stops all times) とロッカウェイ・パーク支線 (A Stops rush hours in peak direction only SR Stops all times) を分岐
2本の支線間の連絡線もあるが定期運行なし
 
ファー・ロッカウェイ支線
アーバーン英語版 ビーチ67丁目駅 A Stops all times 1956年6月28日
ビーチ60丁目駅 A Stops all times 1956年6月28日
エッジミア英語版 ビーチ44丁目駅 A Stops all times 1956年6月28日
ビーチ36丁目駅 A Stops all times 1956年6月28日
ファー・ロッカウェイ英語版 ビーチ25丁目駅 A Stops all times 1956年6月28日
バリアフリー・アクセス ファー・ロッカウェイ-モット・アベニュー駅 A Stops all times 1958年1月16日 ロングアイランド鉄道ファー・ロッカウェイ駅英語版連絡
 
ロッカウェイ・パーク支線
ロッカウェイ・ビーチ英語版 ビーチ90丁目駅 A Stops rush hours in peak direction only SR Stops all times 1956年6月28日
ビーチ98丁目駅 A Stops rush hours in peak direction only SR Stops all times 1956年6月28日
ロッカウェイ・パーク英語版 ビーチ105丁目駅 A Stops rush hours in peak direction only SR Stops all times 1956年6月28日
バリアフリー・アクセス ロッカウェイ・パーク-ビーチ116丁目駅 A Stops rush hours in peak direction only SR Stops all times 1956年6月28日

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ ラッシュ時に運転されるA系統のロッカウェイ・パーク駅行き列車は時刻表上はと表記されているが、実際の列車にはと表記されている

出典[編集]

  1. ^ Hammels Wye (IND Rockaway)
  2. ^ a b The Trains Stopped Running Here 50 Years Ago”. qgazette.com. Queens Gazette (2012年7月18日). 2015年7月3日閲覧。
  3. ^ Historical Views of the Rockaways: The old Far Rockaway Station Plaza, Mott and Central Avenues, 1922”. rockawave.com. Wave of Long Island (2010年6月18日). 2015年6月29日閲覧。
  4. ^ “L Trains to Rockaway”. Brooklyn Daily Eagle英語版 (Brooklyn, NY): p. 14. (1898年7月16日). http://eagle.brooklynpubliclibrary.org/Default/Scripting/ArchiveView.asp?BaseHref=BEG/1898/07/16&Page=14&skin=BE 
  5. ^ “New Rockaway Route Open”. Brooklyn Daily Eagle英語版 (Brooklyn, NY): p. 9. (1898年7月17日). http://eagle.brooklynpubliclibrary.org/Default/Scripting/ArchiveView.asp?BaseHref=BEG/1898/07/17&Page=9&skin=BE 
  6. ^ PRR Chronology, Discontinuance/Last Runs of Passenger Service (PDF, 40.6 KiB) , Edition of June 30, 2003
  7. ^ a b c Rockaway Trains to Operate Today”. nytimes.com. The New York Times (1956年6月28日). 2015年6月29日閲覧。
  8. ^ “SUBWAY IS ADDING 2 ISLANDS TO CITY; Realty Is Created in Jamaica Bay as Trestle Is Built for Rockaway Line”. New York Times. (1955年6月30日). http://query.nytimes.com/mem/archive/pdf?res=990CE1DF1F3AEF34BC4850DFB066838E649EDE 2016年2月22日閲覧。 
  9. ^ Joseph B. Raskin (2013-11-01). The Routes Not Taken: A Trip Through New York City's Unbuilt Subway System. Fordham University Press. ISBN 978-0-8232-5369-2. https://books.google.co.jp/books?id=CUlGCgAAQBAJ&pg=PA307&redir_esc=y&hl=ja 2015年8月12日閲覧。 
  10. ^ Rebuilding the Rockaways After Hurricane Sandy
  11. ^ MTA's tweet on partially restoring the Rockaway shuttle
  12. ^ Hurricane Sandy Recovery Service As of November 20
  13. ^ Beginning Tuesday, Fare-Free H Shuttle Replaces Portion of A Line in Rockaways
  14. ^ A Train Service Restored to Rockaways

外部リンク[編集]