精神現象学

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索

精神現象学』(せいしんげんしょうがく、Phänomenologie des Geistes)は、G.W.F.ヘーゲル1770年 - 1831年)が1807年に出版した著作。原意は「精神の現象学」。

本書は、観念論の立場にたって意識から出発し、弁証法によって次々と発展を続けることによって現象の背後にある物自体を認識し、主観と客観が統合された絶対的精神になるまでの過程を段階的に記述したもの。カントの認識と物自体との不一致という思想を超克し、ドイツ観念論の先行者であるフィヒテシェリングも批判した上で、ヘーゲル独自の理論を打ち立てた初めての著書である。難解をもって知られ、多くの哲学者に影響を与えた。

位置付け[編集]

ヘーゲルの哲学大系の中では、「精神現象学」とは「意識」を問題とする哲学の分野である。「精神現象学」の領域における「意識」の発展を、ヘーゲルの弁証法に基づいて示せば、

  1. 意識そのもの
  2. 自己意識
  3. 理性

の3段階を示す。「意識そのもの」の段階では、「感性的意識」から「知覚」へ、そして「悟性」へと認識が深められる。次にこのような認識の主体としての「自己」が自覚され、「自己意識」が生じる。この「自己意識」と同質な意識を他者にも認めることによって、他人の「自己意識」をも認識し、単なる自我を超えた普遍的な、他者との共通性を持つ「自己」、「理性」の現れとしての「自己」を認識にするに至る。この過程が「精神現象学」である。

一方で『精神現象学』ではやや異なる広い意味での「精神現象学」が記述されており、前述の「理性」段階に至るまでの「精神現象学」に続いて、「客観的精神」「絶対的精神」をも考察の対象に含める。つまり「意識」あるいは「主観的精神」のみならず広く「精神」一般をその対象に含む。

本書の原題は「学の体系」(System der Wissenschaft)であって、ヘーゲル哲学体系の総論ないし導入として執筆されたものであるが、後に出版されたエンチクロペディーでは、精神現象学に対応する章はない。

構成[編集]

多くの訳書があるが、本書の構成はおおよそ以下のとおり。

  • 意識
    • 感覚的確信
    • 知覚
    • 力と悟性
  • 自己意識
    • 自己確信の真理
  • 理性
    • 理性の確信と真理
  • 精神
    • 精神
  • 宗教
    • 宗教
  • 絶対知

内容[編集]

日本語訳[編集]

出典・脚注[編集]

関連書籍[編集]

  • 黒崎剛 『ヘーゲル・未完の弁証法 ― 「意識の経験の学」としての『精神現象学』の批判的研究』 早稲田大学出版部〈早稲田大学学術叢書〉、2012年ISBN 978-4657127013

関連項目[編集]

外部リンク[編集]