帯 (出版)

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書籍におけるとは、についてのキャッチコピーなどが刷られた紙。表面の一部分(通常は一番下)を覆うように巻く。本にかけたベルト()のように見えるので、この呼び名がついた。

帯紙、腰巻と呼ばれることもある。

概要[編集]

帯は、限られた小さなスペースでその本のアピールをしており、練った言葉や扇情的な言葉が使われている。色や形に凝って、派手な配色や蛍光色で目を惹くようにした帯もあり、中には表紙の高さの半分以上に渡る大きな帯もある。場合によっては予算の都合で使える色の数(というより印刷の版の数)が少ないこともあり、用紙や、表紙との兼ね合いから、デザイナーの腕の見せ所となる。

通常は一冊に対し一つの帯が用いられるが、出版社によるキャンペーン(フェア)が行われる場合、その商品群に対して統一した帯が用意され、書店などにおいて掛け替えが行われる。

帯は表紙(カバー)と一体として、併せてデザインされることが多く、その副作用として「帯を外したあとの表紙(カバー)が、間が抜けて見える」と評される装訂も見られる。

捨てられることが多いため、愛好家・収集家の間では希少価値を持つ収集品になることもあり、古書店で帯だけを万引きする者も存在する。人気作品や後に評価が上がった作品の初版帯付き本は、ネットオークション等で高値で取り引きされる傾向にある。人気作品は増刷され、それに伴って帯も変更される事から、初版時の帯は特に珍重される。また、古書店の同業者市では帯のみを販売している場合もある。

出版業界における一般的な通念によれば、帯の体裁や、そこに記載する文章等は、その本の著者・編者ではなく、本を刊行する出版者=出版社に決定権がある。

また、帯の内容によって大きく本の売り上げを引き上げることがある。[1]

なお、こういった書籍の帯とほぼ同じ役割であるためと思われるが、CDの形態で販売される音楽やゲームソフトにも帯と呼ばれるものが付属している。ただしこちらは下部に巻きつけるのではなく、CDケースの厚みにあわせた2本の平行な折り目をつけたやや硬めの紙をケースの背の側にかぶせるというもので、英語圏では「背骨」や「本の背表紙」を意味する言葉のSpineで呼ばれる。書籍の帯と同様、中古での売買時には欠損している事が珍しくない。

製本工程における帯[編集]

製本のうち、上製本を作る工程の中で、断裁後に丸み出しと呼ばれる作業がある。上製本の書物にあるページ揃えのゆるやかなカーブをつくる作業だが、これを行った後、そのままにしておくと背表紙部分の弾力によって元に戻ってしまう。このため、丸みが元に戻らないように仮止めしておく布のこともと呼ばれる。

包装としての帯[編集]

刷了後の印刷物を纏めておく、ハトロン紙やクラフト紙による簡易包装のことを、あるいは帯掛けと呼ばれる。

レコード類の帯[編集]

書店で売られていたフォノシート類や、レコード店で売られるレコードに付けられた盤名、価格、宣伝などが書かれたたすき状の紙を「帯」または「たすき」と言う。主に表面に大文字でタイトルが、小さめの文字でキャッチコピーや規格番号、価格などが書かれ、裏面には同系統のディスコグラフィや再生機などの宣伝が書かれている事が多い。CDに付属する同様の物は多少形状の違いはあるが一般に「帯」または「キャップ」と呼ばれる。これがないと正式なタイトルや規格番号、価格が分からない場合もある。

書籍と同様に収集家は帯にこだわる。そのため中古店では帯の有無で買取価格、販売価格が異なる場合が多い。ただし、複合型の新古書店ではその限りではない。

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  1. ^ “東大・京大で一番読まれた本”. 社長の通信講座 -ザ・レスポンス- (ダイレクト出版). (2009年9月25日). http://www.theresponse.jp/?p=2576 2012年12月12日閲覧。