青野慶久

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青野 慶久(あおの よしひさ、戸籍名:西端 慶久〈にしばた よしひさ〉、1971年昭和46年〉6月26日 - )は、愛媛県出身の実業家サイボウズ代表取締役社長である。

人物[編集]

1971年愛媛県今治市生まれ[1]愛媛県立今治西高等学校大阪大学工学部卒業後、松下電工へ入社し、BA・セキュリティシステム事業部営業企画部に在籍。同僚だった2人とともに1997年サイボウズを愛媛県松山市で設立、取締役副社長に就任[2]。マーケティング担当としてWebグループウエア市場を切り開くことに尽力した。その後、「サイボウズ デヂエ(旧DBメーカー)」「サイボウズ ガルーン」など、新商品のプロダクトマネージャーとしてビジネスを立ち上げ、事業企画室担当、海外事業担当を務めた。2005年より代表取締役社長[2]

戸籍名と夫婦別姓訴訟[編集]

2001年の結婚時に婚姻届で妻の姓を選択し、戸籍上の氏は『西端』となったが、旧姓を通称として用いている[3]

選択的夫婦別姓制度導入に賛同の立場を取り[4]、自身のブログにおいても、「社長になり、本名で書かなければならない公式書類が増えたので、誤解されないように、最近は本名が西端であることを併記しております。日本では夫婦別姓が認められておりませんので、婚姻届を出すときに、どちらかの姓に合わせなければなりません。名字を変えるのはたいへんです。世の女性の苦しみがわかります。早く夫婦別姓が認められるようになることを期待しています。」と述べている[5][6]

2018年1月9日には、日本人と外国人との結婚では同姓か別姓かを選べるのに、日本人同士の結婚だと選択できないのは「法の下の平等」を定めた日本国憲法に違反するとして、日本国政府を提訴した[7][8][9][10]。法律婚した男性による夫婦別姓訴訟としては初めての訴訟となる[9]。2021年6月28日に敗訴。

第49回衆議院議員総選挙において、選択的夫婦別姓や同性婚を認めない候補者を落選させる運動を行っている[11]

エピソード・発言[編集]

  • トップ自らが育児休暇を取得した[12]
  • 働き方について、「均一化した、単一的な、一律的なもの」から、「多様な、柔軟性の高いもの」へのシフトをするべき、「価値観も多様な方向に切り替えていくことが、働き方改革の本質」とする[1]。「働き方改革を進めることで、異なるモチベーションを引き出すことができる」とも述べる[13]。「残業時間を減らすなどのワークライフバランスの推進は、女性だけでなく男性も含めて日本全体が、本気で取り組まなければならない問題」とも言う[14]
  • 「100人いれば100通りの人事制度があっていい」[15]

著書[編集]

  • ちょいデキ!文藝春秋、2007年9月。ISBN 978-4166605910https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784166605910 電子書籍でも発行済
  • チームのことだけ、考えた。ダイヤモンド社、2015年12月。ISBN 978-4478068410https://www.diamond.co.jp/book/9784478068410.html ※電子書籍でも発行済
  • 会社というモンスターが、僕たちを不幸にしているのかもしれない。PHP研究所、2018年3月。ISBN 978-4569837260https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784569837260 

出演[編集]

ネット番組[編集]

脚注[編集]

  1. ^ a b 社長挨拶”. サイボウズ株式会社. 2022年5月20日閲覧。
  2. ^ a b 【時代のリーダー】青野 慶久・サイボウズ社長:日経ビジネスオンライン”. 日経BP. 2011年10月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年11月17日閲覧。
  3. ^ 【夫婦対談】最初からイクメンだったわけじゃない”. ホウドウキョク (2017年4月12日). 2017年12月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年5月20日閲覧。
  4. ^ 未だに選択的夫婦別姓に反対する人へ”. note(ノート) (2016年8月25日). 2022年5月20日閲覧。
  5. ^ 西端と青野、青野と西端” (2005年6月8日). 2006年2月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年5月20日閲覧。
  6. ^ 「名前なんて絶対多様化する」──妻氏婚を選んだ社長の未来予測”. サイボウズ式 (2014年10月29日). 2022年5月20日閲覧。
  7. ^ 東京地裁:夫婦別姓を求め提訴 サイボウズ社長ら”. 毎日新聞 (2018年1月9日). 2022年5月20日閲覧。
  8. ^ 夫婦別姓選べず「戸籍法は違憲」 サイボウズ社長が提訴”. 日本経済新聞 (2018年1月9日). 2022年5月20日閲覧。
  9. ^ a b 夫婦別姓:サイボウズ社長「選択できず不利益」国を提訴へ”. 毎日新聞 (2017年11月9日). 2022年5月20日閲覧。
  10. ^ 「多様な個性、認める社会に」=選択的別姓求め9日提訴-サイボウズ社長・東京地裁”. 時事ドットコム (2018年1月6日). 2018年2月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年5月20日閲覧。
  11. ^ 夫婦別姓に反対する候補は…サイボウズ社長が「落選運動」始めた理由”. 朝日新聞デジタル (2021年10月27日). 2021年10月27日閲覧。
  12. ^ 日本経済新聞社・日経BP社 (2017年6月1日). “「育休社長」の働き方改革 本当はつらい「イクメン」”. NIKKEI STYLE. 2022年5月20日閲覧。
  13. ^ INC, SANKEI DIGITAL (2017年6月23日). “働き方改革講演に600人 サイボウズ社長、経験交え事例紹介 松山”. 産経ニュース. 2022年5月20日閲覧。
  14. ^ こんな「女性活躍」はうまくいかない”. WEDGE Infinity(ウェッジ) (2016年8月26日). 2022年5月20日閲覧。
  15. ^ 日本経済新聞社・日経BP社 (2017年1月12日). “サイボウズ社長が役員にまで副業を奨励したワケ”. NIKKEI STYLE. 2022年5月20日閲覧。

外部リンク[編集]