2012年中華民国総統選挙

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2012年中華民国総統選挙
中華民国
2008 ←
2012年1月14日
→ 2016

 
候補者 馬英九 蔡英文 宋楚瑜
政党 中国国民党 民主進歩党 親民党
同盟 泛藍連盟 泛緑連盟 泛藍連盟
副総統候補者 呉敦義 蘇嘉全 林瑞雄
得票数 6,891,139[1] 6,093,578[1] 369,588[1]
得票率 51.60% 45.63% 2.77%

=馬英九・呉敦義が最多得票を得た地域
=蔡英文・蘇嘉全が最多得票を得た地域

選挙前総統

馬英九
中国国民党

選出総統

馬英九
中国国民党

2012年中華民国総統選挙(2012ねんちゅうかみんこくそうとうせんきょ、繁体字中国語: 中華民國第十三屆正副總統選舉)は、2012年1月14日に実施された中華民国総統副総統を選出するための選挙である。第八回中華民国立法委員選挙も同日実施され、史上初の総統選挙と立法委員選挙のダブル選挙となった[2]。有権者数は1808万6455人。

候補者

候補者


号次 政党名 総統・副総統 候補者 略歴
1 ファイル:Green Taiwan in White Cross.svg 民主進歩党 総統候補 蔡英文
副総統候補 蘇嘉全
  • 屏東県長(1997年~2004年)
  • 内政部長(2004年~2006年)
  • 行政院農業委員会主任委員(2006年~2008年)
  • 民進党秘書長(2009年12月~2010年5月;2010年12月~)
2 中国国民党 総統候補 馬英九
  • 行政院研究考核発展委員会主任委員(1988年~1991年)
  • 行政院大陸委員会副主任委員(1991年~1993年)
  • 法務部長(1993年~1996年)
  • 行政院政務委員(無任所大臣)(1996年~1997年)
  • 台北市長(1998年~2006年)
  • 中国国民党主席(2005年~2007年;2009年~現在)
  • 総統(2008年~現在)
副総統候補 呉敦義
  • 南投県長(1981年~1989年)
  • 高雄市長(1990年~1998年)
  • 国民党秘書長(2007年~2009年)
  • 行政院長(首相)(2009年~現在)
3 親民党 総統候補 宋楚瑜
副総統候補 林瑞雄

主な政党における予備選挙

民主進歩党

現職党主席の蔡英文、元行政院長の蘇貞昌、元民進党主席の許信良が党内選挙に立候補し、2011年5月4日、蔡英文を正式に次期総統候補に選任した。2011年9月10日、民進党秘書長蘇嘉全を副総統候補に指名。同年9月24日の党大会(全国代表大会)で正副総統候補の擁立が正式承認された[3]

中国国民党

現職総統の馬英九以外に立候補はなく、2011年4月27日、馬英九を正式に次期総統候補に選任した。同年6月19日、馬候補は、現職の行政院長(首相)である呉敦義を副総統候補に選任すると発表。

争点

選挙の主要争点は馬英九総統が進めてきた対中政策への是非、経済格差と福祉政策であった。対中政策では中台関係改善の成果を主張した馬英九候補(国民党)に対し、蔡英文候補(民進党)は台湾の主体性が脅かされていると馬総統が進めてきた中台関係改善を批判した[4][5]

蔡英文候補の主張

  • 中国との関係は台湾人の総意で民主的に決める。対話を通じた平和で安定的な関係構築を目指す。

馬英九候補の主張

  • 中国と台湾は「一つの中国」であることを認め、「統一せず・独立せず・武力行使せず」の原則維持で中台交流を拡大。

宋楚瑜候補の主張

  • 最終的には中台統一を実現。当面は現状維持し、経済・貿易を中心に交流を拡大。
出典:【図解・国際】対中政策における各候補の主張と略歴時事ドットコム) 

結果

総統選挙結果円グラフ。
=馬英九・呉敦義、=蔡英文・蘇嘉全、=宋楚瑜・林瑞雄

選挙の結果、国民党の馬英九総統が、民進党の蔡英文と親民党の宋楚瑜を破って再選を果たした。馬英九と蔡英文の得票差は6%弱、投票率は前回選挙(76.3%)を下回った。

選挙人数と投票率
選挙人数 18,086,455
投票数 13,452,016
投票率 74.38%
有効票数 13,354,305
無効票数 97,711
出典:總統副總統 選舉概況。中央選挙委員会(2012年1月16日閲覧)
候補者別得票
当落 党派 候補者 得票数 得票率
総統 副総統
当選 中国国民党 馬英九 呉敦義  6,891,139 51.6024%
民主進歩党 蔡英文 蘇嘉全  6,093,578 45.6301%
親民党 宋楚瑜  林瑞雄  369,588 2.7676%
13,354,305
出典:總統副總統 候選人得票數。中央選挙委員会(2012年1月16日閲覧)
地域別候補者得票
縣市名 蔡英文
(民進党)
馬英九
(国民党)
宋楚瑜
(親民党)
合計 6,093,578 6,891,139 369,588
直轄市 台北市の旗 台北市 634,565 928,717 41,448
新北市の旗 新北市 1,007,551 1,245,673 65,269
台中市の旗 台中市 678,736 792,334 48,030
台南市の旗 台南市 631,232 435,274 27,066
高雄市の旗 高雄市 883,158 730,461 39,469
省轄市  基隆市の旗 基隆市 79,562 128,294 8,533
新竹市の旗 新竹市 92,632 134,728 7,216
嘉義市の旗 嘉義市 76,711 69,535 4,042
宜蘭県の旗 宜蘭県 135,156 115,496 6,652
桃園県の旗 桃園県 445,308 639,151 32,927
新竹県の旗 新竹県 89,741 190,797 9,599
苗栗県の旗 苗栗県 107,164 206,200 9,597
彰化県の旗 彰化県 340,069 369,968 21,403
南投県の旗 南投県 123,077 158,703 8,726
雲林県の旗 雲林県 214,141 159,891 9,662
嘉義県の旗 嘉義県 181,463 120,946 7,364
屏東県の旗 屏東県 271,722 211,571 9,562
台東県の旗 台東県 33,417 72,823 3,313
花蓮県の旗 花蓮県 43,845 118,815 6,359
澎湖県の旗 澎湖県 20,717 22,579 2,082
金門県の旗 金門県 3,193 34,676 990
連江県の旗 連江県 418 4,507 279
出典:總統副總統 候選人得票數(2012年1月16日閲覧)。地域別得票は中央選挙委員会サイトの左ウィンドウ「地域一覧」より

馬英九が勝利した要因は、中台関係改善の実績と現状維持路線(統一せず、独立せず、武力行使せず)が評価されたものと受け止められた。特に中台関係改善・交流拡大のきっかけとなった「九二共識」(92年合意。中国と台湾の当局者が92年に交わしたとされる合意の通称、中国側は「一つの中国」で双方が合意したと主張したのに対し、台湾側は「一つの中国」の判断は双方の見解にゆだねるとし、双方で食い違いを見せた)を維持するとした馬英九に対し、蔡英文は92年合意そのものを否定する戦略を採ったため、中国との関係悪化を懸念する中間派有権者への支持を広げられなかった[6]

脚注

参考文献

関連項目

外部リンク